知的財産ニュース サムスンとソニー「CISで対決」

2012年8月29日
出所: デジタルタイムズ

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スマートフォンに高画質カメラ搭載でシェア争い白熱

スマートフォンのカメラ機能が向上し、CMOSイメージセンサー(CIS)市場で、ソニーとサムスン電子がしのぎを削っている。サムスン電子は、800万画素など、高付加価値の製品がスマートフォンに本格的に搭載されたことで、今年初めてCISの売上高が10億ドルを達すると予想されている。この市場の1位であるソニーは、スマートフォン専用の高画質カメラが注目されたことで、最近売上高が大幅に増加した。

29日の市場調査機関アイ・サフライによると、今年上半期のグローバルCIS市場は、37億6500万ドル規模と、前年同期(29億9200万ドル)に比べ25.8%成長した。

CIS市場は、デジタル一眼レフカメラ(DSLR)とスマートフォンなどに搭載されるモバイル市場に分けられる。最近モバイル市場が著しく成長し、CIS市場は、毎年20%以上成長している。

昨年CIS市場で1位となったソニーは、2年連続首位を維持している。昨年に年間基準売上高が10億ドルを突破し、17.4%のシェアを確保したソニーは、今年上半期のモバイル向け製品の割合を拡大し、132.7%という高い伸び率を記録して27.7%にまでシェアを拡大した。DSLRだけでなく、高画質のスマートフォンが増加し、優れた技術力を持つソニーの製品が注目されたためだ。業界通は、「アップルのアイフォン4S、サムスン電子のギャラクシーS3など、最新機種にはソニーのCIS製品が搭載されたため、それが成長につながった。」とコメントした。

ソニーは、6月にCIS生産規模を増やすため、長崎半導体技術センターに800億円を投資すると発表した。主要工場ウェハーも200mmから300mmに転換する一方、CIS業界では初めて「シリコン貫通電撃(TSV)」方式を適用、積層技術を通じて生産量を最大化していく計画だ。CIS事業は、平井一夫CEOが実績の回復に向けて最も力を入れている事業の一つであり、今秋にスマートフォン向けCIS新製品を発売し、シェア率をさらに拡大していく計画だ。

サムスン電子もスマートフォンに搭載される800万画素のCISを供給し、シェア率を拡大している。アイ・サプライによると、サムスン電子は、世界CIS市場における売上高を基準に昨年4位(7億7000万ドル、12.2%)にとどまったが、今年上半期には12.6%のシェア(4億7300万ドル)を確保し、初めて2位となった。アップルなどの競合会社の主力商品が発売される下半期には売上がさらに増えると見られ、今年初めてCIS市場で10億ドル以上の売上を達成できると予想されている。

これまでサムスン電子は、売れ筋のスマートフォンにCIS製品を集中供給してきたため、数量ベースでは業界1位だったが、売上ベースでは3~4位となっていた。しかし、最近ではスマートフォンにも高画質の製品が採用され、付加価値が上昇して売上高が急増している。サムスン電子のシステムLSI事業部でドル箱の役割をしていたCIS事業が、モバイルAP、ファウンドリに加え、名実ともにサムスンの3大ドル箱になったといえる。

サムスン電子に続き、オムニビジョンやシャープ、アプティナなどが後を次いでいる。オムニビジョンは、2010年では16.5%で1位だったが、サムスン電子やソニーなどの競合会社の市場攻略の強化で苦戦を強いられている。業界関係者は、「ソニーは、CISが日本半導体の最後のプライドだと考え、CEOレベルで取り組んでいる。サムスン電子とソニーが本格的に攻略し始め、オムニビジョンやアプティナなどのメーカーは押され気味である。」と述べた。

カン・スンテ記者

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