知的財産ニュース 威風堂々のアップル税、韓国アンドロイド形態の脅威になるか

2012年8月26日
出所: 電子新聞

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韓国の携帯電話産業がいわゆる「アップル税」に直撃されかねないという懸念が高まっている。

サムスン電子が米国における特許訴訟でアップルに完敗し、サムスンと同じくアンドロイド基盤(OS)のLG電子・ペンテックなどにも巨額の特許料の支払いを強要する可能性が高まったためだ。アンドロイド市場の委縮、韓国携帯電話メーカーのシェアの下落、韓国の情報通信技術(ICT)全般の産業競争力の弱体化につながる連鎖的な影響が懸念されている。韓国の政府当局は、米国特許訴訟のモニタリングを強化し、対策に乗り出した。

26日、業界によると、米国におけるサムスン電子とアップルの特許訴訟が事実上のアップルの圧勝で終わったことで、アンドロイドフラットフォームに主力してきた韓国携帯端末業界の不安が高まっているという。

米国カリフォルニア北部地方裁判所で陪審員は、米国時間の24日、サムスン電子がアップルのデザイン特許3件と常用特許3件、全て6件を侵害したとして約1兆2000億ウォンを賠償すべきだと評決した。サムスン電子がアップルを相手に提訴した標準・常用特許5件は全て退けられた。

前日、韓国の裁判所がサムスン電子の通信標準特許を認め、アップルのデザイン特許を退けたのとは相反する結果だ。

世界最大市場の米国でアップルに有利な評決が出されたことで、サムスン電子が特許戦における主導権を奪われるという懸念も高まっている。

アップルは、今回の評決をきっかけに、特許攻勢を一層強める構えだ。裁判所の最終判決が残っているが、CEOのティーム・クックは、「世界は、(評決の内容を)注意深く聞いてほしい(I hope the whole world listens)」として、アンドロイド陣営に宣戦布告のメッセージを送った。

アップルがスマートフォン市場で通用されているユーザー・インタフェース(UI)とデザイン特許の攻勢を多角的に拡大すれば、アンドロイド基盤のスマートフォンメーカーは、直ちに打撃を被る。巨額の特許侵害賠償から免れるため、アップルとライセンス契約を結ぶメーカーも現れると予想されている。アップルは、子会社である特許管理会社「ロックスタービドコ(Rockstar Bidco)」を通じて、韓国企業に特許料の交渉まで提案した状態だ。

自然にアンドロイドスマートフォンの収益性の下落と競争力弱化につながり、結局は、価格上昇をまねくという見方も示されている。いわゆる「アップル税」が消費者の利益を妨げるという主張だ。

米国の市場調査機関であるIDCのアナリストは、「高いアップル税(Apple Tax)が登場し、携帯電話端末の価格を引き上げるだろう」と懸念を示した。

韓国の携帯電話業界と政府は、対策に乗り出した。アップルが特許攻勢を強化すれば、アンドロイドに重点を置いてきた携帯電話業界の全般に悪影響が及ぼしかねない。特許合戦で敗北したサムスン電子のスマートフォン市場におけるシェアが落ちれば、国内のすそ野産業の売上げも激減すると予想されている。巨額のロイヤルティの支払いで、部品メーカーへの単価引き下げ圧力も強まると懸念されている。

サムスン電子は、26日、サムスン未来戦略室のチェ・ジソン室長、無線事業部のシン・ジョンギュン部長などが出席して緊急会議を開いた。LG電子とペンテックも今後拡大する特許攻勢への対応策を探っている。

韓国携帯電話業界の関係者は、「アップルが米国裁判での結果を利用し、様々な機能とデザインで特許訴訟を拡大していけば、スマートフォン事業にブレーキがかかる。」と懸念を示した。

知識経済部も担当部署と職員が全員出勤して対策会議を開いた。知識経済部情報通信産業課のソ・ソンイル課長は、「評決以降の状況を見守り、支援策について協議している」と述べた。

市場調査機関SAによると、第1四半期の出荷量基準の韓国メーカーの世界スマートフォン市場におけるシェアは、34.5%と、昨年の24%より上昇した。上半期の携帯電話産業(部分品を含め)が韓国の輸出に占める割合は12.1%に達している。

イ・ホジュン記者

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