カンボジアの貿易と投資(世界貿易投資動向シリーズ)

要旨・ポイント

  • 2022年の実質GDP成長率は5.0%。
  • 主要産業の縫製業を中心に輸出総額は前年比16.5%増。
  • 2023年のGDP成長率は5.3~5.5%と予想。
  • 縫製業、建設・不動産業、観光・サービス業の回復が遅れ、景気の先行きに不透明感。
  • 首相をはじめ政権が世代交代し、投資環境の改善など、新政権によるかじ取りに期待。

公開日:2024年1月11日

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マクロ経済 
2022年前半は経済が大幅回復も、後半に失速

IMFによると、カンボジアの2022年の実質GDP成長率は5.0%を記録し、前年の2.2%から大きく伸びた。政府が2021年12月に発表した「ニューノーマルにおける経済回復戦略的枠組みプログラム2021~2023」に基づく経済対策が進められた結果、2022年は新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)関連規制の影響を受けた前年と比べて経済回復が進んだ。特に、輸出が前年比で16.5%伸び、経済をけん引した。年後半は主要輸出先である欧米市場のインフレと景気後退の影響で失速したものの、前半の好調さが際立った。観光業などの第三次産業や農業も回復し、経済成長に寄与した。

一方、2023年の経済成長率は、カンボジア政府や世界銀行、IMFなどによると、5.3%から5.5%と予想されている。しかし、2023年前半は、欧米市場の景気低迷の影響により、主要産業である縫製業の輸出が停滞した。中国資本による建設・不動産分野での投資や中国からの観光客の回復が遅く、カンボジア経済の下振れ要因となっている。また、米国の高金利政策継続に伴うドル高が、資材や材料、部品の多くを輸入に頼るカンボジアの輸出競争力低下につながると懸念されている。2023年後半は、主要輸出先である米国や中国の景気回復がカンボジアの輸出産業の復調を促すことが期待されているものの、楽観視はできない状況だ。

主要産業のひとつである観光・サービス業は、回復の途上にある。観光省によると、2022年の外国人観光客は228万人だった。前年の1,059人から大幅に増加したが、新型コロナ禍前に記録した年間約660万人と比べると、3割程度の回復にとどまった。2023年上半期は東南アジア競技大会(SEA Games)の開催に伴う旅行客の増加によって、外国人観光客数は前年実績を上回る257万人(前年同期比5.1倍)を記録した。しかし、2023年通年の政府目標である500万人の達成は、下半期の中国人旅行客の回復状況に左右されるとみられている。

物価は2022年前半に上昇が続いた。カンボジア計画省統計局によると、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は過去10年間で最大となる前年同月比で7.8%を記録した。ロシアによるウクライナ侵攻の影響などを受け、原油などの資源や原材料の価格が高騰したことが背景にある。年後半は上昇率が多少落ち着いたが、年間の平均上昇率は5.3%となった。2023年前半のCPI上昇率は3.0%を下回り、安定的に推移した。複数の国際機関による2023年のCPI上昇率予測は2.5~3.3%となっている。

外貨準備高は2022年末で178億7,500万ドルと、輸入額の約7カ月分相当の安定した水準を維持している。なお、カンボジア国立銀行によれば、2023年6月末には前年末より3.2%増の184億ドルとなっている。

対外債務残高は224億6,800万ドルで前年比11.5%増加となった。なお、カンボジアの公的債務の残高および返済先の約4割が中国であるが、複数の国際金融機関からも借り入れるなど徐々にその割合は減少しており、債務が特定国に偏らないようにバランスをとっているものとみられる。

貿易 
カンボジアの貿易、米国や中国の景気が影響

輸出入の実績はカンボジアの産業構造を反映した内容となっている。製造業の中心は、縫製関連や簡易な部品組み立てなどの労働集約型軽工業だが、裾野産業が育っていないため、資材や材料、部品を輸入し、製造した完成品や部品仕掛品を輸出して外貨を稼ぐという貿易構造になっている。

