知的財産ニュース 交通事故減少の近道、今やデイライトがブーム

2012年8月24日
出所: 韓国特許庁

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デイタイムランニングランプの特許出願動向

「マイカー時代」という言葉も使われなくなるほど必需品になった自動車。2011年自動車の1世帯当たりマイカー所有台数は、0.91台であり、自動車の生産量は世界5位(資料2を参照)など、誇らしい数値ではあるが、交通事故死亡者数も経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、トップレベルとされている。こうした交通事故の防止対策として、先進国では、かつてからデイライトを義務化してきた。

デイタイムランニングランプ (Daytime Running Light, DRL) (通称デイライト)とは、日中の走行時に点灯させる別途の前照灯のことだ。対向車や歩行者などに被視認性を向上する目的と、周囲よりも目立っていることを運転者に意識させて事故の発生を抑える目的として使われている。

デイライトの光源は、白熱電球、ハロゲン・タングステンランプなどだったが、最近では、低消費電力で寿命の長い高効率のLEDランプが人気を得ている。

デイライトの点灯は、1972年フィンランドで初めて義務化され、その後、北欧諸国にも広がった。その効果として、北欧8.3%、ドイツ3.0%、米国5%の交通事故減少の効果が証明されており、韓国では、交通安全公団の発表によると、交通事故が19%減少する効果があり、それを交通事故減少コストに換算すると、4,249億ウォンに達するという。

韓国特許庁によると、2000年以降、車両のデイライト(またはヘッドライト)関連の特許出願は987件であり(2012年6月公開件数を基準)、このうち、デイライト関連は69件だ。 デイライト関連特許出願は、2000年まで毎年2~6だったが、2008年8件、2009年9件、2010年11件と増加基調が続いている(資料1を参照)。出願人別には、国内企業が約77%(53件)を占めており、外国企業の17%より高い割合を占めている(資料2を参照)。これは、国内企業がデイライトの点灯を義務化した先進国の動向に注目していたほか、2008年以降、韓国でもデイライトへの認識が広がり、制度化への社会的雰囲気が反映されたものとみられている。

デイライト関連特許出願において、車両の始動や走行状態、外部の明るさ、ワイパーの作動などと連動して自動的に点灯できるように工夫した点灯コントロール方式技術分野が約33%(23件)、部品回数及び組立工程を簡素化したコスト削減分野22%、デイライトとフォグライトなどを一体化した統合機能ランプ分野15%、その他技術分野が30%を占めている。消費者の購入意欲と密接な関係のあるコスト削減分野は、2007年以降、出願が着実に増加している。(資料3を参照)

デイライトは、外車や国内の高級車を中心に搭載されているため、贅沢品というイメージがあるが、OECD加盟国のうち、交通事故による死亡率が最も高い国という汚名を払しょくさせるためにも、 デイライト搭載・点灯の義務化への検討などが早期に行われるべきである。また、自動車大国という地位に見合うよう、 デイライト関連の技術開発と特許権が確保されるべきであり、なにより、国民の安全保障と自動車の質の向上に向け、市場競争力のある高仕様、低価格商品の開発が切実に求められている。

参考資料

資料1:前照灯関連の年度別における特許出願の動向

資料2:デイライトの内国人出願人の割合

資料3:デイライトの技術分野別の出願割合

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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