知財判例データベース 包装の地色が同一で全体的印象が類似しても商品名や具体的な表現要素に差があれば不正競争行為に該当しない
基本情報
- 区分
- 不正競争
- 判断主体
- ソウル高等法院
- 当事者
- COMPAGNIE GERVAIS DANONE 他1(原告、控訴人)v. 株式会社ピングレ他1(被告、被控訴人)
- 事件番号
- 2010ナ42886
- 言い渡し日
- 2011年03月23日
- 事件の経過
- 確定
概要
305
商品形態模倣行為の不正競争行為に該当するためには、商品の形態に一部変更がある場合、変更の内容・程度、その着想の難易度、変更による形態的効果などを総合的に考慮して判断しなければならないが、製品包装の基本的な地色が同一で全体的に類似の印象を与えるとしても、商品名が異なり、具体的な表現要素においても差があれば、不正競争行為に該当すると見ることが難しく、さらに不法行為が成立すると見ることも難しい。
‐商品の包装を模倣した行為が不正競争防止法及び著作権法に背反するかどうかに対して判断した事例‐
事実関係
原告はフランスを基盤とする乳加工製品の生産及び販売業を営む会社であって数年前から全世界50ヶ国で原告包装(A)を使用してヨーグルト製品を販売してきた。被告も乳加工製品の生産及び販売業を営む会社であり、数年前から被告実施包装(B)を使用してヨーグルト製品を販売してきた。原告は被告が原告包装(A)と類似の被告実施包装(B)を使用して製品を販売する行為は不正競争防止法第2条第1号リ目所定の商品形態模倣行為、同法第2条第1号イ目所定の商品主体混同行為、原告の著作権侵害行為、その他不法行為に該当するという理由で被告を相手取って被告実施包装(B)の使用差止及び損害賠償を請求した。これに対してソウル中央地方法院は上記のような原告の主張を排斥して請求を棄却し、原告はソウル高等法院に控訴した。
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原告包装(A)
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被告実施包装(B)
判決内容
法院は、原告の主張のうち、商品形態模倣行為と関連し、不正競争防止法第2条第1号リ目の(1)は「商品の試作品製作など商品の形態が備えられた日から3年が経過した商品の形態を模倣した商品を譲渡・貸渡し若しくはこのための展示をし、又は輸入・輸出する行為」は商品形態模倣行為から除外しており、その趣旨は国内又は国外を区分せず、商品の形態が備えられた日から3年の期間中にだけ商品の形態に関する権利を保護するものと見なければならず、原告が1990年頃国内市場進出を試みたが1996年頃撤収した点、その後2000年頃韓国に商標登録を出願したという点等に照らして原告の製品は少なくとも2000年頃以前から試作品が製作されたと見られるため、弁論終結日現在、既に3年が経過した以上、商品形態模倣行為に該当する余地がないと判断した。
次に、商品主体混同行為と関連し、商品主体混同行為に該当するためには原告包装(A)がその使用期間、方法、態様、使用量、取引範囲などと商品取引の実情及び社会通念上客観的に広く知られたかどうかなどを判断基準として国内に広く認識されていることが必要であるが、たとえ原告包装(A)が相当な期間世界各国で使われてきたとしても国内では広告と共に販売され始めたのが2009年9月頃からであるという点、それ以降の原告の売上額は約166億ウォンである反面、被告の売上額は1,273億ウォン相当に達している点、及び国内乳製品ブランドに対する認知度調査結果などに照らしてみると、原告包装(A)はまだ国内で商品標識として一般需要者に広く認識されたと認めることは難しいと判断した。
一方、原告は工業所有権の保護のためのパリ協約第10条の2の趣旨に照らして国際的に著名であり、ある程度国内で周知となっているか周知となる雰囲気が感知される商品標識に対しても商品主体混同行為の該当条項による保護を受けなければならないと主張したが、パリ協約は権利義務関係を定めることができるほど具体的完全性を持っているとは見られないため、不正競争防止法と調和した解釈を図るのはよいとしても、具体性を有する不正競争防止法が先ずはその適用基準になるべきであるという理由を挙げ排斥した。
また、原告は原告包装(A)が応用美術作品に該当するため、その著作権が保護されなければならないと主張したが、応用美術作品が商業的な大量生産に利用されたり実用的な機能を主な目的として創作された場合、その全てが直ちに著作権法上の著作物として保護され得ず、それ自体が一つの独立的な芸術的特性や価値を持っていて芸術の範囲に属する創作物に該当してこそ著作物として保護されるという法理に基づき、原告包装(A)がその商品と分離されて実用的・機能的側面から独立された美的価値を有すると見られないため、著作物には該当しないと判断した。
最後に不法行為と関連し、原告包装(A)と被告実施包装(B)の基本的な地色が緑系統であるため、全体的に一瞬、類似の印象は与えるとしてもその具体的表現要素を比べてみれば、実質的に同一又は類似であるとは見難いため、原告包装(A)が有する無形の価値を侵害すると見難く、原告包装(A)が長い間国外で名声を得て、被告実施製品の発売時期が原告製品の発売時期頃に重なっていたという事情などを考慮するとしても原告の法律上利益を侵害したという点を認め難いという理由で原告の主張を排斥した。
専門家からのアドバイス
不正競争防止法は2004年の改正により商品形態模倣行為が不正競争行為の一類型に追加され(いわゆるデッドコピー規定である)商品形態開発者を厚く保護するようになったのであるが、これは従来の商品形態が周知商品標識として不正競争防止法上の保護を受けるためには、この商品が自他商品識別機能及び出処表示機能を備えていなければならず、周知性及び混同の憂慮も立証されなければならない等、その要件を備えることが非常に難しかったという事情と、近年は製品のライフサイクルが短くなり流通システムの発達、複写及び複製技術の顕著な発達などにより模倣品の被害が続出しているという事情を考慮した立法であった。しかし、商品形態開発者を厚く保護することは必然的に他の人の選択の自由を制限する結果をもたらすようになるため、商品の形態が整ってから3年が経過した商品についてはデッドコピー規定は適用されないなど、「模倣」があったかどうかを判断することにおいては厳格な基準を適用することにより両当事者の法益を衡量しているわけである(なお、商品の形態が整ったのが外国で、後に韓国へ輸入又は販売された場合に、3年の起算日をどう取り扱うか問題にされたことがあるが、本件判決では「国内又は国外を区分せず」と明かしている)。
本件では商品形態模倣と関連した多様な法理が争われており、今後商品形態の模倣に関する紛争が発生する場合、侵害を主張する側と防御する側両方ともに大いに参考にできる判決であるが、不正競争防止法の商品形態模倣差止規定において商品自体の形態でない商品の包装まで保護対象になるかどうかが本件でも問題になったにもかかわらず、高等法院はこの部分に関する明示的な判断をしなかった点は惜しまれる。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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