知財判例データベース 商標権侵害製品を販売したインターネットショッピングモール運営者の責任
基本情報
- 区分
- 商標
- 判断主体
- 水原地方法院 第1刑事部
- 当事者
- 検察(控訴人)VS 株式会社○○○○
- 事件番号
- 2002ノ4297商標法違反
- 言い渡し日
- 2003年06月26日
- 事件の経過
- 大法院確定
概要
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インターネットショッピングモール内でにせ商標が付されたジャンパーが販売されたことについて、そのショッピングモールの運営者の管理責任が問われた事件で、大法院は、運営者がショッピングモールで販売された製品が正当な商標権者の許諾有無を確認すべき法令上・契約上義務があることを認めるだけの証拠がないだけでなく、運営者は自らのインターネットウェブサイトに入店した数多くの業者に対して商標権侵害の有無を確認し、このような行為を防止しなければならない作為義務があるとは言えず、インターネット空間を提供しただけでは商標権侵害の幇助行為とは認められないとした原審判決を支持した。
事実関係
インターネットショッピングモールを運営する被告人とこのショッピングモールの利用者である公訴外朴氏は、2000年11月29日にこのショッピングモールを通じて製品を販売して一定額の手数料を被告人に支払い、供給商品の製造、販売に関連した該当法規を遵守しないことにより発生するあらゆる責任、製品に対する瑕疵保証責任、商品の配送、クレームの受付及び処理に関する責任は全て朴氏が負担する約定を締結した。同約定締結後、朴氏は画面構成、広告図案及び製品紹介書等を直接作成しショッピングモールに掲載して製品を販売したが、本件製品に対しては被告人であるショッピングモールの運営者に本件製品を見せたり、説明したことはなかった。
判決内容
同法院は、被告人が被告人の業務と関連して朴氏の商標権侵害行為を知っていたり十分に予見できたと見ることはできず、被告人の会社の職員に被告人の上記のショッピングモールで販売される製品が正当な商標権者の許諾を受けたものであるかを確認しなければならない法令上・契約上の義務があることを認めるに足りる証拠がないだけでなく、被告人に被告人のインターネットウェブサイトに入店した数多くの業者の製品に対して商標権侵害の有無を確認して制裁措置を行なわなければならない作為義務があるとは言えず、被告人がインターネット空間を提供したことだけでは、被告人の幇助犯を構成するものではないと判示した。
専門家からのアドバイス
本件はインターネットサービス提供者のウェブサイトを通じてなされる商標権侵害行為に対するサービス提供者の責任を論した国内最初の判決として、これと類似するウェブサイト管理者がプログラム著作権侵害行為を積極的に引き起こしたり、自己のウェブサイトを通じて著作権侵害がなされているという事実を知ってからもこれを放置した場合、例外的に責任を問うことができると判示したソウル地方法院1999年12月3日言渡98カ合111554損害賠償事件と併せて今後インターネットサービス提供者を媒介にしたインターネット利用と関連する侵害訴訟に良い先例となると思われる。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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