知的財産ニュース “大切な目”機能性眼鏡で!

2012年9月18日
出所: 韓国特許庁

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健康と利便性を工夫した眼鏡、特許出願が着実に増加

昔から「体が100だとすれば、目が9割を占める」と言い、目の重要性が強調されてきた。

最近行なわれた眼鏡に関する実態調査[1]によると、全国の小中高校生の眼鏡着用率の平均は40.1%であり、成人の場合、2人に1人が眼鏡を着用しているという結果が出た。これは1987年の24.1%より2倍近く増加した数値だ。

これを反映したかのように、最近眼鏡に様々な機能を追加した機能性眼鏡への関心も高まっている。

韓国特許庁によると、2002年~2011年の10年間、韓国の眼鏡関連特許出願件数は、3,733件と、2007年までには毎年約300件前後の特許が出願されたが、その後、持続的に増加して2010年645件、2011年541件と、眼鏡関連の出願がここ10年の間、2倍近く増加したという。

このように出願が大きく増加した理由は、眼鏡を単に視力を合わせるための道具にとどまらず、目の健康維持とともに、多様な機能を同時に利用できる機能性眼鏡へのニーズと、そのニーズに応えた光学素材技術の発展によるものだと分析できる。

機能性眼鏡に対する需要の増加は、特許出願につながった。ここ10年間、機能性眼鏡の国際特許出願件数は、2,412件と眼鏡全体の出願に比べ64.6%であり、特に2010年には431件が出願され、2002年214件より2倍以上増加した。

機能性眼鏡と関連した特許出願は、健康面をを考慮したもので、大きく2分野に分けられる。機能性眼鏡と関連した特許出願は、大きく健康面を考慮した(52.1%)ものと、利便性(49.9%)[2]を考慮したものに分けられる。

まず、健康関連では、光や水蒸気、電磁波のような外部要素に反応し、そこから目を保護するものだ。例えば、電磁波遮断眼鏡は、眼鏡の縁の鼻にかける部分と耳にかける部分全て4つの強磁性の金属チップを挿入して1つの磁場を形成し、この磁場が外部の電磁波を防ぐ。

また、眼鏡の縁にクリスタルのような物質を合沈して遠赤外線を発生する遠赤外線放射眼鏡もある。遠赤外線とは、赤外線のうち波長の長いものを意味するが、生体内の分子を刺激し、細胞を活性化することで、病気の治療効果を高めると知られている。

画像:電磁波を遮断する眼鏡、遠赤外線を放射する眼鏡

最近、最も活発に研究されている分野は、眼鏡に利便性を高めた眼鏡だ。例えば、居眠り防止用の眼鏡は、目の瞬きによる瞳の動きと皮膚の温度を測り、一定時間同じ結果が続く場合、運転者に警告音を鳴らす。

また、ハンズフリー眼鏡もある。これは、眼鏡の縁にブルートゥースモジュール及びバッテリパックを搭載し、そこにマイクやヘッドセットを有線でつなげた眼鏡だ。

画像:居眠り防止眼鏡、ハンズフリー眼鏡

その他にも、眼鏡にMP3を搭載して音楽が聞けるスポーツゴーグルや、運動中に眼鏡が滑り落ちないように工夫した「滑り落ち防止眼鏡」、状況に応じて眼鏡を取り替えできる「取り替え眼鏡」などもある。

韓国特許庁化学素材審査課のキム・ヨンジョン課長は、「スマートフォンやパソコン、テレビのようなデジタル製品が普及したことで、アイデアを生かした機能性眼鏡の特許出願も今後も増加するとみている」と述べた。


注記

[1] 2011年における全国眼鏡実態調査(大韓眼鏡士協会と韓国ギャラップによる共同調査)
[2] ここ10年間機能性眼鏡の全体出願件数に対する割合

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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