知的財産ニュース 日本国文化庁が発表した「海賊版被害額」に反論、中国の知財有識者

2013年5月29日
出所: 新華網

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日本国文化庁は先日、日本のアニメ作品などの中国における海賊版による年間被害額を発表したが、中国の知財有識者らはその数字を「非科学的な調査方法に基づいたもの」だとし、反論した。

文化庁は北京、上海、広州、重慶の4都市でインターネット利用者1000人を対象に、日本のアニメ·漫画作品の海賊版の流通状況についてアンケートを実施した。その結果、4都市における年間損失額は約340億元に上ると推定した。インターネット利用人口の割合などに基づいて試算すると、中国全土における被害額は年間2300億元に達するだという。

だが、文化省は発表の中で、具体的な調査方法を明らかにしなかった。北京、上海、広州、重慶は経済が比較的発達している地域であり、ネットユーザーがアニメ·漫画作品と接触する頻度はほかの都市よりはるかに高い。中国人民大学社会学部の周孝正教授は「調査範囲が明らかに非科学的。質問の仕方も、回答者を誘導する内容だった可能性がある」と指摘した。

中国知的財産権弁護士ネットの徐新明·首席弁護士は、「1つの行為が知的財産権の侵害にあたるかどうか、違法海賊版の流通罪になるかどうかは、主に運営業者が合法的な権利を得ているかどうかで決まる」と主張し、「中国の市場は巨大で繁雑で、運営モデルが多種多様であり、普通のネットユーザーが運営業者が合法的な権利を得ているか正確に判断することは難しい。そのため、日本側がネットユーザーの回答からだけ出した調査結果は全面的ではない」と反論した。

中国文化部の統計によると、近年、中国のアニメ·漫画産業チェーンは成長を続け、その生産高は10年前の100億元から、2010年には470億8400万元にまで増加した。年平均30%の速さで伸びている。「十二五(第12次5カ年計画)」(2011~2015年)の終わりには、これが1000億元に達する見込みだ。

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