知的財産ニュース アップル「脱・サムスン部品」始まった

2012年8月31日
出所: デジタルタイムズ

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米国のサンノゼ裁判所の陪審員がアップルとサムスン電子の特許訴訟でアップルに軍配を上げたなか、両社の対立が激しさを増している。そのため、これまでの部品供給関係にも変化が予想されている。両社は、特許訴訟と部品取引を切り離しているが、今回の訴訟による影響は、どのような形であれ、部品取引の関係に影響を与えると見られている。

アップルの「脱・サムスン戦略」が本格化するという見通しがそれだ。しかし、アップルがこの戦略を取るためにはTSMC、グローバルファウンドリなどの半導体委託生産(ファウンドリ)メーカーが十分に後押しできるかがカギを握る。

朝日新聞は、30日付で今回の訴訟でアップルが示したサムスンへの強硬姿勢からアップルの「脱・サムスン部品戦略」が窺えると報じた。

部品の需給に関する「脱・サムスン戦略」は、昨年から浮上していた。アップルとサムスン間の特許訴訟合戦が本格化したことで、アップルは、現在アイフォンシリーズに採用しているA5などを台湾のTSMCで生産しようとする動きがあった。しかし、TSMCがサムスン電子と同じ歩留り率と生産性を確保できず、今年のサムスン電子ファウンドリ事業でアップルの割合は以前より高くなった。

市場調査機関のICインサイトは、今年のサムスン電子ファウンドリ事業におけるアップル製品の生産割合は、昨年の70%から今年85%に増え、28億ドルになるという見通しを示した。APの大半は、サムスン電子の米国オースティン工場で生産されている。それだけでなく、NAND型フラッシュメモリやモバイルD-RAMもサムスン電子から供給している。しかし、新聞は、今年の秋に発売するアップルの新アイフォンに搭載されるモバイルD-RAMをエルピーダに大量注文しており、来年以降に発売する次期プロセッサーA6の生産もTSMCが主導することになると報じた。

ブルームバーグ通信も最近、アップルとクアルコムがスマートフォンに搭載されるチップを確保するため、TSMCにそれぞれ10億ドル規模の投資を提案したが断れたと米国時間の28日に報じた。

アップルとクアルコムは、TSMC工場の一部に専用ラインを設け、安定的な半導体供給の確保を狙ったが、TSMCは、特定のメーカーに専用工場を作ることはできないという立場を示したという。

現在、アップルは、部品供給を様々なメーカーから供給される方針を徹底的に追求している。特定のメーカーに依存することを排除するためだ。ただ、アップルが直接設計し、委託生産しているAPプロセッサーの場合、サムスン電子が大半を生産している。

業界は、今回の訴訟を機に、アップルがAP生産もTSMC、グローバルファウンドリなど、ファウンドリ専用のメーカーを通じて多角化を図ると見ている。20ナノ台の先端工程での歩留り率と価格が変数ではあるが、アップルの「脱・サムスン電子部品戦略」は、始まったといえる。

業界通は、「アップルがモバイルAP生産をTSMCに持続的に依頼しており、グローバルファウンドリとの交渉も進行中にある。サムスン電子を完全排除することは難しいが、徐々に割合を減らし、AP生産の多角化を図るだろう。」と述べた。

カン・スンテ記者

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