知的財産ニュース サムスン電子、特許登録した元研究員に敗訴

2012年11月29日
出所: デジタルタイムズ

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韓国裁判所は、サムスン電子と退職研究員の間で繰り広げられていた特許権侵害訴訟と関連し、サムスン電子は退職研究員に60億ウォンを支払うべきだという判決を言い渡した。今回の判決は、企業と元職員の間で起きた特許権訴訟であり、今後予想される類似な事例にも影響を与えると見込まれている。

29日、ソウル中央地方裁判所民事12部(部長裁判官キム・ヒョンソク)は、サムスン電子の元首席研究員チョン氏が会社を相手に提起した職務発明補償金の請求訴訟において、「チョン氏に約60億3000万ウォンの補償金を支払うべきだ」として原告一部勝訴判決を下した。

裁判所は、サムスン電子が2000年7月から2007年の間、チョン氏の特許で得た収益約625億66000万ウォンの1割に当たる金額を補償額として定め、チョン氏に軍配を上げた。

チョン氏は、1991年から1995年までサムスン電子首席研究員として勤務し、高画質(HD)テレビジョンの信号処理の研究を行ない、国内外に特許を出願した。

チョン氏は、退社後、会社側が自分の特許で巨額の収益を得ていながら、インセンティブとして2億ウォンだけを支払い、正当な補償を行なわなかったとして裁判所に訴訟を提起した。

これについてサムスン電子は、訴訟対象となった動画情報の圧縮技術(MPEG)の特許開発時に、必要な各種のインフラやコストを支援したことを理由に、控訴などをはじめ、積極的に対応する構えを示した。

サムスン電子の関係者は、「該当特許は、特許専門家や弁護士など多くの専門人材が相当な時間を費やしたから収益化を実現できた。最近10年間、元役員に支払った補償金は、年平均約50億ウォンに達しており、業界では最高水準だ。」とコメントした。

イ・ヒョングン記者

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