知的財産ニュース 5万ウォン券お札、特許が守る

2012年8月16日
出所: 韓国特許庁

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様々な特許と偽造防止技術で守られている5万ウォン券

「お金の味」は甘いもの。だからこそお札の偽造への誘惑に駆けられてしまう。我々が使っているお札の中に偽造物があると想像するだけで恐ろしくなる。

韓国の中央銀行に当たる韓国銀行によると、これまでは1万ウォン券の偽造がほとんどだったが、今年の上半期では5万ウォン券の偽造が前年同期比567%も増加したという。

しかし、5万ウォン券を完璧に偽造できる可能性はほぼ「0(ゼロ)」に近い。最高額紙幣である5万ウォン券は、なんと20種類以上の偽造防止技術(立体型部分露出銀線、帯型ホログラム、パールインキ、すき入れ及び銀線、特殊蛍光インキ、深凹版印刷など)が取り入れられており、全ての技術を偽造することは至難の業であるためだ(参考1)。

このうち、代表的な技術として立体型部分露出銀線(Motion)、帯型ホログラム、パールインキ及びすき入れが挙げられる。立体型部分露出銀線(Motion)は、銀行券を上下に動かすと太極模様は左右に、銀行券を左右に動かすと太極模様は上下に動いているように見える。帯型ホログラムは、見る角度によって韓国の地図、太極模様、4卦模様が同じ位置で交代に現れ、その間に額面数字の500000が縦書きになっている。パールインキは、銀行券を傾けると額面数字の色が赤紫色から緑色に変わる。すき入れは、券の表面の肖像と同じく「申師任堂」のすき入れが施されている。

国別では、立体型部分露出銀線(Motion)の特許は米国が、帯型ホログラムの特許は米国、ドイツ、日本が所有している。韓国造幣公社は、パールインキ及びすき入れの特許を保有している。

現在、立体型部分露出銀線(Motion)の特許を保有している米国は、約10件の特許ポートフォリオで強力な特許網を構築し、世界11カ国の銀行券から収入を得ているという。

偽造・変造防止技術は銀行券だけでなく、パスポート、身分証明書、商品、医薬品、酒類など、様々な分野で広く採用されているため、今後、関連市場は、拡大していくものと予想されている。

韓国特許庁化学生命工学審査局の洪ジョンピョ局長は、「特許そのもので収益があげられるコア基盤特許を先取りする必要があり、企業は、研究の結果物としての特許ではなく、最初から特許獲得を目的にした研究を目指すべきだ」と述べた。

参考:5万ウォン券の偽造防止技術(セキュリティー要素)

図:5万ウォン券の偽造防止技術(セキュリティー要素)

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