知的財産ニュース 捨てられる都市の雨水、特許で管理する

2012年7月13日
出所: 韓国特許庁

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雨水管理施設関連の特許出願が増加傾向に

最近韓国の気候が亜熱帯化してきていることで、集中豪雨が増加傾向にある。昨年7月のソウルの光化門(クァンファムン)と江南(カンナム)駅周辺の浸水のように、都市型豪雨は、巨額の経済的損失と人的被害をもたらす災害だといえる。

浸水は、雨量が都市の排水設備の容量を越えた場合に発生するため、様々な形態の排水及び貯留設備をより拡大し、緑地の面積を増やすなど様々な浸水防止対策が講じられている。

さらには、浸水防止にとどまらず、雨水を水資源として認識して積極的に利用する雨水管理技術への関心も高まっている。

韓国特許庁は、雨水利用設備を含めた全体の雨水管理設備関連の出願が2008年11件から2009年27件、2010年37件、2011年45件となっており、2012年は5月まで25件と出願が増加していると述べた。(資料1を参照)

2010年と2011年にソウルで相次いで発生した浸水被害とともに、政府の雨水利用奨励策などが影響し、浸水防止及び雨水利用関連設備の需要が増加したためだと分析できる。

こうした雨水管理関連の特許技術を通じて、捨てられる雨水を利用することで、用水使用のコストを削減し、気候変動がもたらし得る水不足にも対応できるようになる。

ここ5年間(2008~2012年の5月まで)、雨水管理設備と関連した145件の特許出願のうち、雨水貯留設備に関する技術の出願が77件と最も多く、無毒性、環境配慮型の素材、光触媒などを適用して浄化機能を持つ素材を利用した技術、組み立てと設置が簡単な貯留槽関連技術などが出願されている。(資料2を参照)

雨水管理設備のうち、雨水利用設備関連の出願は、53件となっており、そのなかで建築物の雨水集水関連技術の出願が28件、雨水を濾(ろ)過、殺菌などの方法で処理する技術の出願が25件となった。雨水浸透設備関連は、調査によると15件である。(資料2を参照)

最近では、降雨状況に応じてリアルタイムでコントロールできる雨水管理設備も出願され、気候変動によるゲリラ性集中豪雨に効果的に対応できると期待されている。

参考資料

資料1:雨水管理設備の年間出願件数

資料2:ここ5年間(2008~2010(5月まで))雨水管理設備別の出願件数

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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