知的財産に関する情報(The Daily NNA【韓国版】より)半導体装備の市場動向及び韓国特許出願動向

2016年02月10日

The Daily NNA【韓国版】掲載(File No.89)
GIP Korea 特許法律事務所 弁理士 任世峻(イム・セジュン)

2014年を基準とした全世界の半導体市場規模は約354.5B$であり、このうち韓国は16.5%(うちサムスン電子約10.7%、SKハイニックス約4.5%)の比重を占めています。特に、韓国はシステム半導体分野では弱いものの、メモリー半導体分野で強みを見せ、全世界のメモリー半導体市場の53%を占めています。しかし、半導体は高度な製造装置(半導体装備)を要するプロダクトです。その半導体装備分野での韓国企業の動向を、市場及び特許出願動向を通じ俯瞰します。

1.半導体装備市場の動向

全世界の半導体装備市場の規模は2014年を基準に約34B$であり、半導体装備分野の上位企業はアプライド・マテリアルズ、ASML、東京エレクトロン、ラムリサーチの順であり、上位4社の市場占有率が60%を上回っています。まず、アプライド・マテリアルズは蒸着装備分野で約45%の市場占有率を有するトップであり、エッチング/洗浄/平坦化装備分野でも優位に立っています。続いてASMLは露光装備分野で約80%という圧倒的な地位を有し、東京エレクトロンは蒸着装備、洗浄/エッチング/平坦化装備分野で相当な市場占有率を有しています。また、ラムリサーチはエッチング/洗浄/平坦化装備分野でトップを走り、蒸着装備分野でも優位に立っています。これに対して、韓国企業は大型半導体チップの製造企業が2社あるにもかかわらず、半導体装備企業が洗浄/エッチング/平坦化装備分野で約8%の市場占有率を有している点を除けば、全般的に劣勢を免れないのが実情です。韓国企業で半導体装備分野の上位25社に含まれたのは唯一1社(SEMES)です。

2.半導体装備企業の韓国特許出願動向

[図1] 世界の主要半導体装備企業による年度別の韓国特許出願動向


図1は世界の主要半導体装備企業による1995年から2013年までの年度別の韓国特許出願の動向を示したものです。この期間に東京エレクトロンが最も多い約5,900件の出願を行い、続いてアプライド・マテリアルズが約3,600件、ラムリサーチが約1,470件、ASMLが約1,380件の出願件数を記録しました。アプライド・マテリアルズと東京エレクトロンは2000年以前にも年間100件内外の出願がありましたが、ASMLとラムリサーチは2000年以前、出願件数は低調でした。全般的に2000年以降に出願件数が増加して2007年、2008年に最も多い出願件数を記録したものの、その後減少しました。特に、東京エレクトロンは2005年から2007年まで急激に出願件数が増加しましたが、2008年から2010年まで急激にその数が減少しました。

[図 2] 韓国の半導体装備企業による年度別の韓国特許出願動向

図2は韓国の半導体装備企業による1995年から2013年までの年度別の韓国特許出願の動向を示したものです。この期間に韓国の半導体装備企業は約17,000件の出願を行い、SEMESは半導体装備企業全体の出願件数の1/4を超える約4,500件の出願を行い、SEMES以外の上位7社の半導体装備企業は約5,000件の出願を行いました。そして、SEMESを含む出願上位8社の出願件数は、半導体装備企業全体の出願件数の56%を上回っています。全般的に2000年以前は出願が低調だったものの、2000年代に入りながら出願が着実に増加しました。特に、2005年から2008年まで出願件数が急増しましたが、2009年、2010年には出願件数が減少し、2010年代は年間約1,500件の出願が行われています。このような傾向はSEMESの出願動向とほぼ類似しますが、SEMES以外の上位7社は急激に出願件数が増加し、2005年以降着実に出願件数を増やしています。

韓国の半導体装備企業は、韓国の他の分野の企業と比較すると売上高に対して相当多くの出願を行っていることがわかり、韓国の出願件数が多い中小企業の順位には、多くの半導体装備企業が名を連ねています。韓国の半導体装備企業が全世界の半導体装備市場に占める比重は高くはありませんが、特許権の確保を通じた技術保護に多大な努力をしており、今後もこのような趨勢が続くものと思われます。

今月の解説者

GIP Korea 特許法律事務所
弁理士 任世峻 (イム・セジュン)
韓国半導体産業協会に在職。
2013年に半導体産業発展功労者 産業通商資源部長官賞を受賞。
(監修:日本貿易振興機構=ジェトロ=ソウル事務所 副所長 笹野秀生)

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本記事はジェトロが執筆あるいは監修し、The Daily NNA【韓国版】に掲載されたもので、株式会社エヌ・エヌ・エーより掲載許諾をとっています。

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