知的財産ニュース 特許紛争の予防に向けた日中韓3ヵ国の協力が実現

2012年11月8日
出所: 韓国特許庁

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商標紛争の予防に向けた中韓両国の審判協議体の構築にも合意

日中韓3ヵ国の特許庁長が域内の特許紛争の予防や対ASEAN知財権分野の協力を拡大するための取り組みを強化することで合意した。

韓国特許庁のキム・ホウォン庁長は、11月7日、中国の無錫で中国特許庁の田力普庁長、日本特許庁の深野弘行庁長とともに第12回日中韓特許庁長会談を開き、審判専門家会議の設立の推進、特許制度の統一化議論の加速化、特許審査の協調体制の強化などについて合意した。

特に、審判専門家会議の設立及び特許制度の統一化に関する合意は、3ヵ国間の特許審査及び審判に関する制度と慣行の差による不要な特許紛争の防止に貢献すると期待されている。

また、次回の会議からは、3ヵ国庁長会議に知財権ユーザー・グループを参加させ、域内の知財権ユーザーのニーズを3ヵ国協力事業に反映していくことにも合意した。

さらに、3ヵ国は、知財権分野におけるASEAN国との協力の強化を図ることにした。

キム庁長は、「世界特許出願の約5割を処理している日中韓3ヵ国の特許庁の協力は、グローバル知的財産制度の発展を東アジアがリードできる大事な土台だ。」と評価し、特許当局間の国際協調を通じ、特許紛争の予防に一層取り組んでいきたいと述べた。

日中韓特許庁長会談の開催の前日である11月6日、無錫で開催された中韓商標庁長会談では、両国が商標審査及び審判分野における両国の制度の調和を図るために共同審査事業・審判官の協議体を構築することで合意した。

中国側の首席代表である国家工商行政管理総局の付双建副局長は、「知財権分野において韓国の発展経験は、他国が学ぶべき素晴らしいモデルになっている。」と評価し、相互理解の向上及び協力強化への意思を示した。

両庁は、こうした協力強化を実現するために、審査官・審判官の人的交流をさらに活性化するほか、商標制度の共同説明会を開催することにも合意した。

日中韓特許庁長の会談及び中韓商標庁長会談の主な合意事項

区分

合意事項

意味

日中韓
特許庁長会談
(11.7)

審判専門家会議の構築を推進

各国の審判制度を3ヵ国特許庁が共同で研究し、制度の差による不評な特許紛争の発生を予防

審査比較研究報告書を採択

3ヵ国の審査実務の差に関する報告書を採択することで、制度への理解を高める一方、審査実務の統一化に向けた基礎資料として利用

ユーザー・グループの参加

3ヵ国の知財権ユーザーが3ヵ国の特許庁長とともに参加する連席会議を20133年から開催し、ユーザー配慮型国際知財権システムを構築

3ヵ国共同のウェブサイトを一般に拡大公開

3ヵ国の協力事項をウェブサイトに公開することで、透明性と情報アプローチ性を向上

中韓
商標庁長会談
(11.6)

審判官協議体を構築

両長官の審判官交流を通じて商標分野の紛争段階についての相互理解を向上

共同審査

国際商標出願について両国が共同で審査することで両国の商標制度及び審査慣行の差を把握

商標制度の説明会を共同で開催

韓国企業の最大出願国である中国に対し、中韓商標当局が開催する共同説明会を通じて現地の商標制度についての正確な情報を提供

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