中国(上海)自由貿易試験区管理弁法

作成日:2013年10月15日

法令名称
中国(上海)自由貿易試験区管理弁法
発布機関
上海市人民政府
発布番号
上海市人民政府令第7号
発布日
2013.09.29
実施日
2013.10.01

主旨と目的

中国(上海)自由貿易試験区(以下、「自由貿易区」という)の建設を推進するため(第一条)。

内容のまとめ

本管理弁法は七章三十九条に分けられ、総則(第一章)、管理機構(第二章)、投資管理(第三章)、貿易の発展と利便化(第四章)、金融革新とリスク防止(第五章)、総合管理およびサービス(第六章)および附則(第七章)が含まれる。以下に概要を紹介する。

管理機構(第二章)
【管理機構】(第四条)
中国(上海)自由貿易試験区管理委員会である。
【機構の職責】(第五条)
※備考:付属文書一、管理委員会が担当する行政審査許可事項および二、管理委員会が担当する具体的な管理事務においても具体的な規定を設けている。
その他にも、【総合法執行】(第六条)、【集中サービス場所】(第七条)、【区内機構】(第八条)および【その他の行政事務】(第九条)が含まれる。
投資管理(第三章)
【サービス業の開放拡大】(第十条)
具体的には「中国(上海)自由貿易試験区全体方案」に基づく。
【ネガティブリスト管理方式】(第十一条)
外商投資参入前内国民待遇を実施し、外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)管理方式を実施する。
※備考:「中国(上海)自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2013年)」は既に別途公布されている。
【国外投資届出制】(第十二条)
自由貿易区内の企業が国外で投資設立する企業については、届出制を主とする管理方式を実施し、国外投資一般項目については届出制を実施する。
※備考:「中国(上海)自由貿易試験区国外投資設立企業届出管理弁法」および「中国(上海)自由貿易試験区国外投資プロジェクト届出管理弁法」は既に別途公布されている。
【登録資本引受登記制】(第十三条)
  • 会社株主(発起人)は自己の出資引受額、出資方式、出資期限などについて自主的に取り決めた上で会社定款に記載する(法律、行政法規で別途規定がある場合は除く)。
  • 会社株主(発起人)は出資金払込み状況の真実性、適法性について責任を負い、自己の引き受けた出資額または持分を限度に会社に対し責任を負う。
【営業許可証と経営許可】(第十四条)
営業許可証取得後の許可取得の管理方法、即ち、自由貿易区内企業は営業許可証を取得すれば、直ちに一般生産経営活動に従事することができる。許可が必要な生産経営活動に従事する場合、営業許可証取得後に主管部門に対し申請することができる。
貿易の発展と利便化(第四章)
【運輸ハブ機能】(第十六条)
自由貿易区内企業は「中国洋山港」を船籍港として船舶登記を行うことができる。
【出入国監督管理制度の革新】(第十七条)
自由貿易区は貨物状態分類監督管理方式を推進する。区内の保税倉庫保管、加工などの貨物については、保税貨物状態に基づき監督管理を行う。自由貿易区の通関を通じて輸出入または国際積替を行う貨物については、通関貨物状態に基づき監督管理を行う。区内に搬入された特定の国内貿易貨物については、非保税貨物状態に基づき監督管理を行う。
【出入国監督管理サービスの利便化】(第十八条)
  • 国際積替、集荷および仕分け業務:「一回申告、一回検査、一回通関」方式。
  • 貨物の流通手続き:「集中申告、自主輸送」の方式。
その他にも、【貿易のモデルチェンジ・グレードアップ】(第十五条)が含まれる。
金融革新とリスク防止(第五章)
【金融革新】(第十九条)、【資本項目の兌換自由化】(第二十条)、【金利の市場化】(第二十一条)、【クロスボーダー人民元決済の利用】(第二十二条)、【外貨管理】(第二十三条)、【金融主体の発展】(第二十四条)および【リスク防止】(第二十五条)が含まれる。
※備考:金融方面においては、中国銀監会、中国証監会、中国保監会が具体的な関連支援政策を公布している。
総合管理およびサービス(第六章)
【ワンストップ受理体制】(第二十八条)
外商投資プロジェクト許可(届出)および企業設立(変更)における「ワンリスト申請、ワンストップ受理」業務体制を構築する。工商部門は申請者が提出する申請資料をまとめて受領し、申請者へ関連文書をまとめて送達する。
【企業年度報告の公示】(第三十二条)
  • 自由貿易区内の企業は工商部門に年度報告を提出しなければならない。
  • 商業秘密にかかわる内容を除き、年度報告は社会に対して公表しなければならない。
  • 企業は年度報告の真実性、適法性に対し責任を負う。
その他にも、【管理の最適化】(第二十六条)、【管理情報の公開】(第二十七条)、【監督管理の整備】(第二十九条)、【安全審査および独占禁止審査】(第三十条)、【知的財産権の保護】(第三十一条)、【信用情報制度】(第三十三条)、【監督管理情報の共有】(第三十四条)、【総合性評価】(第三十五条)、【行政不服審査および訴訟】(第三十六条)および【商事紛争解決】(第三十七条)が含まれる。

日系企業への影響

本管理弁法は非常に重要な位置づけであり、自由貿易区に関する基本的で総合的な法令である。ただし、本管理弁法の多くは原則的な規定であるため、具体的な実務においては、その他の付帯政策に照らす必要がある(一部の付帯政策は既に公布されており、今後も続いて公布されると思われる)。

日系企業(既に自由貿易区で登記登録された日系企業、あるいは将来自由貿易区にて登記登録を行う予定の企業を問わず)について言えば、いずれも本管理弁法を通じて、自由貿易区の基本制度を把握することができる。


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