知的財産ニュース コア・基盤技術特許確保が可能な30大の有望な技術選定

2012年12月5日
出所: 韓国特許庁

3921

韓国特許庁、特許分析に基づいてバイオ・移動通信・ロボットの3大産業分野から30の有望な技術を選定して初めて発表

今後3~5年以内にコア・基盤技術の特許を先取可能な有望な技術として成体幹細胞の技術、人間模写メカニズム技術(生体情報システム)、モバイル拡張現実技術など、30の技術が選定された。

知識経済部・保健福祉部・国土海洋部・放送通信委員会などの政府R&D部署が参加し、バイオ・ロボット・移動通信の3大事業分野から特許分析に基づき、分野別に10大有望な未来技術を選定したと韓国特許庁が4日に発表した。
※バイオ(知識経済部・保健福祉部・国土海洋部)、移動通信(知識経済部・放送通信委員会)、ロボット(知識経済部)

3大分野別の30の有望な技術は、関連部署が積極的に取り組み、100大の候補技術を選定した後、韓国の特許競争力の分析、特許紛争情報の分析、技術別・出願人別の特許障壁の分析、空白特許領域の分析など、深層分析を通じて選定したものだ。韓国特許庁は、30大の有望な未来技術を関連部署に提供し、2013年政府R&D課題の企画に活用するよう求めた。

ロボット分野を推進する知識経済部は、既にロボット分野の企画R&D課題9件のうち8件に今回の事業結果を反映しており、移動通信分野担当の放送通信委員会とバイオ分野担当の保健福祉部、国土海洋部も2013年課題選定の際に特許観点の有望な未来技術を積極的に反映する予定だ。

知識経済部ロボット産業分野の担当者は、「特許観点の有望な未来技術を選定し、より客観的な立場で課題を選定することができた。ロボット分野のR&D課題を企画するうえで大きく役立った。」と評価した。

韓国特許庁は、今年、この3分野を皮切りに年次的に18分野に拡大し、特許観点から有望なR&D課題を選定する計画だ。

来年にも、今年に推進した3分野を除いた15分野の中から関連R&D部署と民間の需要を反映して4分野を選定し、有望な未来技術を選定する計画だ。

これまで、政府R&D課題の企画が主に専門家の主観的な評価方式によって進められ、特許観点で重要なR&D課題が推進されるとは言えない状態だったが、これからは、深層的な特許分析の結果に基づいた特許創出の可能性が高いR&D課題が企画・推進される可能性が高くなると期待されている。

キム・ホウォン庁長は、「特許観点から導き出された有望な未来技術に韓国のR&D力量を集中すれば、質の良いR&D特許の創出が可能になり、それがR&D投資効率性を向上し、今後、韓国におけるR&Dの青写真を提示できると期待している。今後、さらに多くの産業分野に同事業の支援を拡大していきたい。」と述べた。

資料1:特許観点の有望なR&D課題選定事業の概要

概要

有望産業分野の選定

部署の需要調査に基づいて3大産業分野※を選定
※3大産業分野:バイオ(知識経済部・保健福祉部・国土海洋部)、移動通信(知識経済部・放送通信委員会)、ロボット(知識経済部)

IP戦略技術の体系づくり

産業分野別における関連部署のR&D技術体系と現場の技術需要を収集・統合して特許分析の基礎的な技術体系を確立

有望な技術の候補選定

定量分析(浮上技術の分析など)を通じて産業分野別の100大有望な技術の候補を選定
産業分野別の定量分析(胎動期・発展期・成熟期・衰退期・復活期など)を提示し、上位100大の浮上技術を有望な技術の候補として選定

有望な技術の選定

100大の有望な技術の候補について特許を深層分析※し、有望な技術の候補別に強い特許確保の可能性の把握及び創出戦略を提示
※深層分析:技術別の特許係争の現状と特許障壁を分析、IP History分析、空白領域の分析(目的(問題点)/(解決)手段はマトリックス)
特許分析の結果に基づき、100大の有望な技術の候補別にIP確保可能な類型(基幹技術、改良特許など)を分類し、技術専門家の技術面での実現可能性を検討・比較し、上位10大技術(S急の基幹技術特許の確保可能な技術中心)を有望な技術として選定

