知的財産ニュース サムスン、日本での訴訟で勝利

2012年8月31日
出所: デジタルタイムズ

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日本で行なわれたアップルとサムスンの特許訴訟でサムスンが勝利した。

東京地方裁判所の民事合意40部は、31日、アップルが「メディアプレイヤーのコンテンツとコンピュータ情報を同期化する方式」についての特許をサムスン電子が侵害したとして提起した特許侵害事実確認および損害賠償請求訴訟で、原告敗訴を言い渡した。

アップルは、昨年8月23日に、サムスン電子の日本法人が輸入・販売している「ギャラクシーS」、「ギャラクシーS2」、「ギャラクシーTab」がアイフォンとアイパッドの特許を侵害したとして訴訟を提起した。

この日の判決では、提起された特許のうち、一部のみ判決を下すものではあるが、サムスン電子とアップルの本社がある韓国とアメリカ以外の国で初めて下される判決だということで関心が集められていた。

アップルが提起した「メディアプレイヤーのコンテンツとコンピュータの情報を同期化する方式」関連特許は、MP3音楽ファイルなど、PCにあるメディアコンテンツをスマートフォン、タブレットPCなどに保存する技術だ。

サムスン電子の内部からも今回の判決は、自社に有利な結果になるという見方が多くなっていた。

アップルは、同期化する過程で、歌手名や曲目などのコンテンツに含まれた付加情報をベースに新しく保存するファイルなのか、保存されているファイルなのかを判定するが、サムスン電子は、名前とサイズで判定するなど、両社が採用したシステムが異なっていたためだ。

もちろん、アップルが提起した「バウンス・バック」は、韓国裁判所と米国の陪審員がともにサムスン電子の侵害を認めただけに、日本でも同じ判決が下される可能性が高い。

しかし、バウンス・ハックは、現在はアップデートなどで代替技術を適用した状態だ。したがって、この部分に限っては、サムスンが市場で受ける打撃はごく限られたものになると予想されている。

一方、日本の裁判所は、自国メディアも技術特許を重視する特徴があると評価しているだけに、今後、サムスン電子が提起した無線通信技術に関する特許をアップルが侵害したという判決が下される可能性も高まっている。

サムスンは、韓国では主に標準特許でアップルと戦っていたが、日本では「飛行モードアイコン表示」など、常用のユーザーインタフェース(UI)特許で訴訟を提起したため、アップル商品の販売差止め提起による独占問題もない。「公正かつ合理的、非差別的な(Fair, Reasonable And Non-Discriminatory)」を意味するいわゆる「フランド(FRAND)」規制により、標準特許は、相手商品を販売差止めさせることは難しいという見解もあるが、常用特許は、そのような制限がないためだ。

サムスン電子は、今回の判決を受け、「ギャラクシーS3」で8%台にとどまっている日本におけるシェアの拡大計画に弾みをつけるチャンスを得たといえる。

キム・ユジョン記者

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