2022年の輸出は224億8,300万ドルで、前年比16.5%の伸びを記録した。主要産業である衣料品、履物、革製品・かばんなどの縫製品の輸出が堅調に伸び、輸出をけん引した。また、日系企業が製造の多くを担っているとみられる電気機器・部品が85.0%増(19億9,800万ドル)、車両・部品が49.3%増(10億3,000万ドル)と大きく回復した。なお、輸出の上位10品目には含まれないものの、近年欧米向けに自転車の輸出が伸びており、ASEAN内では最大の輸出国となっている。

輸入は299億4,200万ドルで、前年比4.4%の伸びだった。世界的な原油価格高騰の影響により、エネルギー資源(鉱物性燃料・石油類)の輸入額が前年比52.7%増(36億6,800万ドル)と拡大した。しかし、年後半の縫製業における受注減少を背景に、縫製品の資材となるニット・繊維類が2.1%減(28億9,100万ドル)と低迷した。

表1-1 カンボジアの主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
縫製品(ニット) 5,818 6,367 28.3 9.4
縫製品(非ニット) 2,198 2,668 11.9 21.4
電気機器・部品 1,080 1,998 8.9 85.0
革製品・かばん 1,573 1,861 8.3 18.3
履物 1,393 1,737 7.7 24.7
穀物 1,251 1,205 5.4 △ 3.7
車両・部品 690 1,030 4.6 49.3
家具類 872 948 4.2 8.7
その他 4,421 4,668 20.8 5.6
合計 19,296 22,483 100.0 16.5

〔注〕小数点以下の四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
〔出所〕カンボジア関税消費税総局(GDCE)のデータからジェトロ作成

表1-2 カンボジアの主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
鉱物性燃料・石油類 2,402 3,668 12.2 52.7
ニット・繊維類 2,952 2,891 9.7 △ 2.1
車両・部品 1,966 2,375 7.9 20.8
機械類 1,381 1,469 4.9 6.4
電気機器・部品 1,190 1,464 4.9 23.1
プラスチック 1,164 1,217 4.1 4.5
合成・化学繊維類 1,108 1,200 4.0 8.3
アルミニウム・同製品 536 780 2.6 45.5
その他 15,987 14,878 49.7 △ 6.9
合計 28,687 29,942 100.0 4.4

〔注〕小数点以下の四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
〔出所〕カンボジア関税消費税総局(GDCE)のデータからジェトロ作成

国・地域別にみると、輸出は米国向けが前年より19.8%(89億6,900万ドル)伸び、輸出全体の約4割を占めた。米国への主要輸出品目は、衣料品、履物、革製品・かばんなどの旅行用品であり、2022年も引き続き増加した。欧州や東南アジア向けが回復した一方で、中国向け輸出は17.9%減(12億4,100万ドル)と大幅に減少した。これは、中国国内で新型コロナ感染拡大防止のために実施された、ロックダウンによる消費減退などが影響したものとみられる。

一方、輸入では、最大の輸入相手国である中国が前年比8.0%増(104億4,600万ドル)と堅調に推移し、輸入全体の34.9%を占めた。中国からの輸入は、カンボジアでの縫製品や電気機器・部品の生産に必要な資材や材料、部品が大半を占める。中国以外の上位の輸入相手国・地域では、2位のベトナムが26.2%増(39億6,700万ドル)、3位のタイが10.7%増(38億3,300万ドル)とそれぞれ伸びた。しかし、いずれも中国からの輸入額の4割程度と、中国が他国・地域を圧倒している。

表2-1 カンボジアの主要国・地域別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
米国 7,486 8,969 39.9 19.8
ベトナム 1,991 2,169 9.6 8.9
中国 1,510 1,241 5.5 △ 17.9
日本 1,089 1,173 5.2 7.7
カナダ 955 1,121 5.0 17.4
ドイツ 881 1,084 4.8 23.0
英国 732 886 3.9 21.1
タイ 620 832 3.7 34.1
ベルギー 508 642 2.9 26.3
オランダ 441 553 2.5 25.2
その他 3,083 3,815 17.0 23.7
合計 19,296 22,483 100.0 16.5

