知的財産ニュース CMPスラリー、日本を越えろ

2012年4月4日
出所: 韓国特許庁HP

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CMP(Chemical Mechanical Polishing,化学的機械的研磨)スラリー市場に特許戦争のムードが漂っている。最近、日本の日立化成(株)が、国内半導体の中堅企業であるKCTechを相手に米国,テキサス州裁判所に特許訴訟を提起、国内の一部企業にも警告状を発送するなど特許戦争が生じる可能性が高くなっており、関連企業の積極的な関心と対応が必要になっている。

CMP工程は、微細半導体回路を形成するためにウェハー(wafer)の表面をCMPパッドに圧搾して、この間にCMPスラリーを流し込み、平坦化された絶縁層または金属配線を形成させる半導体微細化工程で、CMPパッドとスラリーが技術の核心であり、最近の紛争はCMPスラリー分野に集中している。

韓国特許庁によれば、CMPスラリー分野の代表的なセリア(酸化セリウム)スラリー出願は2000-2010年まで計198件で2008年まで増加傾向を見せ、2009年に多少減少したことが分かった。これはセリアスラリーが国内・外で研究を重ね、2009年を基点に技術成熟期を迎えた結果だと思われる。

主要出願人では第一毛織(46件)、三星コニン(21件)、三星電子(15件)、KCTech (12件)など内国人出願が多数(65.2%,129件)占め、外国人出願人ではCMPスラリー分野に伝統的に強いCabot(22件)、日立化成(株)(11件)などの出願が多く、外国人より内国人による出願割合が高いことが分かった。

最近10年間のセリアスラリーの技術動向を調べると、セリアCMPスラリーの量産初期段階では、大量生産中心の研磨速度の向上に関連する出願などが多かった。しかし、半導体工程にナノレベルのメモリー半導体の量産が本格化し、生産性向上だけでなくマイクロスクラッチの減少で、高品質の量産体制を成し遂げようとする研究と努力が行なわれていることが分かる。

最近、日本のエルピーダ(Elpida)半導体の破産申請で、半導体の材料市場が萎縮しており、三星電子、ハイニクス半導体のようなグローバル半導体企業を需要先とする電子材料企業らの生存ゲームはより一層激しくなると予想される。したがって、持続的な研究開発とともに抜かりのない特許ポートフォーリオの確保で、今後発生する可能性が高い特許紛争を賢く対処すれば、半導体強国としての地位に引けを取らない電子材料強国の地位を確保することができる。

※用語説明
CMP(Chemical Mechanical Planarization):半導体膜を平坦化する時、既存のエッチング法とは異なり、化学的反応と同時に機械的な研磨で短時間でより精密な平坦化を可能にする方法。

参考資料

資料1:内・外国人別 セリアCMPスラリー特許出願動向 (出願公開基準)(単位:件,カッコは%)

区分

'00

'01

'02

'03

'04

'05

'06

'07

'08

'09

'10

内国人

3

(1.5)

9

(4.5)

15

(7.6)

17

(8.6)

17

(8.6)

13

(6.6)

11

(5.6)

10

(5.1)

21

(10.6)

8

(4.0)

5

(2.5)

129

(65.2)

外国人

5

(2.5)

2

(1.0)

1

(0.5)

6

(3.0)

4

(2.0)

8

(4.0)

14

(7.1)

11

(5.6)

10

(5.1)

6

(3.0)

2

(1.0)

69

(34.8)

8

(4.0)

11

(5.6)

16

(8.1)

23

(11.6)

21

(10.6)

21

(10.6)

25

(12.6)

21

(10.6)

31

(15.7)

14

(7.1)

7

(3.5)

198

(100)

資料2:主要出願人別セリアCMPスラリーの特許出願走行(出願公開基準)

区分

内国人

外国人

第一毛織

三星コニン

三星電子

KCTech

Cabot

(米国)

日立化成

(日本)

出願件数

46

21

15

12

22

11

割合(%)

23.2

10.6

7.6

6.1

11.1

5.6

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