知的財産ニュース 中国の半分水準…安値の特許翻訳料

2012年7月23日
出所: 電子新聞

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人材は不在、企業は不信

10年間ほぼ同じ水準で維持されている特許翻訳の安価な料金が国家知的財産(IP)競争力の向上にネックとなっているとう声が上がっている。中国に比べても半分程度にすぎず、特許の量的拡大とともに権利行使のための質の向上を図るためには、先進国水準の料金引き上げが急がれているということだ。

23日の関連業界によると、韓国の特許翻訳料金は10年前とほぼ同じ水準だという。

ある特許翻訳会社の代表は、「韓国語を英語に翻訳する際の特許翻訳料は、10年以上同じ水準にあり、その水準というのは、アジア通貨危機で市場が縮小していた当時に決まった値段だ。」と強調した。韓国の潜在的な特許競争相手国である日本に比べると、翻訳料の水準は5分の1にもならない。両国における自国語の英語への翻訳を基準に推算すると、韓国は1ページ(220~250単語)当り2万5000~3万ウォンだが、日本はその5倍に当たる12万~13万ウォンとされている。市場が成長している中国も韓国より2倍高い6万~7万ウォンだと把握されている。

問題なのは、こうした安価な翻訳料金が市場成長に大きな足かせとなっているということだ。報酬が不十分なため、特許翻訳の専門家を希望する人材がいない。翻訳の完成度も落ちてしまい、企業はその翻訳を信頼しない。業界の関係者は、「特許の翻訳料金が安く、弁理士などの高級人材などは翻訳への関心が低いうえ、きちんとした教育機関も不在しているので、専門会社では人材不足で悩んでいる」と述べた。

人材がいないため、品質が保証されず、顧客(企業)は見向きもしなくなる悪循環が形成されたのだ。

大手企業は、韓国の特許翻訳会社に安価な費用を支払って翻訳依頼し、その結果物を外国専門会社に巨大な費用を支払ってレビュー依頼している。

特許翻訳費が安価になったのは政府にも責任がある。特許関連の外国企業・機関が最も参考にしている「韓国特許英文要約(KPA)」は、ここ3年間平均13万1000件を発行した。しかし、予算はたったの31億ウォンであった。運営予算が全く発生しないとはいえ、1ページ当りの翻訳料金は2万4000ウォンに過ぎない。

機械翻訳を導入する前の特許英文要約の費用は、1件当たり1万500ウォンだった。業界は、要約は量が少ないだけに、一般の特許翻訳より1ページ当り1.7~2倍(5万~6万)ほど料金を引き上げるべきだと主張している。KPAを管理・運営している特許情報院の関係者は、「KPAの翻訳料金が市場より安いのは事実である。しかし、特許情報院は非営利機関であり、政府機関の事業を行なっているので、市場価格をそのまま反映するには限界がある。」と説明する。

韓国企業がグローバル特許競争で生き残り、特許翻訳が新たな付加価値の高い産業として定着するためには、水準に見合う特許翻訳料金の支払い文化が醸成されるべきだという指摘が多くなっている。

知的財産サービス会社の関係者は、「日本では、難易度に応じて1・2級などに分けて特許翻訳資格証制度が設けられている。先進国に比べて韓国は、特許翻訳の専門人材が不十分な状態だ」と指摘している。

権トンジュン記者・金ジュンベ記者

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