知的財産ニュース 韓国企業、国際特許紛争が80%も増加

2012年8月21日
出所: デジタルタイムズ

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訴訟件数は昨年の278件、2年前の154件より急増
ITメーカーが特許紛争の主要ターゲットとして浮上

世界的なIT企業であるサムスンとアップルが一歩も譲れない特許訴訟合戦を繰り広げているなか、ITを基盤にしている韓国企業が特許紛争の主なターゲットとされている。韓国企業が技術競争力を確保して先端技術市場での主導権を拡大させているため、特許を武器に海外企業が韓国企業を牽制する戦略だと分析できる。こうした訴訟による攻撃は、特許の重要性が高まるにつれて、今後も続くと予想されている。

韓国特許庁と韓国知識財産保護協会は、20日、韓国企業と海外企業の間での国際特許訴訟件数は、2009年154件から昨年278件と、2年で80.5%も急増したと発表した。

特許紛争は、海外企業が韓国企業を相手に訴訟を提起する形が大半だ。2007年から今年5月まで韓国企業と海外企業間の特許紛争件数は、1070件とされており、このうち韓国企業が外国企業に訴えられたのは821件に達した。韓国企業が海外企業を提訴した件数の3倍も多くなっている。

ここ3年間の韓国企業の被訴件数は、2009年112件から2010年165件に増え始め、2011年に195件になるなど、毎年大幅増加している。一方、提訴件数は2009年42件、2010年21件、2011年83件となり、対照的な結果となった。

今年5月末までは、70件の国際特許訴訟が提起された。韓国の大手企業が提訴したのは1件に過ぎなかったが、提訴されたのは52件にのぼる。中小企業の被訴件数と提訴件数は、それぞれ15件、2件だった。これは、韓国企業の知的財産権紛争のうち、国内外の地方裁判所に提起された国際特許紛争だけを分析したものなので、各国の税関などに提訴されたことまで含めると、実際の訴訟件数はさらに多くなると推定される。

国籍別では、米国企業との紛争が670件(62.5%)と最も多くなり、日本企業が153件(14.2%)と後を次いだ。

いわゆる「パテントトロール」と呼ばれる特許管理会社(NEP)による提訴件数も急増している。米国のNEPが韓国企業を相手に提起した特許訴訟件数は、2009年32件、2010年44件、2011年89件となり、NEPの活動も注意すべきところがある。

韓国特許庁の関係者は、「韓国企業を相手にした訴訟が急増しているということは、それだけ韓国企業に対する各国の牽制が厳しくなったことを意味する。研究開発の段階から特許獲得を狙った先行特許調査と特許先取りに力を入れるべきだ」と述べた。

李ジュンギ記者

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