〔注〕小数点以下の四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
〔出所〕カンボジア関税消費税総局(GDCE)のデータからジェトロ作成

表2-2 カンボジアの主要国・地域別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
中国 9,674 10,446 34.9 8.0
ベトナム 3,143 3,967 13.2 26.2
タイ 3,463 3,833 12.8 10.7
シンガポール 5,097 3,230 10.8 △ 36.6
スイス 964 1,436 4.8 49.0
台湾 980 1,037 3.5 5.8
インドネシア 607 912 3.0 50.1
日本 641 775 2.6 21.0
香港 725 764 2.6 5.5
韓国 582 545 1.8 △ 6.3
その他 2,810 2,997 10.0 6.6
合計 28,687 29,942 100.0 4.4

〔注〕小数点以下の四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
〔出所〕カンボジア関税消費税総局(GDCE)のデータからジェトロ作成

2023年上半期の輸出は前年同期比0.8%増の114億6,400万ドル、輸入は22.9%減の122億2,900万ドルだった。輸出は欧米向けが停滞する一方、ベトナムや中国向けが堅調だった。最大の輸出先である米国は8.9%減の42億3,610万ドルとなった。特に家具や履物、プラスチック製品、木製品の輸出がそれぞれ3割以上落ち込んだ。一方、2位のベトナムは21.7%増(14億2,961万ドル)で、主に穀物の輸出が増加した。3位の中国も16.6%増(7億1,328万ドル)となり、毛皮製品や穀物の輸出が伸びをけん引した。欧米向けを中心に輸出品の受注が落ち込んだことで、資材などの輸入も減少した。また、前年に比べて鉱物性燃料・石油類の価格が低下したことも影響した。

通商政策 
中国、韓国との二国間FTAが発効

カンボジアは2022年1月1日に同国初となる二国間の自由貿易協定(FTA)を中国との間で発効した。2022年は前述のとおり中国向けの輸出が低迷したが、同FTAによって双方9割以上の品目で関税の減免を予定しており、衣料品や履物、コメをはじめとした農産品などのさらなる輸出拡大が期待される。また、カンボジアは2022年12月1日に韓国とも二国間FTAを発効した。両国間での繊維・衣類のサプライチェーン強化などが期待されている。

対内直接投資 
対内直接投資の回復は緩慢、優遇措置の細則発表で誘致促進へ

表3 カンボジアの国・地域別対内直接投資[認可ベース](単位:件、100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2021年 2022年
件数 金額 件数 金額 構成比 伸び率
中国 113 1,139 138 1,689 91.0 48.3
タイ 5 52 4 44 2.4 △ 15.5
その他 2 22 7 35 1.9 57.1
日本 2 62 4 25 1.3 △ 60.0
サモア 3 20 2 20 1.1 1.3
韓国 1 20 4 18 1.0 △ 10.0
英国領(ケイマン諸島、バージン諸島) 7 200 2 13 0.7 △ 93.5
シンガポール 14 135 3 13 0.7 △ 90.7
米国 5 162 0 0 0.0
セーシェル 3 48 0 0 0.0
合計 155 1,861 164 1,856 100.0 △ 0.3

〔注1〕小数点以下の四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
〔注2〕カンボジア開発評議会(CDC)が認可した投資優遇措置を適用する投資プロジェクト(適格投資案件、QIP)。CDC傘下のカンボジア投資委員会(CIB)が公表する経済特別区(SEZ)外の投資プロジェクトと、カンボジアSEZ委員会(CSEZB)が公表するSEZ内への投資プロジェクトを足し上げたもの。QIPプロジェクト以外の投資統計は入手できない。
〔出所〕カンボジア投資委員会(CIB)、カンボジアSEZ委員会(CSEZB)のデータからジェトロ作成

