知的財産ニュース 三星、アップルに対する特許訴訟戦略修正か

2012年2月1日
出所: デジタルタイムズ

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ヨーロッパ連合(EU)執行委員会が、三星電子の独占禁止法規定違反の調査に着手したのは、アップルと激しく争っている特許戦争に対しての牽制措置であるとの見方が強い。三星電子の特許戦争に対する戦略が変化を迎えるのか注目される。

1日業界によれば、三星電子は、ヨーロッパ連合(EU)執行委員会が通信に関する独占禁止法関連の規定違反の有無について、公式調査に着手したことに対し当惑している模様だ。

EU執行委は、三星電子がフレンド(FRAND)規定の適用を受ける標準特許権をヨーロッパのモバイル市場で特許攻撃に使うなど、ヨーロッパ通信標準研究所(ETSI)に協約した事項を反故にしたのか否かについて検討することになった。ETSIが制定した標準特許技術と関連して代価を払った範囲で、誰でも活用することができるというFRAND原則を遵守したのかが問題だ。

三星電子はドイツ、オランダ、英国、フランス、イタリアなどヨーロッパ地域でアップルと訴訟戦を繰り広げ、3G特許を主な攻撃手段としてきたため、ヨーロッパ連合の今回の調査で三星は大切な切り札を失うことになり、当惑している模様だ。3G標準特許を使うことができない場合「フライトモード表示技術」など、一部のUI関連の特許ではアップルが相手では歯が立たないというのが業界の見解だ。

このような状況から、三星電子としては訴訟戦略の転換が避けられないように見える。EUの調査は、アップルとヨーロッパ各国で進行中の裁判にも悪影響を及ぼす恐れがあるため、三星としては最も丁寧に対応しなければならない懸案になったためだ。

法務法人エイファックスのパク・ジョンベク弁護士は「EU執行委が調査に着手した以上の疑いがないという判断を受けるのが被調査会社として最も良い結果だ」とし、「万が一、容疑が認められる場合、罰金などが賦課されるため、三星電子としてはEUの調査対応のために優秀な法務の専門家を投じなければならないだろう」と話した。

一方では、アップルとの訴訟戦をクロスライセンスで早期に終える可能性も提起される。アップルも訴訟戦を長引かせても良いことがないというのが専門家の分析だ。パク弁護士は「EUの今回の調査決定は、ヨーロッパ各国の裁判所がアップルと三星側全てに対する販売禁止措置に負担を感じて判決を自制する雰囲気があるのではないか」とし、「米国の裁判所などの様子を見ると、アップルもまた独占禁止法の疑いで思うように動けない」と話した。

三星電子関係者は「EUから正式に通知を受けられず、正確な関連内容を把握中であり、対応策の準備のために細密な内部検討を進行中だ」と話した。

パク・チソン記者

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