知的財産ニュース 三星VSアップル、世紀の特許対決がスタート…真の勝者は?

2012年7月22日
出所: 電子新聞

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三星電子とアップルの間で繰り広げてられている特許訴訟合戦が山場を迎えた。アメリカでの特許本案訴訟が30日に始まるからだ。

世界最大市場のアメリカで「GALAXY Tab(ギャラクシー タブ)」と「GALAXY NEXUS(ギャラクシー ネクサス)」の販売差止め処分で苦戦を強いられている三星電子は、今、瀬戸際に立たされている。一方、イギリスで「三星電子は、アップルの製品を模倣していないことを明記した広告を行うべきだ」という屈辱的な判決を言い渡されたアップルも「GALAXY S3」の逆風に対抗するためには、必ず勝訴せねばならない。このビックマッチ勝負の結果によっては、スマートフォン市場の勢力図が塗り替えられる結果になりかねない。

訴訟の争点は…

三星電子とアップルの特許訴訟合戦は、予選ともいえる販売差止め仮処分の訴訟を経て本案訴訟への運びとなった。9ヵ国で訴訟を繰り広げている両社にとって、販売差止め仮処分訴訟は、大きな打撃にはならなかった。しかし、本案訴訟からは、特許の使用料支払い問題が扱われるだけに、判決の結果によっては大きな波紋が広がる可能性がある。世界最大市場のアメリカでの本案訴訟にきな臭い雰囲気が漂う理由だ。

アップルは、今回の本案訴訟でデザインとユーザインタフェース(UI)特許を問題にしている。一方、三星電子は、3世代(3G)通信特許侵害で対抗した。

アップルの武器は、既にアメリカ裁判所では認められたが、三星電子の通信特許は、諸国においてFRAND条項(公平で、合理的かつ非差別的にライセンスされる規定)に縛られているうえ、特許消尽論も認められている様子だ。三星がドイツ、オランダで敗訴した通信技術特許侵害をアメリカで立証できるかがカギとなる。

長き戦いに…

特許専門家は、本案訴訟の場合、判決までかかる時間が非常に長いため、両社間の特許合戦は当分続くと予想している。

特にアップルは、三星電子が新発売する「GALAXY S3」も訴訟戦に巻き込む構えを示しているだけに、いきなりの合意にこぎつける可能性は低いといえる。両社のトップが妥結しなければ、長期戦になるシナリオも排除できない。

アメリカ裁判所は、販売差止め仮処分訴訟でアップルに軍配を上げたため、本案訴訟でもアップルが有利だという見方が多くある。三星電子は、敗訴になると、直ちに連邦最高裁に控訴する可能性が高い。

崔ジョングク国際特許法律の鄭ウソン弁理士は、「アップルが三星電子を提訴したのは、特許侵害を立証して損害賠償請求額を狙っているというより、アンドロイド陣営全体をけん制することにその目的がある。アップルは、他企業とは違ってクロス・ライセンスを結んでいないため、いきなりの合意は期待し難い。三星電子が本案訴訟で新たな特許攻撃に出る可能性もあり、訴訟は長引くと予想されている。敗訴すれば直ちに最高裁に控訴して訴訟を続けていくだろう。」と述べた。

アメリカにおける訴訟の日誌

2011年4月
アップル、三星電子を特許侵害として提訴
2011年6月
三星、アップルに反訴
2011年7月
アップル、三星電子商品の販売差止め仮処分を申請
2011年12月
裁判所、アップルの販売差止め禁止の仮処分申請が棄却
2012年2月
アップル、三星電子を特許侵害で追加提訴
2012年4月
三星電子、アップルの追加提訴に反訴
2012年5月
裁判所、GALAXY Tab10.1販売差止め命令
2012年6月
裁判所、GALAXY NEXUS販売差止め命令

金インスン記者

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