知的財産に関する情報(The Daily NNA【韓国版】より)韓国企業の特許動向(自動車分野)

2014年05月09日

The Daily NNA【韓国版】掲載(File No.68)
日本貿易振興機構(ジェトロ)ソウル事務所 副所長 岩谷一臣(特許庁出向者)

以前、本コラムにおいて、サムスン電子、LG電子の特許動向をご紹介し、米国での特許登録の推移や、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、有機ELといった最新技術の特許出願などについて、日本企業との比較を交えつつご紹介した。そこでは、苦戦する日本企業の姿が透けて見える状況であったが、もう一つ、韓国企業の躍進が著しい自動車分野の状況についてご紹介したい。

米国に軸足を移しつつある特許動向

先日ご紹介したサムスン電子、LG電子は、特許登録を韓国国内中心から米国重視に大きくシフトし、最近では日本企業を上回る米国特許を確保している姿をご紹介しました。そこで、今回は、自動車分野の状況として、現代・起亜自動車の特許動向を見てみましょう。まず、各国における登録状況ですが、やはり韓国内から米国に軸足を移しつつあることが理解できます。
ただし、日本企業との比較でみると、先のサムスン電子の例と異なり、日本企業を大きくしのぐということは現時点ではなく、これは、中国やインドなど新興国においても同様の傾向となっています。

現代/起亜自動車の各国登録状況米国における特許登録

先端技術では出遅れも

それでは、次世代先進技術分野についてはどうでしょうか。ここでは、燃料電池自動車技術と、衝突防止等技術についてみてみたいと思います。

燃料電池自動車関連の米国特許出願と衝突防止等関連の米国特許出願

現代・起亜自は、燃料電池自動車に力を入れているといわれていますが、確かにその傾向が伺えます。一方、衝突防止等については、件数が少なく評価が難しいですが、現代・起亜自の出遅れ感が否めません。油断は禁物ですが、先日ご紹介した電気・電子分野とは異なり、日本企業が比較的優勢であるといえ、昨今の電気・電子分野の苦境と、善戦する自動車業界の状況の違いが垣間見える気がします。
なお、これらの調査結果の詳細は、弊所知財チームホームページ、「ライセンス、事業進出、調達など」の「韓国企業の動向」、技術動向調査報告書をご参照ください。

今月の解説者

日本貿易振興機構(ジェトロ)ソウル事務所 副所長 岩谷一臣(特許庁出向者)
92 年特許庁入庁。96 年に審査官昇任後、特許情報課、特許審査調査室、調整課人事担当、ヨーロッパ特許庁派遣、2007 年に審判官昇任。その後、審判課法規担当、主任上席審査官

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本記事はジェトロが執筆あるいは監修し、The Daily NNA【韓国版】に掲載されたもので、株式会社エヌ・エヌ・エーより掲載許諾をとっています。

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