知的財産ニュース 「一人一台ロボットの時代」、特許で備える
2012年12月7日
出所: 韓国特許庁
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最近、一人一台情報端末の時代に続き、一人一台ロボットの時代が2022年に到来するという予測が出された[1]。このように、近い未来にはロボットが日常生活にも広がっていくと予想され、ロボット分野の特許合戦に備えた強い特許の確保が急がれている。
韓国特許庁によると、最近10年間[2]、知能ロボットの韓国における特許出願件数は8474件、市場の成長[3]に足並みを揃えて年平均12.1%の増加率となっている。こうした特許出願の増加は、2003年に知能ロボットが「次世代10大成長エンジン」に選定され、現在まで経9537億ウォンの政府予算支援が行われたことが主な背景だと分析されている。
技術分野別の特許出願では、産業用ロボットが2002年90件から2010年492件で年平均23.7%に急成長しているが、サービスロボットは2002年110件から2010年205件に年平均8.1%と緩やかに成長している。これは、ロボット分野の市場シェア率[4]が産業用ロボット76.8%、サービスロボット14.3%、ロボット部品8.9%となっており、市場シェア率が高いほど研究開発が積極的に行われ、特許出願件数にもそれが反映されたものだといえる。
出願人属性別[5]では、掃除ロボットと教育用のロボットは、韓国人の出願がそれぞれ95.7%、86.4%と高いが、半導体製造ロボットと医療ロボットは、それぞれ60.0%、61.9%と低い水準だ。
一方、韓国特許庁は、2010年から知能ロボット分野の知的財産の創出・保護・活用に向けて様々な支援政策を行ってきた。
2013年には、「知能ロボット分野の知的財産の大衆化」及び「知能ロボット分野の知的財産権の創出」に重点を置き、計6億5千万ウォンの予算を投じる計画だ。
知能ロボット分野の知的財産権の創出に向け、第一に、特許観点で10大有望な技術として選定されてコア・基盤特許の確保が可能な有望技術を政府R&D課題に最終反映されるよう支援する計画だ。
第二に、ロボット専門企業を対象に「知財権中心の技術獲得戦略事業」、「先端部品素材IP-R&D戦略支援事業」を推進し、特許ポートフォリオ[6]を提供することにより、知財権創出戦略を提示する予定だ。
韓国特許庁は、ロボット分野を未来の新産業として育成しようとする国のニーズと教育・医療など暮らしの質の向上、少子高齢化社会の到来などによる社会的なニーズに応えため、韓国のロボット技術が国際的な競争力を兼ね備えた強い特許で守られるよう、積極的に支援していく計画だ。
韓国における知能ロボット分野の年度別の特許出願件数(単位:件)
※2012年の件数は、2012.10現在の未公開権は対象外
知能ロボットの年度別の市場規模比特許出願の現状
※出処:ロボット産業承認統計集(2007.1、知識経済部)、2012ロボット産業実態調査の結果報告書(2012.7、知識経済部)を参照
知能ロボットの韓国における特許出願の件数(単位:件)
技術分野別の年度別における韓国の特許出願件数(単位:件)
※検索特許分類(IPC):産業用ロボット工作機械ロボット-B23、半導体製造ロボット(電子基板も含める)H01L21/677、B65G49/06,07、サービスロボット掃除用-A47L、教育用- A63H、G06N3/08、G06Q50/20、G09B、H04N21/25,45,466、医療用- A61B17
産業用ロボット市場規模比特許出願件数(2006~2011年)
※出処:2012ロボット産業実態調査の結果報告書(2012.7、知識経済部)参照
サービスロボット市場規模比特許出願件数(2006~2011年)
技術分野別の韓国人の特許出願割合(単位:%)
※全体特許出願の韓国出願人の割合:2007年-74.6%、2008年-74.5%、2009年-77.9%、2010年-77.5%、2011年-77.1%
年度別の韓国出願人の特許出願の割合(単位:%)
※「知能ロボット開発及び普及痩躯信報」の制定された2008年以降、韓国出願人の特許出願の割合が増加トレンドを維持している。
順位 |
韓国出願人 |
件数 |
海外出願人 |
件数 |
---|---|---|---|---|
1 |
サムスン電子(株) |
317 |
本田技研工業 |
103 |
2 |
サムスン重工業(株) |
128 |
安川電機 |
46 |
3 |
韓国生産技術研究院 |
93 |
ソニー株式会社 |
33 |
4 |
現代重工業 |
93 |
日本電産サンキョー株式会社 |
24 |
5 |
韓国電子通信研究院 |
80 |
KUKA Roboter GmbH |
16 |
6 |
韓国科学技術院 |
80 |
川崎重工業株式会社 |
15 |
7 |
LG電子 |
79 |
日立製作所 |
13 |
8 |
韓国科学技術研究院 |
69 |
株式会社アルバック(ULVAC) |
10 |
9 |
漢陽大学産学協力団 |
68 |
セイコーエプソン |
10 |
10 |
大宇造船海洋(株) |
66 |
KUKA Laboratories GmbH |
8 |
注記
[1] 「2022ロボット未来戦略」報告書を参照、2012.9.28 知識経済部ロボット産業課
[2] この10年間:2002年~2012年10月
[3] 市場規模が2006年7197億ウォンから2011年2兆1464億と年平均24.4%の成長率となっている。
[4] 2002年から2011年までの年平均増加率
[5] 技術分野全体の特許出願における韓国人出願の割合:2007年-74.6%、2009年-77.9%、2010年-77.5%、2011-77.1%
知能ロボット特許出願における韓国人出願の割合:80.0%
[6] 特許ポートフォリオ:特許の確保戦略を確立するために使われる技術分野別・主要出願人属性別の特許の束
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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