知的財産に関する情報(The Daily NNA【韓国版】より)韓国の産業財産権情報検索サービス「KIPRIS」

2022年11月09日

The Daily NNA【韓国版】掲載(File No.170)
ジェトロ・ソウル 副所長 土谷 慎吾(特許庁出向者)

韓国の産業財産権情報を調査するために、よく用いられているのは、韓国特許庁の傘下機関である韓国特許情報院が提供する「KIPRIS」(Korea Intellectual Property Rights Information Service:韓国知的財産権情報サービス)です。日本で広く利用されている「JPlatPat」の韓国版ともいえるサービスで、特許、実用新案、デザイン、商標の産業財産権情報を無料で簡単に検索、参照することが可能です。 「KIPRIS」はどのようなときに利用すべきなのか、また、どうやって使えばよいのかご紹介します。

1.どのようなときに利用?

産業財産権情報とは、各国の特許庁が発行する公報の情報や経過情報などの総称で、発明やアイデア(特許・実用新案)、デザイン(意匠)、トレードマーク(商標)などの出願に関する情報であり、例えば以下のようなシーンで利用できます。

  1. 出願した際の登録可能性の予測
    産業財産権制度では、先に出願した人が権利を得る「先願主義」が採用されているため、既に先人が出願したのと同一あるいは似た内容で特許庁に出願したとしても、権利化することはできません。そこで、事前に調査をすることで、自分が考えた発明、トレードマー ク等を出願した際に登録されるかどうかの予測を立てられるようになり、登録が難しそうな場合には軌道修正をすることができます。
  2. 侵害予防
    産業財産権は絶対的な権利であり、知らないうちに他者の権利侵害をしてしまっても、権利の存在を知らなかったという言い訳は通用しません。他者の権利を侵害し、警告状が届いてから慌てることがないよう、侵害予防のためにも調査が必要です。
  3. 技術開発のヒント取得、重複研究の防止
    世の中には多くの技術的課題がありますが、同じような課題にぶつかって悩んでいる人は意外に多いものです。特許情報を調べることで、直面している課題の解決方法を見つけることができれば、他人が解決済みの課題に対して余計な重複研究をすることなく、そのエネルギーをさらに先へと向けることができます。

2.日本の産業財産権、韓国の産業財産権

産業財産権制度は、各国で独立して出願された出願が、それぞれの国で審査され、それぞれの国で登録されるという、いわゆる属地主義を採用しています。
そのため、各国の産業財産権の情報を検索するには、その国のデータベースを使用するのが一番です。日本の無料データベースとしてJ-PlatPat が広く使われているように、韓国ではKIPRIS がよく使われています。韓国での産業財産権情報の調査には、KIPRIS をご利用ください。

3.KIPRIS の使用方法

KIPRIS には、以下のURL から無料で利用でき、韓国語版だけでなく、英語版も提供されています(ただし、韓国語版のみで提供されている機能もあります)。

KIPRISウェブサイト(英語版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

出典:KIPRISウェブサイト(英語版)

ジェトロ・ソウル事務所では、KIPRIS の使い方を解説した「KIPRIS 簡易マニュアル」を作成し、2022 年10月にウェブサイトに掲載しました。このマニュアルを参照しつつ、是非KIPRIS をご利用ください。

(「マニュアル」―「KIPRIS 関連マニュアル(2022年度更新版)」を参照)

今月の解説者

日本貿易振興機構(ジェトロ)ソウル事務所
副所長 土谷 慎吾
2001年日本国特許庁入庁。通信・半導体分野の審査官・審判官、情報技術統括室室長補佐、審判課課長補佐、主任上席審査官等を経て、2020年7月から現職

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本記事はジェトロが執筆あるいは監修し、The Daily NNA【韓国版】に掲載されたもので、株式会社エヌ・エヌ・エーより掲載許諾をとっています。

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