知的財産ニュース 韓・米FTAにともなう知財権紛争解決、米国に現地支援体制を構築

2012年3月27日
出所: 韓国特許庁HP

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韓国特許庁はKOTRAと共同で、米国,LAにおいて現地時間3月26日(月)午前11時に海外知識財産センター(以下IP-DESK)の開所式を行った。

特許庁は、韓・米FTA発効にともなう韓国企業の対米輸出活動を支援するために、対米輸出入の関門であるLAに所在するKOTRA支社内に米国IP-DESKを設置、業務を開始した。

米国IP-DESKは、最近米国内で韓国企業の知識財産権紛争が増加しているなか、FTA発効後米国市場内で韓国商品およびサービス輸出が増えれば、知識財産権紛争がまたさらに増加すると予想され、韓国企業の知識財産権紛争の予防および対応のための総合支援サービスを米国現地で迅速かつタイムリーに提供するために設置された。

韓国企業が関連した海外知識財産権紛争(2004年-2011年8月まで全体653件)の約68%が米国で発生しており、米国での紛争(449件)中、中小企業の紛争は25%(112件)を占めるなど、米国市場内における韓国企業の知識財産権紛争が増加傾向にある。最近、米国市場内の製造企業間における知識財産権戦争が苛烈、非製造特許専門企業(NPE)らの特許訴訟攻撃が増加しており※、韓国企業らが紛争に直面する危険性が高まっている。韓・米FTA発効で韓国企業の米国市場進出が拡大し特許、商標、デザインなどの知識財産権紛争はさらに増加するものと予想される。このように、知識財産権紛争の可能性が高い米国市場への進出を成功させるためには対米輸出企業、特に中小企業の知識財産権紛争に対する予防への努力と対応能力の向上が切実に要求されている。

LAに所在するIP-DESKは、シリコンバレー、ニューヨークなど米国全域で輸出およびビジネスをしている韓国企業であればサービスの利用が可能だ。特許庁は、米国IP-DESKを通じて特許、商標など知識財産権管理確保の支援と輸出品に対する紛争の可能性を診断および紛争対応コンサルティングを提供するなど、総合的な支援体系を構築して韓国企業の知識財産権能力を高め、対米輸出活動を積極的に支援していく計画だ。

李・スウォン特許庁長は「韓・米FTAは、韓国企業に新しい市場の機会を提供してくれるが、その機会を輸出効果に繋げるためには、知識財産権紛争の可能性が高い米国市場を狙った知識財産権の迅速な先行獲得と、事前にIP-DESKを通じて知識財産の紛争予防のための措置を優先的に検討することが必要だ」と述べた。また、「シリコンバレーと近いことからIT、半導体など先端分野の特許および技術取引相談の需要も増加するものと予想されており、IP-DESKの役割が一層重要になる」と強調した。

IP-DESKの開所にともなう行事として、当日午後2時からLAオックスフォードパレスホテルで特許庁による海外知識財産権保護制度の説明会と知識財産の対応戦略セミナーを開催し、特許庁およびLA総領事館の関係者をはじめ現地の起業家、法律専門家、関連する商工人団体の会員などが参加し、高い関心を見せた。

特許庁はKOTRA、韓国知識財産保護協会と共同で、知識財産権の情報不足および専門家不足で苦戦している韓国企業を支援しようと2006年からIP-DESKを設置・運営してきた。IP-DESKは、現在中国(北京,上海,光州,青島,瀋陽)、ベトナム(ホーチミン)、対(バンコク)など7ヵ所に設置・運営されている。今年は、米国,LA のIP-DESK開所以外にK-POPの拡散によって、韓国企業の知識財産権侵害品が増加しているインドネシアにもIP-HELP DESKが追加で設置・運営されている。

特許侵害を根拠に輸入禁止決定を下す米国貿易委員会(ITC)の場合だけでも、最近3ヵ月間(2011年12月-2012年2月間)で163社の企業が提訴された。(一日平均2.6社)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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