知的財産ニュース 特許審判院、特許紛争関連の審判を早期処理

2012年3月30日
出所: 韓国特許庁HP

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これからは、特許紛争がさらに早く正確に解決されるようになる。特許審判院は、法院(裁判所)や貿易委員会に係留中である特許紛争関連の審判事件を迅速審判1)対象に追加指定し、審判請求後4ヵ月以内に処理することにしたと明らかにした。

最近、知的財産権に対する認識が向上し、特許についての関心が高くなっていることから、特許侵害禁止仮処分申請や特許侵害訴訟などのような特許関連紛争も増加している。三星とアップル間の特許訴訟や、オスラムと三星、LGとのLED照明に関する特許訴訟で分かるように、韓国は既に全方面に特許攻勢を繰り広げ、いわゆる「特許戦争」時代に突入したと言える。

韓国の特許侵害訴訟(損害賠償請求、仮処分決定)は、一般民事法院(地方法院、高等法院)で行なわれ、これとは別途に特許審判院では、実施者の製品が特許権に属するかを判断する権利範囲確認審判と特許の有・無効を判断する無効審判が行なわれる。特許審判院はこれまで特許侵害訴訟が係留中の権利範囲確認審判を迅速審判の対象として特許紛争の早期解決を支援した。

しかし、最近、特許侵害の有無の前提条件である特許の無効有・無が主要争点2)となり、無効審判に対する迅速な判断が一層重要になった。これにより、特許審判院では特許侵害訴訟が法院に係留中である時に請求された無効審判事件も迅速審判の対象に指定し、審判請求後4ヵ月以内に処理するように審判事務取扱規定を改正した。

また、貿易委員会が昨年9月に判定したレーザープリンター感光ドラム特許侵害不公正貿易行為3)の調査事件でも分かるように、不公正貿易行為判定でも特許権の無効有・無が重要な争点になることから、これと関連した審判事件も懸案によって迅速審判または優先審判に指定し、4ヵ月または6ヵ月以内に処理するようにした。

現在、特許審判院で審判請求後結果を受けるまで平均9ヵ月を要するが、迅速審判または優先審判と指定されれば、5ヵ月から3ヵ月程度の期間が短縮される。今回の改正で特許権、商標権の無効有・無が早期に判別され、一般民事法院や貿易委員会での無効判断に対する負担および審理期間が短くなると見られる。

一方、審判関連書類の提出期間に対する頻繁な期間延長申請で、審判処理期間が長くなる問題点を解決するために、優先・迅速審判に対しては無分別の期間延長申請を制限することにした。

ファン・ウテク特許審判院長は「今回の審判制度の改善で、全方面に拡散されている特許紛争が一層早く解決されるものと期待される。」とし、「しかし、今回の制度改善が実効を収めるためには、審判の当事者らの審理進行に対する積極的な協力が何よりも必要だ。今後も特許紛争の早期解決のために、口述審理を拡大するなど審判の質を高めて、審判長の効率的な審理指揮で期間をさらに短縮させていく」と述べた。


注記

1) 特許審判院は、審判事件を処理順位によって迅速審判、優先審判、一般審判に分けて処理している。
2) 大法院2012年1月19日宣告2010ダ95390判決では、特許権が無効になることが明白な場合に、その特許権に基づいた侵害禁止または損害賠償などの請求は権利濫用に該当し、許可されないと判示した。
3) 不公正貿易行為とは、「不公正貿易行為調査および産業被害救済に関する法律」第4項で規定する行為として、特許権など知識財産権の侵害行為や原産地表示違反行為などを言い、不公正貿易行為と判定されれば、輸出、輸入、販売、製造行為の中止、搬入排除および廃棄処分、訂正広告などの是正措置が下されることになる。

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