知的財産ニュース 合成木材の特許出願が10倍以上増加

2012年5月31日
出所: 韓国特許庁HP

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最近の4大河川流域開発、国および地方自治団体の公園設備、上水源保護区域整備などに使用される建築用または景観用資材として合成木材1)が広く使用されており、民間部門の合成木材市場と合わせて公共部門での市場も大きく拡大している。

韓国特許庁によれば、去る10年間合成木材と関連した特許出願が計274件に達し、2002~2008年に9件前後であった特許出願が、2009年は44件、2010年は77件、2011年は90件とここ数年間で10倍と急激な増加傾向を見せている。

このように、最近合成木材関連の特許出願が急増したのは、河川整備事業をはじめとする各種水辺施設開発とアパート内の景観施設または公園、休憩施設の設置などの事業で合成木材の需要がさらに拡大すると見込んだ企業が、市場の先行獲得のために保有する技術の権利化を急ぎ、新製品開発への努力を傾けている結果と思われる。

合成木材関連の特許出願を技術分野別に見ると、合成木材を利用したコンテナー床構造、歩道ブロック、デッキ、欄干支柱、ベンチなどの製品に関するものが112件(41%)、基本材料の木粉とプラスティックの組合せと共にもみ殻、石炭廃石、黄土、貝殻の添加など構成材料に関するものが88件(32%)と大きく占めており、次に合成木材の製造装置に特徴があるものが41件(15%)、合成木材の製造方法に特徴があるものが33件(12%)を占めている。

一方、時期別に見ると、合成木材の開発初期である2000年代初期には炭、黄土、天然繊維の添加など、合成木材の構成材料に関する出願と建築の基本資材である床材に関する出願が中心であった。合成木材市場が本格的に形成された2000年代後半には、合成木材が持っている優秀なデザインの水溶性と耐久性を利用して、景観用欄干構造物、滑り止め用ブロック、防音壁、携帯電話ケースなど、製品自体に関する出願が増加している。

韓国で合成木材が本格的に産業化された期間は10年余りに過ぎず、その利用がまだ初期段階だ。しかし、既存の木材資材と比較して優れた性能を持つ合成木材は、政府の低炭素グリーン成長政策と国民の親環境(環境にやさしい)資材を好む傾向から、今後これに対する研究と製品開発が一層活発になると思われる。

韓国特許庁関係者は「合成木材は、天然木材とプラスティックの長所を生かすと同時に、経済性も持ち合わせた資材として天然木材の資源的限界、木材の反りや捻じれの問題、廃木材の活用問題などを解決する技術的対応策になると期待しており、これと関連して特許出願も引き続き増加するものと予想される」と述べた。


注記

1) 合成木材:木粉や木材チップにプラスティックを混合して作った人工木材で、天然木材の外観と質感をそのまま生かしながら、木材の脆弱な部分である耐久性、耐水性、難燃性、抗菌性などをプラスティックの機能性で補完した建築、景観資材を意味する。

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