知的財産ニュース 現代・起亜車「6速自動変速機」、世宗大王賞受賞

2012年6月22日
出所: 韓国特許庁HP

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現代・起亜自動車のシム・ヒュテ責任研究員他3名が共同発明した「6速自動変速機」が2012年上半期の特許技術賞で最高の栄誉である世宗大王賞の受賞作品に選ばれた。

韓国特許庁は、発明特許4件およびデザイン1件の部門で15名の発明者を2012年度上半期特許技術賞の受賞者に選定し、6月21日ソウル市内の韓国知識財産センター国際会議室で授賞すると明らかにした。

特許部門には世宗大王賞、忠武公賞、池錫永賞、デザイン部門には丁若鏞賞がある。世宗大王賞の受賞者には1,000万ウォンの賞金が授与されるなど、受賞者には賞牌と賞金が授与される。

世宗大王賞の受賞作品に選ばれた「6速自動変速機」の発明は、従来の5速変速機に段数を追加したものではなく、独創的な構造を持つ6速変速機を発明、5速変速機よりむしろ小型かつ軽量で、滑らかな変速特性を示している。

従来の5速自動変速機に比べ部品数を62個減らし、長さを41mm縮め、重さを12kg減らしたことにより、燃費が4%も改善された。この発明を認めたクライスラー米国自動車会社は、6年間で77万台の6速自動変速機を購入することにし、1兆2,000億ウォン規模の輸出額を見込んでいる。

忠武公賞では「半導体ガラス基板検査システム」を発明した株式会社セミシスコの李・スンジョン代表他3名の共同発明者が受賞した。

この発明は、液晶ディスプレイ(LCD) 、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなど平板ディスプレイに利用されるガラス基板の不良をガラス基板製造過程で摘出し、完成品のデジタルディスプレイの生産性を高めた技術だ。

ガラス基板の不良は、ガラス基板が平坦でなかったり、波模様のうねりが生じる場合を言うが、ガラス基板に光を通過させて現れた映像がガラス基板の屈曲の有無によって明暗の差を見せる現象がある。

これに着眼して映像を分析し、自動でガラス基板の不良を摘出するようにしたものがこの発明の主要内容だ。

この発明を通じて、検査方式を従来の完成品のサンプル検査から完成品組み立て以前の部品の段階で全数検査する方式に画期的に改善し、検査正確度は従来に比べ6~7倍改善された。

セミシスコは、この発明を製品化した2011年に22億ウォンの売上げ実績を上げ、今年は2倍に達する40億ウォンになると予想している。

池錫永賞は「とうもろこし、じゃがいも、米などの天然デンプンを利用して製造した乳化安定剤」を発明したデサン(株)の李・ソンヨン専任研究員他4名の共同発明者が受賞した。

この発明の特徴はとうもろこし、じゃがいも、米、さつま芋などに多く含まれたデンプンを利用する。乳化安定剤とは、水と油が混ざっている状態で、これらが分離せずによく混ざり牛乳のように白く濁るようにする中間媒介物質をいう。

従来の技術と比較して、製造工程が簡単かつ酸性条件、高温処理など様々な加工条件、そして変化が大きい保存温度で優れた乳化安定性を見せる長所がある。また、水に溶解後、加熱して使用しなければならなかった従来の弱点を改善して、冷たい水に溶解されやすいなど便利な点もある。

この発明は製菓、飲料、化粧品、ドレッシング、コーヒークリーム、粉末スープおよび香辛料などに使用され、マヨネーズ、ドレッシング、ラーメンなど高脂肪食品の保存、流通中に発生し得る油分離現象を抑制し長期保存が可能であり、製パンクリームに用いる際に滑らかな表面と光沢を出す効果がある。

この発明によって、従来の乳化用原料として全量輸入に依存していた高価なカゼインナトリウムおよびグアーガムなどの代替が可能で、原油試錐用グアーガムの代替など産業用分野にも進出が可能だと予想されている。

池錫永賞は、外郭フェンスで設置され、外部進入を感知する「センサーケーブル」を発明したアイジェイエレクトロン(株)の金・ドヒョン代表が受賞した。

この発明は、磁石によってできた磁場で線路が動く際に線路に電圧が発生する原理を利用したもので、侵入者が線路に触れると線路に電流が流れ侵入者を感知する。

従来の技術に比べてケーブル被覆が破損してケーブル内に湿気や水が流入しても誤動作が発生せず、雨や雪、風による誤警報が発生しないという長所を持っており、韓国石油公社、韓国電力公社など多くの機関に設置され、技術の優秀性が認められている。

デザイン部門の丁若鏞賞は「カップホルダー付き傘の柄」でEK Designの李・ジョンウ代表が受賞した。

このデザインは、傘の柄にカップを差し立てることができる形態で、カップを置く機能以外にも穴があり、傘を携帯する際やハンガーや壁にかけて置くにも便利で、実用性と個性を生かした独創性が際立って見える。

雨の日にもコーヒーを簡単に飲むことができ、雰囲気を生かすことができる面白いカップホルダー傘のデザインは、プレゼント用などとして韓国内だけでなく海外でも人気を博している。

特許庁と中央日報が共同主催する特許技術賞は、登録された発明またはデザインを対象に1年に2件優秀な特許を発掘、授賞し、1992年から計278件の発明を選定することで、発明者の士気高揚および発明世界の拡散に寄与してきた。

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