知的財産ニュース クラウドコンピューティングのセキュリティが注目される。

2012年6月20日
出所: 韓国特許庁HP

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クラウドコンピューティング(Cloud Computing)セキュリティ分野の特許出願が急増

最近、クラウドコンピューティングセキュリティ分野の特許出願が急増していることが明らかになった。

クラウドコンピューティングは、ITインフラを論理的に集約して数多くのコンピュータをまるで一つのコンピュータのように、または一つのコンピュータを数多くのコンピュータのように使うことができるようにする技術である。企業や機関は個別に購入して管理しなければならなかったITインフラ(CPU、ストーリッジ、メモリ、開発環境など)をインタネット雲(Cloud、クラウド)の中に隠しておいて必要な分だけのITインフラを必要に応じて利用することができる。クラウドコンピューティングは、「ITインフラレンタルサービス」を可能にすることで、企業に技術以上の経済的利点を提供することができるだけでなく、低電力、低炭素排出と共にグリーンITに応じて革新的な技術として脚光を浴びている。

このような多様なメリットがあるのにもかかわらず、クラウドコンピューティングのように資源を共有するシステムなどは、悪意のあるコードや外部のサイバー攻撃に対して脆弱なだけでなく、データが自分のPC以外に貸出サービス業者に分散および保存されるため、ハッキングされた場合その波及効果が非常に大きい。従って、クラウドコンピューティングの拡散が加速化しながら浮上しているもう一つの問題がまさに「セキュリティ」である。

韓国IDCが最近発刊した報告書によると1)、2012年企業用IT市場において最も大きな問題は「情報セキュリティの強化」であり、その重要性が46.7%で2年連続1位を占めている。また、IDCが調査した報告書によると2)、回答者の87.5%がクラウドコンピューティングの導入において最も憂慮する部分が「セキュリティ」と答えており、IBMの調査報告でも3)回答者の77%がセキュリティの危険が高い技術としてクラウドコンピューティングを挙げた。

特許庁によると、クラウドコンピューティング関連のセキュリティ技術の特許出願は過去5年間持続的に増加していることが分かった。

年度別では、2007年約10件余りに過ぎなかった特許出願が、2008年約60件を起点に着実に増加し、2011年には109件に達している。(資料1参照)

出願人別には、個人7%、大企業15%、中小企業16%、研究所および大学が20%と全般的に均一で、外国企業は42%程度と比較的高い割合を占めた。(資料2参照)

クラウドコンピューティング関連のセキュリティ技術を細部的に調べてみると、データセンターの運営、侵害対応、アプリケーションセキュリティ、暗号化とキ-管理、IDとアクセサリー管理、仮想化技術などが多数出願されていることが分かった。

一方、国際市場調査機関であるTechNavio4)によると、全世界のクラウドセキュリティ関連のソフトウェア市場は年平均41.4%成長し、2010年2億4,100万ドルから2014年には9億6,340万ドルに成長するものと見込んでいる。

このように、クラウドコンピューティングが将来のIT動力として高成長する中、アマゾン、マイクロソフト、グーグルなどのような巨大な外国企業によって事実上、企業独自の標準が具体化している現時点で、特定事業者やベンダーに依存されないように国際標準化と国家技術基準制定も解決すべき課題として注目されている。

また、クラウドコンピューティングは、今後企業に単純なITインフラを提供する伝統的なクラウドコンピューティングから、デスクトップクラウド、モバイルクラウド、IPTVクラウド、スマートTVクラウド、ヘルスケアクラウド5)など、消費者のニーズに合わせて多様な形態に進化すると予想され、これを実現するための要素技術と関連したセキュリティ技術の特許出願も着実に増加するものと思われる。


注記

1)市場調査及びITコンサルティング専門業者(http://www.idckorea.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、「2012年国内企業IT問題報告書(Korea IT Issues by Vertical and Company Size in 2012 )」
2)市場調査及びITコンサルティング専門業者(http://www.idc.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます), 2009
3)IBMグローバルITリスクスタディ「グローバルクラウドセキュリティソフトウェア市場(2010-2014)(Global Cloud Security software Maret(2010-2014) 報告書、 2009.11.)」<
4)国際市場調査機関(http://www.technavio.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2010
5)デスクトップクラウド:従来のデスクトップがしていた役割を中央に集めて行なうことで、どこでもネットワークの接続が可能なところであれば同一なデスクトップ環境(自分のPC)を使用するサービス
モバイルクラウド:使用者のモバイル端末機仕様と種類に関係なく同一な環境のコンピュータ環境を利用できるサービス
IPTVクラウド:クラウドコンピューティングの概念を適用して、TVを自由にウェブサイトに接続して見ることができるサービス
スマートTVクラウド:スマートTVをクラウドコンピューティングと連携したサービス
ヘルスケアクラウド:モーションセンシング技術を利用して、健康をチェックしたり、あらゆる健康関連の情報をクラウドに保存して必要な時にどこででもウェブを通じて利用し健康管理ができるサービス

参考資料

資料1:クラウドコンピューティング関連セキュリティ分野の年度別の特許出願動向グラフ

資料2:クラウドコンピューティング関連セキュリティ分野の出願人別動向円グラフ(過去5年)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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