2022年の適格投資案件(QIP)取得企業による対内直接投資件数(認可ベース)は164件で、認可額は18億5,600万ドルだった。件数は前年からわずかに増加したものの、金額はほぼ横ばいだった。ピークの2019年(56億8100万ドル)と比べると、中国からの投資は回復してきているが、他国からの投資は戻ってきていない状況だ。

国・地域別でみると、中国からの投資が全体の91%(金額ベース)を占める一国傾斜の構造が続いた。中国からの大型投資案件は、火力発電事業とタイヤ製造事業の進出だった。一方、新型コロナ禍前に相次いでいたホテル・リゾート・娯楽施設の開発といった観光関連事業への投資がほとんどなくなるなど、中国からの投資の勢いはまだ回復途上にある。中国以外の国・地域からの投資も、世界的な景気減速から伸び悩んだ。日系企業の投資は、自動車組み立て事業、化成品製造事業、繊維関連事業2社の合計4件にとどまった。

カンボジア開発評議会(CDC)の発表によると、2023年上半期のQIP(認可ベース)は前年同期比15%増の113件で、認可額は63%減の約11億ドルだった。中国からの投資が7億2,300万ドルと全体の65%を占め、他国およびカンボジア国内投資を大きく引き離している。業種別では、製造業が102件と、投資件数全体の9割を占めた。

中長期的な投資増加に向けた動きの一例としては、近年、自動車の組み立て工場が稼働し始めたことが挙げられる。それにより、自動車関連の部品製造事業など、裾野産業の成長につながる機運が高まっている。前述の中国によるタイヤ製造事業も、将来的にはタイヤ原材料のゴムコンパウンドの国内生産を見込んでおり、カンボジア国内での自動車のサプライチェーン構築に貢献すると期待されている。

投資環境・外資政策 
新投資法をてこに、産業の多角化・高度化を目指す新政権

カンボジア政府は2021年10月に新投資法を公布した。2023年6月には、その運用細則を示した政令を公布し、QIPとして認定される事業の区分、事業所得税の減免や人材育成・福利厚生などに係る費用の特別控除などの投資優遇措置の内容が明記された。自動車・同部品、電子機器・同部品の製造には、事業所得税の免税期間が最も長いグループ(9年間)に位置付けられている。また、自動車組み立て事業は、パーツ数や投資資本額、従業員数に応じて、関税、特別税、付加価値税を50~90%引き下げるなどの措置も規定された。カンボジア政府として外資誘致を進める強い姿勢がうかがえる。

2023年8月、1985年以来38年間首相を務めたフン・セン氏が退任し、陸軍司令官であった同氏の長男であるフン・マネット氏が新首相に就任した。新政権の誕生により世代交代が進み、経済界からは投資環境の改善など、新政権による政策運営に期待が寄せられている。米中対立などにみられる国際ビジネスリスクの高まりや、生産・輸出拠点としての中国の優位性の相対的な低下などを背景に、外資系企業の中には生産・調達拠点を中国国外に分散化させることで、サプライチェーンの多元化・強靭化を図ろうとする動きがみられる。カンボジア政府は新投資法による優遇措置の強化をてこに、外資誘致を促進し、産業の多角化・高度化を推進しようとしている。また、生産性向上を目指した人材育成やインフラ改善への注力も引き続き求められる。さらに、国内産業に占める農業部門の割合が高いが、気候変動の影響を受けやすい土地柄であることから、気候変動対策としてのグリーンビジネス関連エコシステムおよびICT・デジタル領域のスタートアップの受け入れや育成、投資強化も重要視されている。これらの分野は新投資法で主要投資優遇処置対象カテゴリーに含まれており、カンボジア政府からは日本企業の参入も期待されている。

対日関係 
日本との貿易は拡大、投資増加に期待

表4-1 日本の対カンボジア主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
車両・部品 99 101 19.7 1.8
機械類・部品 97 93 18.2 △ 4.4
特殊品 32 56 10.9 72.6
肉類 146 53 10.4 △ 63.6
電気機器・部品 47 51 9.9 7.1
光学機器 19 32 6.2 71.6
プラスチック製品 11 10 2.0 △ 8.4
穀物 11 9 1.7 △ 20.2
綿・綿織物 12 8 1.6 △ 30.6
原皮・革 10 8 1.6 △ 17.1
その他 94 91 17.7 △ 3.1
合計 578 512 100.0 △ 11.5

