知的財産ニュース 韓国型特許取引所は「時期尚早」

2012年8月22日
出所: 電子新聞

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特許を株式のように取り引きする韓国型知的財産(IP)取引所の導入は、時期尚早だという評価が出た。活発に取引できるインフラが不足しているという理由からだ。

韓国産業技術振興院(KIAT)は、21日、IP取引所のモデルを研究した結果、事業の妥当性が不十分だという評価が出されたと発表した。IP取引所とは、特定製品を生産する特許ライセンスに値段をつけて株式のように取引するという概念だ。KIATは、5月から「ライセンス権基盤の知的財産取引所モデルの研究」課題を進めてきた。特定のライセンス権者が特許を独占して権利を行使することを防ぎ、特許の大衆的な利用を促すフラットフォームと制度を設けようという狙いだった。

米国は、昨年12月に製品・部品・特定技術単位にライセンスをまとめて取り引きするIP取引所「IPXI」を発足させ、運営している。韓国型IP取引所がベンチマークするモデルだった。KIATは、「ベンチマークしたいIPXIも関連情報を公開しないほど、米国でもIPXIが活性化されていない状況だと聞いている」と述べた。

IP取引所が活性化されない理由として、特許ポートフォリオの構築が難しいということが指摘される。特許を株式のように取引きするためには、ライセンスをまとめてポートフォリオを構築することが重要だが、そのための基盤が構築されていない。産業界では、「企業・研究所・大学などのライセンス供給者のが、出願した特許をまとめてポートフォリオを構築することは難しい。需要者側からみても、特許ライセンスを取引所で購入する文化がまだ定着していない」と述べた。

KIATは、「知識経済部の国家技術事業化双方情報網(NTB)、韓国特許庁のIPマートなどの技術取引関連のホームページはあるが、供給者中心だという限界がある。技術移転・取引情報と流通システムが存在しているが、システムの連携が不足しているため、高品質の特許情報の提供ができていない。」と指摘した。あるIPサービス会社の代表は、「取引サイトは、特許のデータベースが構築されただけであって、流通の面では骨抜きにされている。特許取引の活性化に向けた認識の向上が先行されるべきだと」述べた。

権ドンジュン記者

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