知的財産ニュース 韓-中間、特許審査ハイウェイを1日から実施

2012年3月2日
出所: 韓国特許庁HP

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韓国特許庁は、韓国と中国両国に同一の発明が出願された場合、韓国で特許を受ければ、これを利用して中国で早く審査を受けることができる特許審査ハイウェイ(PPH)制度が、3月1日から試験実施に入ったと発表した。

韓・中PPHは、2011年11月両国の特許庁長会談での合意によるもので、相手側の審査結果を活用して、特許審査に必要な期間を短縮するための制度。

韓国と中国で特許を受ける場合、両国に各々出願して審査を受けなければならないが、同一の出願に対して片方の国で先に特許を受けた場合、これを基に相手側の特許庁に優先審査を申請することができる制度だ。

WIPO(世界知的所有権機関)が昨年12月に発表した「World Intellectual Property Indicators 2011年版」によると、2010年の中国特許庁への外国人特許出願件数は、9万8,000件におよび、このうち韓国の出願は7,200件に達した。それだけ、韓国企業の中国特許の確保に対する努力が活発だということを意味している。

現在、中国特許庁の特許審査処理期間は24ヵ月程度かかることが知られているが、相対的にはるかに早い韓国特許庁の特許決定を受けた出願人は、その結果を活用して中国での特許取得期間を短縮することができるという事だ。通常、韓国特許庁は、最初の審査通知に平均16ヵ月程度かかるが、グリーン技術、専門機関の先行技術調査の提出など、国内の優先審査制度を通じて迅速に特許決定を受ける場合、はるかに短い期間で中国での審査手続きを行えると思われる。

今回の韓・中特許審査ハイウェイの施行により、韓国との特許審査ハイウェイ施行国は米国、日本、イギリス、ドイツ、デンマーク、ロシア、スペイン、カナダ、フィンランドなど10ヵ国に増えた。世界全体における特許出願の70%以上を占める国と特許審査ハイウェイ協力体系を構築したということだ。

金・ヨンホ特許庁電気電子審査局長は「PPHを通した審査結果の共有は、技術とアイデアで武装した革新企業が、グローバルビジネスを展開していきながら海外の知的財産権戦略を駆使するのに非常に有効だ」とし、「しかしながら、PPHが決して相手側の審査結果をそのまま受け入れるのではなく、むしろ相手側の審査結果に対する牽制はもちろん、特許庁間の激しい審査品質競争を意味するものでもある。」と述べた。

参考資料

国家別 PPH施行現況(カッコは施行日)

PPH(10ヵ国)

  • 日本 (2007年4月1日)
  • 米国 (2008年1月28日)
  • デンマーク (2009年3月1日)
  • イギリス (2009年10月1日)
  • カナダ (2009年10月1日)
  • ロシア (2009年11月2日)
  • フィンランド (2010年1月4日)
  • ドイツ (2010年7月1日)
  • スペイン (2011年7月1日)
  • 中国 (2012年3月1日)

韓-中間における出願統計

特許出願(単位:件数)

年度

'09

'10

韓国⇒中国

5,909

7,178

中国⇒韓国

426

517

特許審査ハイウェイ施行国における特許出願統計

2010年特許出願(単位:件数)
出願
中国 391,177
米国 490,226
日本 344,598
イギリス 21,929
ドイツ 59,245
デンマーク 1,768
ロシア 42,500
スペイン 3,779
カナダ 35,449
フィンランド 1,833
その他 586,629
全体 1,979,133

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