知的財産ニュース LED・二次電池の特許紛争が拡大

2012年3月4日
出所: デジタルタイムズ

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今や特許戦争は、発光ダイオード(LED)と二次電池など素材分野にも拡大している。モバイルと半導体分野に続いて、LEDに対する国内企業の競争力が増加し、グローバル企業がこれを牽制するために「特許」を活用している状態だ。完成品に続いて素材分野にまで競争力が拡大している二次電池分野では、国内企業間で主導権を獲得するための特許紛争が発生するなど、今や特許戦争は全方位に広がっている。

LEDの場合、昨年深刻な特許紛争が繰り広げられ、特許戦争という言葉を実感するようになった。まず、昨年3月にフィリップスがソウル半導体を相手にLED製作と関連した5種類の特許を侵害したとして、米国,カリフォルニア中央地方裁判所に訴訟を提起したのが始まりだった。これに対してソウル半導体が去る5月、韓国の裁判所とドイツの裁判所にフィリップスを相手にLED照明関連の特許侵害訴訟を提起、両社の訴訟戦が深刻化した。6月には、オスラムが三星(三星電子-三星LED)とLG(LG電子-LGイノテック)を相手に相次いで特許訴訟を提起した後に訴訟合戦となり、追加訴訟が提起されるなど特許戦が拡大した。また去る2010年5月、GEライティングが東部ライテクの前身であるファウテクノロジーを相手に提起した訴訟も、この一年ずっと続けてきた。

昨年末に、関連のライセンス契約が相次いで締結され、企業間の特許戦争が沈静状態に入った。昨年12月、ソウル半導体とフィリップスがクロスライセンス契約の締結により、8ヵ月余りに渡った特許紛争を終結させたのに続き、年末にはGEライティングソリューションも東部ライテク(旧ファウテクノロジー)とライセンス契約を締結して訴訟を取り下げた。しかし、オスラムが三星とLGを相手にした訴訟戦がまだ終わっていないうえに、LED照明市場の成長の可能性がますます大きくなっていることを勘案すると、いつでも特許紛争が起こり得ることが考えられることから、まだ安心できる段階ではない。

特許問題に対する敏感度が高まっているが、主にグローバル企業と国内企業間で発生していた特許紛争が、国内企業間にも発生し始めた。ごく最近発生した代表的な特許紛争は、二次電池業界において国内産業の競争力が完成品に続き素材分野に拡大していることによる結果と思われる。去る1月、LG化学が未来核心事業である二次電池の4大核心素材(両極材・陰極材・電解質・分離膜)のうち、分離膜技術と関連してSKイノベーションを相手に特許侵害訴訟を提起したのに対し、SKイノベーションは特許無効審判請求で対抗、国内屈指のグループ間特許紛争も行なわれている。業界では、電気自動車のバッテリー分野を主導しているLG化学が、後発企業のSKイノベーションを牽制するために訴訟を提起したと分析している。

最近の特許訴訟は、企業が保有する技術の保護レベルではなく、ライバル排除および金儲けに変化しており、各企業はより積極的な対応が必要だという指摘が特許専門家の間で提起されている。日亜の源泉特許を中心に少数企業等が特許ブロックを構成していたLEDの場合、挑戦者だった国内企業には金銭的被害とともに事業展開に大きな障害物として作用する事もあった。日亜は市場支配的地位を強化するために去る2002年、主要4企業とクロスライセンス契約を締結して「ビッグ5」を構成、特許ブロックを構築した。 このため国内企業のソウル半導体は、日亜との特許紛争が行なわれた去る2008年、訴訟費用に約300億ウォンを支出しなければならず、海外市場の開拓にも多くの困難を経験した。

ここに競争力のある特許確保が、グローバル企業としての成長条件のうちの一つとして浮上、各企業は特許確保および保護に積極的に取り組む態勢だ。差別化された技術力で特許を確保するだけでなく、特許を新しいビジネス資産として活用できるという点を認識し、現在の主力事業だけでなく、未来の新事業まで包括する特許ポートフォリオを構成していく計画だ。既存の石油化学事業とともに二次電池を未来の新しい成長動力として育てているLG化学は、昨年国内外に2125件の特許を出願するなど、去る2008年から毎年10%以上特許出願件数を増やしている。これは他より先に特許を先行獲得するという戦略で、事業部門の戦略と密接に連携して製品の開発初期から事業化段階までリアルタイムで特許問題に対応できる「全社的特許経営システム」を構築、運営したのが功を奏した。また弁理士、米国の特許専門家および各技術分野別の特許設計専門家など計36人の職員を保有し、人材確保にも努力を傾けたと会社側は説明した。

ユ・ジンニョンLG化学技術研究院長は「最近のようなグローバル市場競争時代は、強力な特許開発がやがて卓越した成果創出につながる」とし、「特に素材分野の基盤技術の特許ポートフォリオを集中的に育成するために、研究開発(R&D)とともに特許経営を持続的に強化していく」と述べた。

李・ホンソク記者

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