知的財産ニュース タッチスクリーン「アップル特許」が成長のネックに

2012年11月27日
出所: デジタルタイムズ

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アップルが多くの関連コア技術を保有
市場拡大の足かせになると懸念…迂回技術が求められ

MS社のウィンドウズ8の登場でタッチスクリーン市場への関心が高まっているなか、アップルがタッチスクリーン関連のコア技術特許を多く出願しているため、市場拡大のネックになりかねないという見方が広がっている。

26日の業界によると、タッチスクリーン・タッチパネル技術が様々な角度から開発されている一方で、画面拡大や圧力認識などの関連技術を開発してもアップルが最近多くの特許技術を登録したため、その迂回または、使用料を支払わなければならなくなっており、直ちに関連市場が急拡大することが難しいという見通しが示された。

これについて、ディスプレイ部品素材研究センターのクァク・ミンギセンター長は、「インセル(in-cell)タッチの急速な市場拡大は限定的なものになる」と話している。インセルは、LCDパネルとタッチスクリーンを一体化する内蔵型タッチスクリーン技術だ。同センター長はさらに、「トランジスタ・インセル・タッチ技術は、アップルが特許を出願しているため、パネルメーカーがその技術を採用したいなら、類似技術を開発するか、迂回の特許を確保する必要がある。」と述べる一方で、「インセル・タッチの応用技術とそれを適用した製品は、スマートフォンからノートパソコンにまで着実に拡大していくだろう。」という予想を語った。

技術だけではなく、UI(ユーザー・インタフェース)の面でもアップルはコア技術特許の多くを確保している。専門家によると、2002年から約10年間、マルチタッチ関連の海外特許は約490件が出願されたが、そのうち64件がアップルによる出願だ。

電子部品研究院次世代融合センサー研究センターのキム・ゴンニョンセンター長は、「アップルの特許のうち、マルチタッチ入力ジェスチャーに関する15件の特許は、マルチタッチで出来る事実上の全ての指の動作が盛り込まれているため、その克服も課題」だと指摘した。

にもかかわらず、モバイル・デバイスを中心としたタッチスクリーン市場は徐々に成長していくと予想されており、関連技術の開発も進められている。

SKCハス新事業チームのキム・スンスチーム長は、4年後、携帯電話の9割がタッチスクリーンベースにシフトし、ノートパソコンもウィンドウズ8の登場で10台のうち1台以上はタッチスクリーンに変わると展望した。しかし、現在は大半を輸入に依存しているITO(酸化インジウムスズ)タッチパネルの単価が高価なうえ、透明透過率、重さ、強度などの問題があることを指摘し、代替材が必要だと説明した。同チーム長は、「来年末まで、こうした問題を改善したタッチモジュールを開発し、セットメーカーと議論して2年後をめどに量産体制を構築に乗り出す」と述べた。

パク・ジョンイル記者

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