知的財産ニュース 韓国特許庁、特許情報院に先行技術調査の受注を丸投げ

2012年9月14日
出所: 電子新聞

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韓国特許庁が特許・実用新案の先行技術調査業務を傘下機関である韓国特許情報院に一括下請け(丸投げ)していたことが明らかになった。

サムスン電子とアップルの特許訴訟で知的財産権の重要性への関心が高まっているなか、韓国特許庁が知的財産サービス産業の育成において、却ってネックになっているという指摘が上がっている。

キム・ハンピョ国会議員(無所属)が韓国特許庁から受けた「先行技術の外部調査事業の推進実績」資料によると、2008年から2012年の現在、韓国特許庁が外部下請けで行った特許・実用新案の先行技術調査業務の8割以上を傘下機関である韓国特許情報院(特許情報振興センター)が行った。

この業務の民間会社の参加率は2割にも満たない水準だ。

今年も同じ状況が続いている。

韓国特許庁は、今年8万4230件(下請け費用236億ウォン)の特許・実用新案先行技術調査業務を外部の専門調査機関に依頼する予定だ。このうち、83.5%(7万306件、下請け費用197億ウォン)を韓国特許情報院に、残りの16.5%(1万3千924件、下請け費用39億ウォン)は、W社やI社などの民間会社2社に依頼する予定だ。

これは、2008年の民間知財サービス専門企業の下請け割合の20.03%より減少した数値だ。

キム・ハンピョ議員は、「韓国特許庁のこうした一括下請けは、2005年に民間知財サービス産業の育成に向けた先行技術調査業務に民間企業を参加させた目的に逆行するものであり、知財サービス産業の育成を義務付けた知的財産基本法の旨にも反するものだ。」と批判した。

韓国特許庁が発注する先行技術調査の外部調査事業に民間知財サービス専門企業の下請け割合が毎年減少しているのは、韓国特許情報院の度を超えた市場参加、特許庁指定の専門機関への高い進入障壁などが理由として挙げられる。

韓国特許庁の内部指針である「先行技術調査の専門機関の指定及び運営に関する要領」では、専門機関の指定は特許庁長がいくつかの専門機関を定め、指定計画を公告し、民間会社が参加する方法で行われているが、2008年以降公告は1度も行なわれなかった。

すでに指定されている民間知財サービスの専門企業も指定取り消しなどで変更された場合が1度もなく、新規会社が参加する可能性が非常に低くなっている。

韓国特許庁が傘下機関に一括下請けを行なったうえ、追加の専門機関の選定も怠り、零細な知財サービス業界では、「韓国特許庁が知財サービス産業を育成しているところか、逆に枯死させている」という不満の声が上がっている。

キム議員は、「知財サービスへの韓国企業の需要が高まっているが、国内の知財サービス会社が零細であるため、大企業は、巨額の資金を海外知財サービス会社に支払っている。グ-ローバル知財サービス企業と競争できるよう、国内の民間知財サービス産業を積極的に育成すべきだ。」と強調した。

シン・ソンミ記者

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