知的財産ニュース 夢の新素材グラフェン、太陽電池と融合

2012年11月23日
出所: 韓国特許庁

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グラフェンを利用した太陽電池の特許出願が増加

最近、新素材のグラフェンと新再生エネルギーの太陽電池を組み合わせた技術が脚光を浴びている。

グラフェンは、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン (fullerene)のように炭素で構成されたナノ物質であり、カーボンナノチューブを平面に広げた形で2次元の平面形態となっている。グラフェンは、銅より100倍以上も電導率が良く、半導体の主な材料となっている単結晶シリコンより100倍以上電子の移動スピードが速い。グラフェンは、たった1つのカーボン層に構成されているため、光をよく透過させたり自由に曲げられたりすることができる。こうしたメリットにより、グラフェンは電子情報産業分野の新素材として注目されている。

一方、太陽電池は、光起電力の効果を利用して太陽光線の光エネルギーを電気エネルギーに変換する半導体素材となっており、無公害であるうえ、資源の無限性により新再生エネルギー技術のなかでも商品性が優れているが、低効率に高発電単価、初期の投資費用が高さというデメリットがある。

韓国特許庁によると、グラフェンを利用した太陽電池技術の特許出願は、2008年4件、2009年12件、2010年33件、2011年42件と、最近大きく増加しているという。

太陽電池の効率を高め、単価を削減する方法として素材分野の技術開発が積極的に行われており、グラフェンを太陽電池に適用する技術の出願が中心となっている。太陽電池の電極には、一般的に銀やアルミなどの金属薄膜が使用されていたが、グラフェンを太陽電池電極や導電層、導電性物質として使い、太陽電池の効率を高める。

特許出願された技術は、グラフェンの高電導度を利用した電極や導電層、グラフェンの光を透過させる特徴を利用したカーボン基盤のナノ素材透明電極、グラフェンの柔軟性を利用したフレキシブル基盤の電極などだ。こうした技術を薄膜太陽電池、色素増感太陽電池(DSSC)、有機太陽電池などに適用するなど、様々な研究開発が行われている。

韓国特許庁の関係者は、グラフェンの商用化技術及び量産化技術の開発とともに、太陽電池の高効率化と低価格を実現するため、素材分野の技術開発がこれからも積極的に行われ、関連の特許出願も増加するという見通しを示している。

資料:グラフェンを利用した技術の特許出願件数(未公開も対象)及びその動向

年度

2008

2009

2010

2011

出願件数

4

12

33

42

図:年度別における出願動向グラフ

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