知的財産に関する情報(The Daily NNA【韓国版】より)韓国の遠隔映像口述審理制度

2019年11月13日

The Daily NNA【韓国版】掲載(File No.134)
ラオン国際特許事務所(KIM,HONG&ASSOCIATES)代表弁理士張萬澈(チャン・マンチョル)

韓国の特許審判では、当事者による口頭の陳述をもって審理を行う、口述審理制度が積極的に活用されています。また、韓国特許庁が位置する大田(テジョン)以外の地域、特にソウルに当事者及び代理人が多いため、当事者の便宜のために、テレビ会議システムを用いた遠隔映像口述審理が導入されています。 本稿では、この遠隔映像口述審理についてご紹介します。

遠隔映像口述審理の進行

遠隔映像口述審理は、特許審判院(大田)の審判廷と、韓国特許庁ソウル事務所の映像審判廷とを、テレビ会議室システムで連携させて行います。このとき、審判合議体は、特許審判院の審判廷に出席し、当事者などの審判関係者は審判廷または映像審判廷(ソウル)に出席して口述審理を行います (通常は、審判関係者全員がソウルに出席します)。映像口述審理の円滑な進行のため、映像審判廷には専任の職員が配置され、参加者の確認や、口述審理陳述要旨書のスクリーン投影など装備の操作および審判廷の秩序維持の業務を遂行します。

遠隔映像口述審理の対象事件は、(1)一方の当事者または双方の当事者が遠隔映像口述審理を申請した事件、(2)双方の当事者に代理人がいない事件、(3)侵害訴訟が続く事件、などが該当しますが、これらの事件の中でも争点が複雑で長時間を要する事件については、通常の口述審理を審判廷(大田)にて行い、比較的争点が簡単で審判合議体による事件の指揮が容易な事件が遠隔映像口述審理対象となります。

遠隔審判廷の構成

ソウルの映像審判廷の写真を以下に示します。 (1)請求人、被請求人席と、(2)証人及び審判事務官の席と正面左側には大田の審判合議体の映像が映し出されるディスプレイが、また正面右側には口述審理陳述要旨書が映し出されるディスプレイが配置されています。

(1)請求人席(左)、被請求人席(右)

(2)証人席(左)、審判事務官席(右) および審判合議体の映像が映し出されるディスプレイ

遠隔映像口述審理の関連統計

下記関連統計からもわかるように、 口述審理全体の件数のうち遠隔映像口述審理が占める割合は、2014年の導入以降、増加傾向にあります。現在、遠隔映像口述審理は、相対的に商標事件において多く行われていますが、その理由として、特許紛争より商標紛争が比較的争点が簡単な事案が多いということが挙げられます。

口述審理の件数
年度 2014 2015 2016 2017 2018
件数(全体) 633 646 590 646 530
件数(映像) 105 189 248 272 291
割合 16.6 29.3 42.0 42.1 54.9

このように、遠隔映像口述審理は、紛争当事者が特許庁のある大田まで移動することなく、ソウルにいながら、自らの意見を十分に主張できるという点で、今後も利用が増えていくものと思われます。

今月の解説者

ラオン国際特許事務所(KIM,HONG&ASSOCIATES)
張萬澈(チャン・マンチョル)代表弁理士
1984年仁荷大学航空工学科卒業。85年特許庁入庁、99年横浜国大卒業(修士)、09-12年駐日韓国大使館特許官、13-16年特許法人元全弁理士、17年から現職
(監修:日本貿易振興機構(ジェトロ)ソウル事務所副所長 浜岸広明)

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本記事はジェトロが執筆あるいは監修し、The Daily NNA【韓国版】に掲載されたもので、株式会社エヌ・エヌ・エーより掲載許諾をとっています。

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担当者:土谷、曺(チョウ)、柳(ユ)
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