知的財産ニュース ITCも…米国は保護貿易主義に傾いているのか

2012年9月17日
出所: デジタルタイムズ

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米国の陪審員の評決に続き、米国国際貿易委員会(ITC)までアップルに軍配をあげ、米国の保護貿易主義への議論がさらに高まっている。

米国時間の14日、ITCは、サムスン電子がアップルを相手に提起した輸入差し止め申請についての予備判決で、「アップルが違反している事項はない」という決定を下した。サムスン電子は、昨年8月、アップルの製品が自社の特許4件を侵害したとしてアイフォン、アイポッド、アイパッドに対し、米国内の輸入差し止めを要請した。

サムスン電子が侵害を主張した4件の特許は、CDMAモバイル通信システムからエンコード/デコード伝送様式の混合指標パケットデータ伝送を支援するモバイル通信システムにおいて関連性の高いデータを送受信する方式スマートフォンのダイヤル方式デジタル文書ファイルの起動及び閲覧のためのユーザー・インターフェース(UI)と方式などの4件だ。このうち2件は、標準特許でCDMAからの伝送形式特許と安定的にデータを送受信できる技術特許が含まれている。

ITC委員の6人が下す最終判決は来年の1月頃だ。最近、モトローラがアップルを相手に提起した販売差し止め申請について、ITCが最終判決で予備判決を覆した例があったが、非常に例外的なことであり、予備判決が覆されるケースはゼロに近い。特にアップルがサムスンに提起した輸入差し止め要請についての10月の判決で、アップルに軍配を上げるのではないかという懸念も浮上している。

専門家は、ITCが今年に起きた国際貿易紛争について、自国企業に有利な判決を下し続けてきたことを踏まえると、今回の判決も「保護貿易主義の色合いが強い判決」だと批判した。特に、米国では大統領選挙を控えており、サムスンとアップルの特許訴訟絡みで保護貿易主義が度を増しているという指摘だ。

実際に、米国現地では、低迷している米国経済を上昇基調に転換させる数少ない企業の1つとしてアップルが挙げられている。米国のCNNマネーは、アイフォン5が3カ月で4500万台を販売するという見通しを示し、JPモルガンは、アイフォン5が米国の第4四半期におけるGDPを最大0.5%ポイント上昇させると大きく期待している。このように、アップルの復活が米国の経済に少なからぬ影響を与えているだけに、しばらくはサムスンとアップルの特許訴訟で、米国の保護貿易主義が影を落とすと分析されている。

特に、最近ITCは、今月初めに、ヒュンダイ重工業やヒョソンなどの韓国企業が輸出している超高圧変圧器について最高29%のアンチダンピング関税を科しているほか、米国の常務部は、昨年から韓国の電子業界にダンピング判定を下し、自国企業ワールプールを陰で支援している。

キム・ユジョン記者

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