IP確保類型の定義

IPの類型

定義

S級

基幹特許

技術的な基礎概念または、それに近い技術を具現した特許

A級

コア特許

技術を具体化・高度化・製品化するためのコア技術に対する特許。
独自の製品及び量産技術で戦略的な提携(クロス・ライセンス)可能な特許

B級

改良特許

製品の効率的な量産を実現するため従来の技術を改善する特許

有望なR&D課題選定

有望な技術を中心に追加の深層分析を通じて強い特許創出が可能な有望R&D課題を選定

IP戦略報告書の作成

有望な技術及び有望R&D課題の選定段階までの分析経過及び結果を統合したIP戦略報告書(100大候補技術別に作成)を作成

主な推進結果

図:主な推進結果

推進体系

事業推進の体系構成図

資料2:3大産業分野の10大有望な技術

バイオ分野

番号

有望な技術

概要

1

成体幹細胞技術

特定組織の細胞に分化可能な未分化状態の細胞で、臓器の再生が可能であり、倫理的な議論を避けられる幹細胞

2

癌バイオマーカー技術

DNA、RNA、代謝物質、たんぱく質などから由来した単一分子または、分子パターンに基づいて癌を早期発見できる分子診断マーカー技術

3

タンパク質安定化/剤形技術

タンパク質医薬品の安定性を高めるため精製、カプセル、注射剤などに剤形する技術

4

人間抗体の製造技術

ファージ/リボソームディスプレイ技術、形質転換マウスモデルを利用して100%人間から由来した抗体を製造する技術

5

生物学的なCO2/メタン転換技術

メタン/CO2を有用な物質に変えて再使用する技術

6

バイオプラスチック中間体製造技術

バイオプラスチック製造のためのバイオマス由来の化学中間体製造技術

7

遠隔治療技術

センサー、通信機器などを利用して遠隔地の患者を診断・治療する技術

8

ナノバイオセンサー技術

成体感知物質と信号変化機に構成され、分析対象を選択的に感知する設備

9

植物工場技術

統制された施設内に生物の生育環境を人工的に制御し、工業製品のように計画生産が可能なシステム農業技術

10

有害海洋生物の制御技術

青潮、赤潮などの富栄養化及び攻撃性魚類などの有害海洋生物の除去及び発生防止に関する技術

ロボット分野

番号

有望な技術

概要

1

使用者の身元及び特性認識技術

映像/触覚または、準生体情報(体型、肌の色、ヘアスタイル)を用いた身元認識技術

2

音源追跡及び音響分類技術

音源の発生位置及び生活環境で発生する音(複数の話者)を区別/認識する技術

3

大容量分散推論の技術

使用者または、環境の累積情報をDB化してロボットの認知判断に必要な情報を推論する技術(クラウド・コンピュータを活用)

4

人間模写メカニズム技術

人間の筋肉及び関節構造の形状及び作動メカニズムを模写

5

形状剛性推定技術

作業対象の形状及び剛性をセンサー情報から送られ、推定する技術

6

ロボット‐人間の協業作業技術

人間-ロボットが同一の作業物を共に取り扱う協業作業技術

7

3D環境モデリング技術

3D地図の生成及び周辺環境認識技術

8

室外位置認識技術

室外の定型/非定形環境における人工/自然標識基盤の位置認識技術

9

3次元の環境ロボット走行経路計画技術

室外環境における移動条件など、障害物を感知及び回避技術

10

ロボット運動状態の総合測定センサーモジュール技術

エンコーダ、ジャイロ、LVL、加速センサーなどを通じてロボットの運動状態(姿勢、重心など)を測定センサー及び方法開発

移動通信分野

番号

有望な技術

概要

1

小型セル制御技術

データ中心のトラフィック密集地域で安定的にトラフィックを収容するために構築したカバレッジ半径30M以内の小型基地局の設備

2

Massive MIMO技術

大規模の2次元構造アンテナ・アレーを利用する技術

3

スペクトラム共有技術

使用していない周波数帯域を認知し、事業者間に周波数共有についての規則を設けて周波数を共有

4

トラフィック状態によるシステム制御及びoffloading技術

トラフィック状態をリアルタイムで感知、周辺の無線網に分散制御し、増加するデータトラフィックを網に分散させる技術

5

モバイル拡張現実技術

最近スマートフォン基盤の拡張現実環境の下、実世界の情報とモバイルインターネットを通じて獲得する外部の情報資源を融合させたサービスを提供する技術

6

基地局間の協力通信技術

基地局間の協力を通じて基地局セルの協会部分の端末同士の干渉を減少する技術

7

セルラー基盤のM2M(MTC)技術

M2M(Machine to Machine)、またはMTC(Machine Type Communication)は、モバイルネットワークを通じたマシーン・タイプの通信(以下、事物通信)

8

異種網の干渉除去技術

出力が違うセル同士がお互い隣接するか、重複されている環境で異種網間の干渉を管理する技術

9

モバイル移動通信アンテナ技術

移動通信アンテナは、モバイル端末/基地局などに利用されるアンテナ

10

無線充電技術

磁気誘導方式、磁気共振方式、非接続方式などの無線エネルギー転送技術

資料3:18大の産業分野リスト

大分類

18大産業分野

関連部署

技術発展の速度及び特徴

特許分析に必要な周期

特許分析の重点事項

1

情報通信

情報通信メディア

2部署

速い

2年

コア特許確保

2

次世代移動通信

3部署

速い

2年

コア特許確保

3

半導体/ディスプレイ

2部署

速い

2年

コア特許確保

4

LED/光

2部署

速い

2年

コア特許確保

5

知識サービス/USN

3部署

速い

2年

コア特許確保

6

SW/コンピュータ

4部署

速い

2年

コア特許確保

7

産業/

バイオ

産業融合技術

4部署

遅い

3年

基盤特許確保

8

次世代ロボット

6部署

遅い

3年

基盤特許確保

9

電力/原子力

2部署

遅い

4年

基盤特許確保

10

農林水産食品加工

4部署

遅い

3年

基盤特許確保

11

バイオ/医療

4部署

遅い

3年

基盤特許確保

12

産業素材※

2部署

遅い

3年

基盤特許確保

13

運送/

エネルギー

環境/気象

2部署

-

3年

複合

14

陸上輸送

2部署

-

3年

複合

15

製造インフラ

3部署

基盤技術

3年

基盤特許確保

16

海上及び航空輸送

4部署

基盤技術

3年

基盤特許確保

17

エネルギー資源

4部署

3年

複合

18

新再生エネルギー

4部署

実証中心

3年

コア特許確保

※基盤特許:技術的な基礎概念又は、それに近い技術を具現した技術

※コア特許:技術を具体化・高度化・製品化するためのコア技術に対する特許/独自の製品及びコア量産技術で戦略的な提携(クロス・ライセンス)可能な特許

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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