知的財産ニュース SKCコーロンPI、カネカとの特許訴訟で最終的に勝訴
2012年10月11日
出所: 電子新聞
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日本のお家芸とされてきた素材分野で、韓国のSKCコーロンPIが日本企業との特許紛争で勝利した。韓国の先端素材技術の高さを示す機会だとして期待されている。
SKCコーロンPIは、米国国際貿易委員会(ITC)が「SKCコーロンPIは、カネカが米国で使用している特許を侵害していない」という最終判決を下したと10日に発表した。これで、SKCコーロンPIは、日本化学メーカーのカネカとのPIフィルムをめぐる特許訴訟で最終的に勝訴した。5月にITC所属のロジャース行政裁判官が下した予備判定をITCがそのまま追認した形だ。
昨年4月、カネカは、SKCコーロンPIが4件の自社特許を侵害し、不公平な貿易を行っているとしてITCに提訴した。その後の約1年間、ロジャース行政裁判官は、事実調査と証人審問などを行ない、5月にSKCコーロンPIに軍配を上げる予備判定を下した。カネカが提起した主張が必需要件を証明できなかったというのが理由だった。
PIフィルムは、商業用の高機能性フィルムのなかでも耐熱性と耐寒性が最も優れている製品だ。IT機器の小型・計量化にともない、様々な分野でコア素材として利用される。SKCコーロンPIは、韓国唯一のPIフィルム生産メーカーだ。2008年に設立し、PIフィルム事業を積極的に展開してきた。国産化を通じてシェアを拡大した。
カネカの訴提起は、SKCコーロンPIの成長に歯止めをかけるための戦略だった。SKCコーロンPIの輸出先のなかで米国が占める割合は、全体売上高の1%にすぎないが、カネカは、海外市場の拡大を懸念し、提訴を提起したとみられている。
しかし、ITCがSKCコーロンPIの技術を認め、むしろSKCコーロンPIの認知度を高める結果をもたらしてしまった。世界のPIフィルム市場では、東レ‐デュポンとカネカが首位を争い、45%のシェアを占めている。SKCコーロンPIのシェアは約15%程度だと推算されている。SKCコーロンPIの関係者は、「米国での訴訟で勝利したことで、独自技術で開発したPIフィルムをもって世界PIフィルム市場のフロントランナーになり得ることを立証した。」とコメントした。
ムン・ボギョン記者
日付 |
内容 |
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2008年6月2日 |
SKCコーロンPIを設立 |
2011年4月1日 |
カネカ、SKCコーロンPIが特許を侵害したとしてITCに提訴 |
2012年5月10日 |
ITC、「SKCコーロンPIはカネカの特許を侵害していない」と予備判定 |
2012年10月5日 |
ITC、「SKCコーロンPIは、特許を侵害していない」と最終判決 |
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