知的財産ニュース 深海底の探査及び資源開発向けロボット技術の出願が増加!

2012年7月9日
出所: 韓国特許庁

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韓国メーカーの韓国海洋科学技術院と三星重工業(株)が目立つ

2012年の麗水エキスポで人気を集めているパビリオンの一つが「大宇造船海洋ロボット館」である。この展示館では、資源の枯渇問題などで苦しんでいる人類にロボットで希望を与え、新しい可能性を示すため、韓国最長身(6.5m)のロボット(名称:ネビ)をはじめとする海洋向けロボット5台が展示されている(資料1を参照)。

石油やガスなどの天然資源を得るためには、さらに深い海を開発しなければならなくなっているが、深海底では人間の活動が制限されているので、人間に代わって活動する海洋・海底用のロボットの開発が急がれていた。

韓国特許庁は、深海底の探査と深海底資源開発への関心が高まるにつれ、韓国でも海洋・海底ロボットに関する特許が現在まで93件出願され、そのうち72%の67件がここ5年間出願されたものだと発表した(資料2を参照)。

深海底探査・開発用ロボットの技術分野は、遠隔地をケーブルで連結されて遠隔コントロールする遠隔操作無人探査 (ROV[1]型と、遠隔地とケーブル無しに自律的な動力源とプログラムによって制御する自律型無人潜水 (AUV[2]))深海底探査・開発用ロボットの技術分野は、遠隔地をケーブルで連結されて遠隔コントロールする遠隔操作無人探査 (ROV型に大きく分類されており、技術別の出願状況は、ROV型が68%の63件、AUV型が32%の30件それぞれ出願されている(資料3を参照)。

また、出願人別にみると、韓国海洋科学技術院(旧韓国海洋研究院[3])が13件(14%)と最も多くの特許を出願し、その次の三星重工業が12件(14%)、韓国科学技術院が6件(7%)、大宇造船海洋が4件(4%)順となり、産官学を中心に出願が活発に行なわれていることがうかがえる。

韓国海洋科学技術院では、6,000m級の深海底無人潜水艇の「ヘミレ」を独自開発するなど、活発な研究活動を行なっており、潮流、水深、水温などの影響で人間の作業が不可能な所で人間に代わって水中遊泳と海底歩行を行いながら精密な探査及び作業を行なう「多関節複合移動海底ロボット」を2011年末に特許出願し、2015年をめどに研究を行なっている(資料5を参照)。

韓国特許庁の機械金属建設審査局の局長は、「世界トップレベルの韓国造船海洋技術をベースに深海底の探査と深海底資源開発分野に持続的な投資と研究開発を行なう必要がある。今後、この分野の特許出願も増加すると予想される。」としている。

資料1:海洋5ロボット(MARINE 5 ROBOT)

図:海洋5ロボット(MARINE 5 ROBOT)

資料2:年度別の出願件数

図:年度別の出願件数グラフ

※出処:韓国特許庁の統計システム
※検索基準:IPC[4]全体
(海底 or 深海底 or 水中)&(ロボット or ロボト or ROV or AUV)

資料3:技術分類別の出願件数

図:技術分類別の出願件数グラフ

資料4:出願人別の出願件数

図:出願人別の出願件数グラフ

出願人

出願件数

個人出願

28

韓国海洋研究院

13

三星重工業

12

韓国科学技術院

6

大宇造船海洋

4

(株)ブマシア

3

トンミョン大学

2

韓国機械研究院

2

韓国生産技術研究院

2

(株)ダウム技術団

1

(株)アモステック

1

(株)エフ・ナイン

1

カンルンウォンジュ大学

1

カンウォン道立大学

1

キョンヒ大学

1

Global Marine Systems

1

レッドウィンTech

1

ベンティックジオテクTPY

1

ブキョン大学

1

プサン大学

1

ソウル科学技術大学

1

チョンナム大学

1

チョソン大学

1

テクニフ・フランス

1

平和精巧(株)

1

ポハン産業科学研究院

1

ポハン知能ロボット研究所

1

韓国海洋大学

1

現代重工業

1

合計

93

資料5:多関節複合移動海底ロボット(Multi-legged walking and flying subsea robot)

図:多関節複合移動海底ロボット(Multi-legged walking and flying subsea robot)


注記

[1] Remotely Operated Vehicle
[2] Autonomous Unmannded Vehicle
[3] 2012年7月1日から「韓国海洋研究院(KORDI)」が「韓国海洋科学技術院(KIOST)」に変更された。
[4] IPC (International Patent Classification):世界知的所有権機関(WIPO)が定めた国際特許分類

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