知的財産ニュース 「原本証明制度」の恩恵は大手企業に集中

2012年11月4日
出所: デジタルタイムス

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事実上の大手企業保護サービスに・・・広報不足が原因

韓国特許庁が2010年か実施している「原本証明制度」が大手企業を中心に運営されていることが明らかになり、大手企業が保有する技術の保護サービスだという批判が提起された。

原本証明制度とは、営業秘密が盛り込まれた電子文書の暗号値を指定機関に登録すると、その登録時点から営業秘密の保持を証明できる制度として、技術流出の被害に遭った際の救済策とされている。

国会知識経済委員会所属のチョン・ウテク(セヌリ党)議員が2日に提示した資料によると、2010年から今年の8月までの原本証明制度の利用件数は、1万2282件であった。
そのうち1万1776件(95.9%)は、大手企業による利用であり、中小企業は199件(1.6%)にすぎなかった。一方、原本証明制度に加入した572社のうち、大手企業は僅か8社(1.4%)で、中小企業は100社(17.5%)、個人は464人(81.1%)だ。

原本証明制度に加入した中小企業の割合が低い理由は、周知不足だと分析されている。
韓国特許庁が今年6月、原本証明制度の認知度について調査した結果、この制度を「知っている」と答えた企業は29.2%、「知らない」と答えた企業は70.8%にのぼっていた。

技術流出の被害対象の大半が中小企業であるだけに、中小企業の利用向上を図るための周知徹底を求めるなど積極的な取り組みが要されているが、広報予算はむしろ削減された。
韓国特許庁の営業秘密保護への予算は2011年2億3000万ウォン、2012年12億9100万ウォンであったが、韓国統計庁が求めた来年度の営業秘密保護予算は今年の7割水準である8億9900万ウォンだ。

チョン議員は、「産業機密の流出による1件当たりの平均被害額は、2008年9億1000万ウォンから2011には12億9100万ウォンと73.6%も増加した。制度の認知度が非常に低いという現状を踏まえて、周知徹底を図るため予算の増額を考えるべきだ。」と指摘した。

イ・ホスン記者

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