知的財産ニュース 特許戦争時代、企業の存亡を左右する「コツ」を提示

2012年7月10日
出所: 韓国特許庁

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産官学向け「特許観点からのR&D革新戦略」拡大のための懇談会を開催

韓国特許庁は、10日の午前10時ソウルのインターコンティネンタルホテルで中小・中堅企業のCEO及び大学・公的研究機関の関係者100人を招き、「特許観点からのR&D革新戦略」の拡大のための懇談会を行なうと発表した。

「特許観点からのR&D革新戦略」とは、特許が単なる研究開発の結果であるという認識を改め、未来を主導する製品の研究開発の方向性を「お金になるコア・独自技術の特許の獲得」として確立し、初期段階から強力な特許ポートフォリオを構築できるようにR&D戦略を練り上げるというものだ。

今回の懇談会では、ヴィナテック(株) (VINA Tech)と韓国エネルギー技術研究院がテーマ発表を行い、方法論を導入して得た具体的な事例と成果を共有する。

また、これまで事業に参加してきた特許専門家がR&Dの過程と特許情報を連携する方法論を分かり易く、すぐ真似できる「特許観点のR&D 革新戦略の手引書」として発刊し、懇談会の当日に配布する計画だ。

今回の発表会でヴィナテックの成ドギョン代表は、「弊社が巨額の投資が出来た理由は、『特許観点からのR&D革新戦略』をベースとして技術開発に当たり、海外の競合他社の特許を分析して対応策を策定し、自社技術を特許(48件出願)で保護することで、特許紛争に対する準備を事前に整えておくことができたためだ」と強調した。

韓国エネルギー技術研究院(黄ジュホ院長)は、再生エネルギー関連技術に同方法論を導入した結果、R&Dを推進するうえでネックとなっていた特許(4件)を解決することができ、多くの新規特許を出願(64件)して強力な特許ポートフォリオを構築することができた。未来のビジネスを確保するため、有望な13のR&D戦略課題を選定し、公的研究機関の成果拡大に向けて中小企業への技術移転覚書(MOU)を締結するなどの成果も出した。

今年で責任運営機関としての発足4年目を迎える韓国特許庁は、知的財産の大衆化に向けた政策の一環として「特許観点からのR&D革新戦略」の方法論を質的に充実化し、積極的に拡大していく計画だ。

金・ホウォン庁長は、「産官学を対象にして方法論が有効であることが確認されただけに、今後は、導入の範囲を政府R&D事業全体と自治体、公共機関のR&D事業にまで拡大させるようスピードを上げて支援を強化していきたい。」と述べた。


資料1:IP-R&D事業への参加企業・機関による懇談会の開催計画

IP-R&Dの方法論拡大及び成功事例を共有するためのIP-R&D事業への参加企業・機関による懇談会の開催計画

開催目的

2012年下半期のIP-R&D支援事業への積極的な取り組みを促し、成功事例を共有してIP-R&Dの方法論を拡大させる。

主な内容

日程・場所
2012.7.10(火曜日) 10:30~12:30・グランド インターコンティネンタル ホテル(三成駅)
参加者
韓国特許庁:特許庁長、産業財産政策局長、産業財産政策課長ら
R&D部署:知識経済部、防衛事業庁など事業連携部署・主管機関から5人(選定機関)
中小企業から50人、中堅企業から16人、大学4人、公的研究機関から26人
計101人が参加
※2012年下半期IP-R&D事業に選定された中小企業(43社)、中堅企業(16社)、大学・公的研究機関(13機関)
細部計画

時間

所要時間

主な内容

備考

10:20~10:30

10分

参加者登録

10:30~10:32

2分

懇談会の紹介

産業財産政策課長

10:32~10:37

5分

ご挨拶

韓国特許庁長

10:37~10:52

15分

IP-R&D事業の推進経過及び成果の分析

R&D特許センター所長

10:52~11:07

15分

政府によるIP-R&D戦略支援の成功事例

エネルギー技術研究院

11:07~11:22

15分

民間によるIP-R&D戦略支援の成功事例

ヴィナテック(株)

11:22~11:57

35分

IP-R&D競争力強化策を議論

参加者

11:57~12:00

3分

記念撮影

参加者

12:00~12:30

30分

昼食会

その他

「特許観点からのR&D革新戦略」の方法論の手引書を発刊・配布

資料2:成功事例発表の主な内容

ヴィナテック(株):特許・デザイン・ブランドを統合してIP-R&D戦略を構築

主な成果

2011年:スーパー・キャパシタの開発及び機能性を兼ね備えたデザイン・ブランドの開発にあたり、海外市場の進出に向けて特許紛争に対する専制的な対応基盤を構築

  • 先進的な競合他社との特許紛争の可能性が高まり、国内及び中国の低価格市場を中心に事業を推進しているうちに海外進出の際に先進企業の特許攻勢に対応する戦略作りの必要性が浮き彫りになった
  • 本事業を通じて先進企業のポートフォリオの確認及び対応戦略作りとして工場への新規投資拡大を決定
  • 他の応用分野の拡大に伴うスーパー・キャパシタの拡大可能な単位セル及びモジュール、高温化に関する自社の特許ポートフォリオを確保し、海外市場の進出に向けての前哨基地を確保
  • 特許とデザイン・ブランドが結び付いた最強の知財権ポートフォリオ及びトータル・アイデンティティー(TI=CI+BI+PI)構築を提供

韓国エネルギー技術研究院:新規特許の獲得及び技術移転

主な成果

2011年:再生エネルギーの統合運用に向けたスマート・フラットフォーム技術に関する未来新規特許を獲得し、有望なR&D戦略作り及び技術移転戦略を構築

  • IP分析を通じて把握できていなかった問題のある特許4件を見つけ、対応戦略を策定して研究のネックを除去
  • 再生エネルギー分散電源の電力系統を統合することで起こり得る停電、不安定性、出力変動などのリスクと安全性における問題を解決できる新規特許64件を出願して技術分野別にきめ細かな特許網を構築
  • 運営制御、電気自動車、スマート・ビル分野における13の未来有望技術戦略を確保し、未来のビジネスを確保
  • 調光制御システム技術分野の新規特許に基づき、(株)ヨンジンエレクコムと技術移転のためのMOU締結(需要技術の発掘及び技術マーケティング報告書(SMK)を通じて最終技術移転企業を選定)
  • SMK(Sales Material Kits):マーケティング対象技術に関する技術商品の手引書

資料3:「特許観点からのR&D革新戦略」手引書の発刊・配布

目的

IP-R&Dの方法論を民間に拡大させるために非参加企業、課題遂行機関などを対象に方法論を分かりやすく説明した手引書を発刊

主な内容

構成:IP-R&D戦略の確立プロセスに沿って5部※21枚に構成

※5部:前書き、IP-R&Dのための環境分析、R&Dのための特許分析、IPを活用したR&D戦略の確定、その推進

配布の対象及び日程

配布の対象:2009年~2010年の間に民間IP-R&D事業から脱落した参加企業(約520社)課題遂行機関(約600機関)、R&D部署・主管機関、大学・研究所などの1,300の企業・機関に配布

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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