〔出所〕Global Trade Atlasデータ(日本の財務省貿易統計)を基にジェトロ作成

表4-2 日本の対カンボジア主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
衣料品(織物) 540 601 31.3 11.2
衣料品(ニット) 565 601 31.3 6.3
履物 191 230 12.0 20.3
革製品 151 164 8.5 8.3
電気機器・部品 147 147 7.7 0.2
傘、杖および部品 36 38 2.0 6.7
真珠・貴石・貴金属 18 15 0.8 △ 17.3
車両・部品 7 13 0.7 86.2
機械類・部品 10 14 0.7 40.7
帽子・部品 6 7 0.4 22.6
その他 74 88 4.6 18.4
合計 1,746 1,918 100.0 9.9

〔出所〕Global Trade Atlasデータ(日本の財務省貿易統計)を基にジェトロ作成

日本の財務省貿易統計(通関ベース)によると、2022年の日本とカンボジアの貿易総額は前年比で4.6%増加した。貿易収支はカンボジア側からみて14億600万ドル程度の黒字となり、黒字額は前年比20.4%増加した。日本のカンボジアへの輸出は、11.5%減の5億1,200万ドルだった。前年の最大輸出品目であった肉類が63.6%減で4位に後退したほか、縫製品の資材となる綿・綿織物(30.6%減)や原皮・革(17.1%減)なども減少した。輸出上位品目である建機や自動車を含む車両・部品は1.8%増の1億100万ドル、機械類・部品は4.4%減の9,300万ドルであった。一方、日本のカンボジアからの輸入は、前年比9.9%増の19億1,800万ドルだった。主力品目である縫製品は、衣料品(織物)が11.2%増、衣料品(ニット)が6.3%増、履物が20.3%増、革製品が8.3%増とそれぞれ大きく増加した。これら4品目で輸入全体の83.2%を占めている。少額であるものの、伸び率で突出したのが車両・部品(86.2%増)だ。2022年前半に深刻な半導体不足により低迷していた日本の自動車生産が年後半は徐々に回復したことから、ワイヤーハーネスなどの輸出が増加したとみられる。

日系企業による直接投資は伸び悩んでおり、2023年上半期は大型案件がみられなかった。ジェトロ・プノンペン事務所への投資相談件数は前年同期と横ばいだが、「タイプラスワン」、「ベトナムプラスワン」の観点から、周辺国にある製造拠点の労働集約工程の移管先としてカンボジア進出を検討する日系企業の相談は散見される。 2023年は日カンボジア外交樹立70周年に当たり、両国間での交流イベントが盛んになっている。新たにグリーンビジネスやデジタル関連での参入を目指す日本企業が現れるなど、両国での新たなビジネス共創の動きが注目される。

基礎的経済指標

人口
1,599万人(2022年)
面積
18万1,035平方キロメートル
1人当たりGDP
1,785米ドル(2022年)
(△はマイナス値)
項目 単位 2020年 2021年 2022年
実質GDP成長率 (%) △ 3.1 2.2 5.0
消費者物価上昇率 (%) 2.9 3.0 5.3
失業率 (%) 0.7 0.6 0.4
貿易収支 (100万米ドル) △ 2,522 △ 11,199 △ 8,820
経常収支 (100万米ドル) △ 2,364 △ 11,971 △ 6,456
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 21,248 20,338 17,875
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 17,540 20,146 22,468
為替レート (1米ドルにつき、リエル、期中平均) 4,093 4,099 4,102

注:
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
出所:
人口、1人当たりGDP、実質GDP成長率、消費者物価上昇率:IMF World Economic Outlook April 2023
面積:カンボジア計画省
失業率:世界銀行
貿易収支、経常収支、外貨準備高(グロス)、対外債務残高(グロス)、為替レート:カンボジア国立銀行