知的財産ニュース サムスンとLG、特許訴訟が感情的な争いに

2012年12月14日
出所: デジタルタイムズ

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本質を欠いた消耗的な争いに…産業界は「競争国の追撃が懸念」

来年、中国や台湾、日本などが有機発光ダイオード(OLED)技術の競争力確保に乗り出し、韓国メーカーを猛追撃すると予想されている中、グローバルチャンピオン企業に成長したサムスンディスプレイとLGディスプレイの訴訟合戦が激しさを増し、産業界は懸念の声を強めている。消耗的な特許係争が技術革新の足かせとなり、開発力量の集中を妨害しかねないという理由だ。

13日、サムスンディスプレイとLGディスプレイは、前日、サムスンがLGを相手に提起した液晶ディスプレイ(LCD)技術の特許侵害をめぐって攻防を交わし、感情的な争いを続けた。

この日の午前、LGディスプレイは、サムスンの技術について「パクリ」という過激な表現を使いながら強く批判した。特に、「アップルとの特許訴訟が革新を妨害するとして、訴訟の不当性を強調してきたサムスンが、国内の競合会社を相手には、いい加減な特許訴訟を提起している」と指摘した。LGの関係者は、「LGが独自に保有しているIPS技術のパクリにすぎないPLS技術で訴訟を提起したことは、常識的に考えてありえないことである。」とコメントした。

これに対し、サムスンディスプレイは、再反論して攻撃を続けた。「LGは、特許訴訟の内容について正確な理解もない状態で勝手な主張をしている」、「メディアを利用しようと考えるよりは、訴訟に集中してほしい」などと批判の声を強めたほか、「今回の訴訟は、IPSとは何の関係もなく、LGが独自の技術だと主張してきたAH-IPSが実は、液晶が立体的に駆動できるようにする技術であるPLS関連特許を勝手に盗用してきたということが焦点だ。」と強調した。サムスンは、「特許訴訟の対象となっている技術もきちんと把握しないで、でたらめな主張を繰り返しているLGを残念に思う。」と述べた。

業界では、来年度のディスプレイ市場で中国・台湾・日本などの競争国の追撃が強まると予想されている状況を踏まえ、両社の裁判沙汰に懸念の声を出している。現在、両社は特許侵害訴訟だけでなく、技術使用及び販売の差し止め仮処分申請まで進行しているため、それがお互い打撃をこうむることになって競争国に追い抜かれてしまう可能性があるということだ。まだ競争国との技術格差があるだけに、懸念するほどではないという向きもあるが、お互いの技術を傷つけるような状況が続いた場合、今後の技術開発が委縮しかねないため、技術競争力の弱まりも懸念されている。特に、元総合技術院長で新たにサムスンディスプレイに就任したキム・キナム社長が最近厳しい状況にある大型OLEDパネル生産問題を解決するため、OLED事業部長も兼任することになっており、技術イシューは一層デリケートにならざるを得ない状況だ。

業界の一部からは、「両社が訴訟過程で本質的な技術問題よりは攻撃に集中し、感情的な争いになってしまう」という見方も出ている。ある特許専門家は、「特許侵害を理由に訴訟を提起することは、法理的な判断を求めるのが目的であり、非難されることではない。ただ、かつての特許侵害訴訟の中には、過度な競争によるプライドの争いが原因になって特許の本質よりは消耗的な論争に変質してしまったケースが多くあった。」と指摘した。

イ・ホンソク記者

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