知的財産に関する情報(The Daily NNA【韓国版】より)迅速な権利取得のための商標優先審査制度の活用

2018年11月14日

The Daily NNA【韓国版】掲載(File No.122)
Kyong-Eun 国際特許法律事務所 代表弁理士 全鍾涸(ジョン・ジョンハク)

韓国特許庁(KIPO)における商標審査は、特許庁に出願された順番で行われることが原則となります。しかし、一定の要件を満足する商標出願に対しては、優先的に審査を受けることができる優先審査制度が幅広く施行されています。もちろん、このような優先審査制度は、日本でも施行されていますが、韓国特許庁ならではの優先審査の適用対象もあるため、これに留意して活用することが望ましいといえます。

優先審査の要件

優先審査の申請対象となる商標の要件は、次のとおりです(韓国商標法施行令第12条)。

  1. 商標登録出願人が商標登録出願した商標を指定商品の全部に対して使用しているか、使用する準備をしていることが明白な場合
  2. 商標登録出願人が、その商標登録出願と関連して他の商標登録出願人から法第58条第1項による書面警告を受けた場合
  3. 商標登録出願人がその商標登録出願と関連して法第58条第1項による書面警告をした場合
  4. 法第167条によるマドリッド議定書(以下「マドリッド議定書」という)による国際出願の基礎となる商標登録出願をした場合であって、マドリッド議定書による国際登録日又は事後指定日が国際登録簿に登録された場合
  5. 「調逹事業に関する法律」第9条の2第1項第2号による中小企業者が共同で設立した法人が出願した団体標章である場合
  6. 条約による優先権主張の基礎となる商標登録出願をした場合であって、外国特許機関で優先権主張を伴った出願に関する手続きが進行中の場合
  7. 存続期間満了で消滅した登録商標の商標権者が商標登録出願をした場合であって、その標章と指定商品が存続期間満了で消滅した登録商標の標章及び指定商品と全部同一な場合

広範囲にわたる申請対象

要件1の場合、日本特許庁でも同じく、優先審査の対象となります。韓国で既に事業を始めたのであれば、非常に効果的な制度となります。しかし、韓国における優先審査の申請対象は、要件1以外にも活用できる余地が、より広範囲にわたります。
韓国商標法に基づき、商標登録出願後、登録移転に出願された商標と同一・類似した商標を使用する者に書面警告を通じて使用中止を要求し、警告後にも、継続して使用する場合には、登録されて以来、損害賠償請求を起こすことができます(商標法第58条第1項)。優先審査対象の要件2、3の場合には、このような書面警告の後、出願人または警告を受けた者が優先審査を請求することができるよう、設けられた制度です。優先審査を活用すれば、市場で衝突する競争者との紛争を迅速に終結させることができ、市場の混乱防止が可能となります。
一方、商標権のずさんな管理により、商標権の更新登録期間を逃して権利が消滅された場合、要件7の優先審査の活用が可能となります。まず、韓国に登録されていた商標であれば、権利が消滅された以後でも、改めて出願し、優先審査の申請を通じて早めに権利を確保することができるため、法的な安定性を迅速に確保した上で、心配なく事業を展開することが可能となります。

優先審査の申請タイミング

優先審査は、商標登録出願と同時にまたは出願以後でも、まだ審査着手前であれば、申請することができます。優先審査の対象になると、2~3カ月以内に審査の結果を受けられるため、出願商標の登録可否を、迅速に確認することができます。万一、審査の結果、出願した商標の登録に問題がある場合には、迅速にこれに対する措置を取ることができるため、柔軟かつ効果的なブランド戦略の構想が可能となります。
ただ、マドリッド国際商標登録を通じて、韓国を指定国とした国際出願の場合には、優先審査を受けることができないため、優先審査が必要であれば、別途、韓国特許庁に直接、商標登録出願を行い、優先審査制度を活用することが望ましいといえます。

今月の解説者

Kyong-Eun 国際特許法律事務所 代表弁理士 全鍾涸(ジョン・ジョンハク)、世界韓人知識財産協会(WIPA)会長、高麗大学電子工学科卒業、米国カリフォルニア州立大学ロースクール卒業
(監修:日本貿易振興機構(ジェトロ)ソウル事務所 副所長 浜岸 広明)

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本記事はジェトロが執筆あるいは監修し、The Daily NNA【韓国版】に掲載されたもので、株式会社エヌ・エヌ・エーより掲載許諾をとっています。

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