知的財産ニュース 室内空気と屋外空気、どちらがキレイ?

2012年9月14日
出所: 韓国特許庁

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健康への関心と法規制の強化により、換気施設の特許出願が増加基調に

都市では、屋外の空気が室内空気より汚染されていると思われがちだが、各種の論文及び実験試料によれば、一般的に室内の空気が呼吸、厨房器具、建築材などで屋外空気より汚染されているという。

健康のために室内での有害物質を外部に排出する手段として換気施設に関心が寄せられている。例えば、最近分譲するマンションのモデルハウスにもリビングや各部屋の天井に換気口(吸排気口)が、バルコニの壁に換気施設が取り付けられている。

日本に続き、韓国でも2006年から関係法令(室内空気の質管理法など)により、多重利用施設だけでなく、100世帯以上のマンション(アパート)を新築する際にも、室内の空気質をその維持基準に合わせなければならず、換気施設の設置を義務化した。

こうした換気施設への関心と技術開発によって関連特許の出願が急増しているという。韓国特許庁によると、換気施設に関する年間特許出願件数は、2001年~2003年の年平均僅か7件だったのが2008~2010年には26件と約4倍増加した。

技術別に分析すると、換気施設の設置位置による構造(壁との一体型、窓との一体型、天井埋め立て型など)に関する技術が17%と最も多く、次に熱交換式の強制給排気に関する技術が14%、そのほかに制御、ダクトの配置や構造、ダンパー器具、換気器具などの順となった。

登録特許のなかでも注目すべき技術として、分離型壁体パネルや窓内部に換気施設を一体化して建物の構造や外観を配慮した技術(第1105943号デリム産業)、アパートのコンクリートと床に吸気パイプを埋め立てる技術(第0652146号ハンヤン大学産学協力団)、電熱交換機換気ユニットの各種センサー(温度、湿度、二酸化炭素のセンサーなど)を利用して室内空気の質をコントロールする技術(第0738227号光州科学技術院)、自然換気と機械換気を兼用できる技術(第0964979号韓国建設技術研究院)などがある。

韓国特許庁の関係者は、こうした電熱交換機、壁体パネル型、窓型などの換気ユニットを新築にはもちろん、従来の建物にも設置して部屋の中でも新鮮な外部空気を呼吸し、汚染された室内空気を排出できるため、健康にも役立つということでこうした技術の出願は、今後も持続的に出願されると予想した。

参考資料

年度別の換気施設の特許出願動向

技術分野別の換気施設の出願動向

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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