上海に設立した現地法人から日本の出資会社へ配当金を送金する場合の手続

2015年1月7日修正

外資企業の適正な配当金については、所定の手続きを取った上で海外送金を行うことが可能です。

  1. 配当金の支払い条件は以下となります。
    (1)定款に定めた通り登録資本金の払込が完了していること。
    (2)当期利益を計上しており、繰越欠損についても解消していること。
    ※ 上記の条件を満たしていない場合には、認可部門の許可を受ける必要があります。
    ※ 各出資者への配当金額については、年度決算終了後、定款等に基づき董事会で決議します。配当可能金額は、当期未処分利益(税引後当期利益+過年度繰越損益)から三項基金を控除した金額となります。
  2. 銀行での配当送金の手続には、以下の書類が必要となります。
    (1)董事会決議書(含、配当案)
    (2)監査済会計報告書
    (3)験資報告書
    (4)外貨登記証
    (5)税務証憑(完税証明+税単)
    (6)所得税申告表
    (7)「二免三減」等の期間内の場合、関係書類(税務署からの許可文献等)の原本
  3. 配当送金に関する留意事項
    (1)中国においては、原則、中間配当を行うことは出来ません。
    (2)保有外貨が不足する場合には、外貨購入手続を行った上で配当送金を行います。その際、保税区企業の場合には、「全ての外貨口座の残高証明」の提出が必要となります。尚、定款上に「保有外貨が不足する場合には、外貨を購入して配当送金を行う」旨の記載が無い場合、外貨の購入・送金が出来ない場合もあるので注意が必要です。
    (3)過年度の配当金を送金する場合には、会計事務所にて専用会計審査を受ける必要があります。
    (4)現状、中国国内における外資企業が行う配当金の海外送金については、営業税は発生しませんが、企業所得税を納付しなければなりません。当該企業所得税は通常、「源泉所得税」と呼ばれ、税率は10%です。例えば、外資企業が予定している配当金が100万人民元である場合、外資企業はまず当該海外出資者のために10万人民元の税金を源泉徴収してから、残りの90万人民元を海外出資者に送金することができます。一方で、日本で受け取った配当金については、日中租税条約における見做し税額控除規定により、合弁企業であれば10%、それ以外であれば20%で源泉徴収されたものとみなして外国税額控除の適用を受けることが可能です。

(東京三菱銀行上海支店提供:本件は一般的事例に基づいて作成しております。具体的な点についてはお取引銀行にお問い合わせ頂きますようお願い申し上げます。また、配当送金につきましては、弊店をご利用頂きますようお願い申し上げます。)