知的財産ニュース KEA、電子・IT企業の特許紛争に備えてオーダーメード型情報サービス開始

2012年3月28日
出所: 電子新聞

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韓・EU、韓・米などFTAの締結で韓国の経済領域が拡大すれば、国内企業の知的財産権紛争の発生頻度がさらに高くなると予想される。国内の電子・IT企業の技術競争力、認知度、ブランド価値などが上昇、既に先進国の牽制は激しくなり始め実効性のある対応策を講じる必要がある。

一例として、米国国際貿易委員会(ITC)が処理した韓国企業の特許訴訟件数は2008年8件から2011年12件と増加した。このうち、電子・IT企業が11件を占めており、他業種企業に比べ特許紛争がはるかに多い。

しかし、大企業と異なり中小企業の知財権管理は劣悪な状況だ。

韓国電子情報通信産業振興会(KEA)の調査発表(2010)によると、中小企業の36%が知財権関連の人材が一人もおらず、中小IT企業全体の半分(57.5%)以上が競合会社の特許を分析せずに輸出をしていることが明らかになった。

KEAは中小企業の特許紛争対応を支援するために、国際特許紛争予報システムを構築して試験サービスに入った。海外で発生する特許紛争情報をオーダーメード型で提供し、中小企業が事前に対応策を講じるようにする計画だ。

国内企業のグローバル技術競争力が増加し、特許戦争の代表地である米国を中心に電子、電気、情報通信産業関連の国内企業の特許紛争が急激に増加している。

その上、知識財産専門企業が新しく登場して産業の原動力が鈍化、先進国の企業らが特許権の行使で収益を追い求める傾向が濃くなり、国内の輸出企業は特許紛争の角に追いやられている。

世界における韓国企業の国際特許紛争うち、電子・ITの割合が2004年は58.5%、2008年は78.3%、2011年は87.7%に増加した。米国内の地方裁判所・連邦控訴裁判所・ITCなどで取り扱った韓国企業の特許訴訟の件数も2005年46件から2011年は81件に急増した。

KEAイム・ホギ特許支援センター長は「中小の電子・ITは、昔と同じで今も特許攻勢に特別な対応措置をとっていない」とし、「中小の電子・IT企業を対象にした事前対応支援策が必要だ」と述べた。

三星・LGなど国内大手企業が海外市場の開拓を拡大して現地でグローバル企業と市場競争を繰り広げ、大企業に部品を供給する中小企業の特許紛争リスクが高まっている。

KEA関係者は「大企業と異なり、独自の特許ポートフォーリオを構築しない中小企業の場合、紛争関連の特許が多いほど対応を放棄し、即ロイヤリティー交渉を開始する事例が多数発生している」と述べた。

国内における特許紛争の場合、代理人の報酬が低いため、対応するだけで米国など1件当たりの訴訟平均費用が200万ドルに達す海外において訴訟が発生した場合に、和解を選ぶか輸出を中断する事例が頻繁に起こると指摘している。

KEAは、今後スマートフォンなどに搭載されるシステムオンチップ、AMOLED部品、アンテナなどを生産する中小企業が、国際特許紛争に巻き込まれる可能性が高いと分析した。

既存の商用化した部品と技術を利用した使用者インターフェースの改善製品を主に生産・輸出する中小企業の特許紛争リスクが増加すると思われる。ナビゲーション、車両用ブラックボックス、インフォディスプレイ、半導体システムなどが代表業種だ。

KEAは特許紛争に脆弱な中小企業を支援するために、昨年下半期に国際特許紛争予報システムの設計に5億ウォンを投じて今月末から試験サービスに入った。KEAは今後さらに10億ウォン投じてシステム機能を補強し、下半期から本サービスを開始する予定だ。

中小企業のための紛争情報分析、リアルタイムの紛争予報でリスクを予測して予防することで、中小企業の輸出競争力を強化する。

システムは、米国地方裁判所、連邦控訴裁判所、ITCなどで取り扱った3万件の特許紛争の現況を検索することができる。検索内容は毎週更新される。原告、被告、紛争特許、技術分野など多様な単語で検索して紛争特許の技術的内容を確認することができる長所がある。また、関心のある特許を対象にした最近の紛争動向をeメールで周期的に把握することができる。

KEAは年末までに400万件の米国登録特許をDB構築して、中小企業が紛争リスク度が高い高リスク特許群を発見できるように支援し、これを分析して紛争に事前に備える計画だ。

アン・スミン記者

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