知財判例データベース 商標の普通名称化

基本情報

区分
商標
判断主体
大法院
当事者
ヴェ・コルデス・ジェネ・ロジェンシュレン VS 農水産物流通公社(被告、控訴人、被上告人
事件番号
2002タ6876 損害賠償(キ)
言い渡し日
2003年01月24日
事件の経過
破棄、差戻し

概要

37

1997年から1998年の間に切花バラの名称であるRedSandra、Kardinal、Frisco、Calibra、Nicole等を商標登録した商標権者である原告は、被告が運営する花卉共同売場において被告が原告の登録商標である切花バラの名称を商品と共に展示し、又は電光板に表示する等の方法で使用するや、原告は被告の行為が商標権侵害行為に該当すると主張しながら損賠賠償を求めた。大法院は、被告の行為が商標権侵害に該当すると判示した原審判決のうち被告敗訴部分を破棄・差戻しし、残りの上告をすべて棄却した。

事実関係

原告は、1997年3月3日から1998年10月14日までの間に切花バラの名称であるRedSandra、Kardinal、Frisco、Calibra、Nicoleなどに対する商標登録を完了した。特に、そのうちRedSandraを品種の名称とするバラは1987年に最初に導入された後の1992年11月頃から、Kardinalを品種の名称とするバラは1990年初めに最初に導入されて以後1994年7月頃から花卉業者によって国内に普及し、花卉取引業界でもバラの一品種を指し示すものとして広く使用され、認識されてきた。一方、農水産物流通公社法により設立された特殊法人である被告は、花卉共同売場を開設・運営する際に、バラ生産農家が出荷するバラを委託を受けて競売又は入札の方法で卸売する過程でRedSandra、Kardinal、Frisco、Calibra、Nicoleなど原告の上記登録商標をバラの名称として商品と共に展示し、又は電光板にこれを表記した。

判決内容

裁判所は、商標法第51条第2号が、商品の普通名称を普通に使用する方法で表示した標章のみからなる商標の効力を制限したのは、商品の普通名称は特定種類の商品の名称として一般的に使用されるものであるので、本質的に自他商品の識別力なく、特定人にこれを独占させることは不適当であり、何人も自由に使用させる必要があるので、このような標章に関しては特定人が商標登録を受けたとしても、これを普通に使用する方法で表示することには商標権の効力が及ばないようにするところにその趣旨があり、ある商標が普通名称化したかどうかは、その国において当該商品の取引実情によりこれを決定すべきで、商標権者が商標権侵害による損害賠償を請求する場合、事実審の弁論期日当時を基準として登録商標が普通名称化したかどうかを判断すべきであると判示した。また、裁判所は、原告の登録商標であるRedSandra、Kardinalが特定人の商品の出所を表示する識別力のある商標としてではなく、バラの一品種の一般的名称として使用されて認識されており、結局、RedSandra、Kardinalはその指定商品の普通名称を普通の方法により表示した標章のみからなる商標に該当すると見る余地が多く、それら以外の登録商標が普通名称に該当する商標であるかについては個別的に見ていかなければならないと判示した。また、裁判所は、本件商標権の侵害に関連し、競落したバラの束(バラ10本)の合計数に1束当りの収益金を乗じる方法でその損害額を算定した原審判決の結論は支持した。

専門家からのアドバイス

商標登録以後に商標権者が商標管理を怠る場合、当該商標が普通名称化する場合があるので、商標権者は自己の商標を使用する他人に対して商標権侵害差止請求をする等の方法により持続的に商標管理を行う必要がある。

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