日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛乳・乳製品のHSコード

0401
:ミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をし、または砂糖その他の甘味料を加えたものを除く)
0402
:ミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をし、または砂糖その他の甘味料を加えたものに限る)
0403
:バターミルク、凝固したミルクおよびクリーム、ヨーグルト、ケフィアその他発酵させまたは酸性化したミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をしてあるかないかまたは砂糖その他の甘味料、香味料、果実、ナットもしくはココアを加えてあるかないかを問わない。)
0404
:ホエイ(濃縮もしくは乾燥をしてあるかないかまたは砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わない。)およびミルクの天然の組成分から成る物品(砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わないものとし、他の項に該当するものを除く。)
0405
:ミルクから得たバターその他の油脂およびデイリースプレッド
0406
:チーズおよびカード(その他のチーズ)
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中国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2020年10月

中国は口蹄疫の発生を理由に、2010年から日本産の偶蹄類動物(豚、牛、ヒツジなど)およびその製品の輸入禁止措置を実施してきましたが、当該規制措置は2019年12月19日から解除されました。

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県(コメを除く)、長野県(10都県)で生産された食品(乳・乳製品を含む)は輸入停止中です。10都県以外で生産された乳・乳製品については、政府作成の放射性物質検査証明書および産地証明書が要求されますが、放射性物質検査証明書について、中国はストロンチウム90などの分析報告が必要と考えており、日本政府と中国政府との間で合意に至っていないため、実質輸出停止となっています。詳細は農林水産省のウェブサイト「中国向け輸出証明書等の概要について」を確認してください。

「輸出入乳・乳製品検査検疫監督管理弁法」第6条に基づき、税関総署は中国向けに乳・乳製品を輸出する企業に対し、国外食品生産企業登録制度を実施しています。税関総署のウェブサイトに公示している「輸入乳・乳製品国外生産企業登録リスト」によると、現時点において、中国向けの輸出許認可を取得している日本企業はありません。そのため、現段階では日本産の牛乳・乳製品は中国に輸出することはできません。

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2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2020年10月

※前述「輸入規制 1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」のとおり、日本から中国への牛乳・乳製品輸出は不可ですが、本項目以降は、今後輸出可となった場合に必要となる事項について記載します。

「食品安全法」第96条により、日本の食品輸出事業者または代行業者は、食品を輸出する前に、税関総署に届出を行わなければなりません。また、中国に食品を輸出する日本の食品生産企業は、税関総署への登録申請を行わなければなりません。

輸出事業者または代行業者による届出

「輸入食品輸出入事業者届出管理規定」第4条、第5条によると、食品の輸出にあたり、日本の輸出事業者または代行業者は、中国税関総署に届出を行わなければなりません。届出を行うにあたり、「インターネット+税関」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて、次の資料を提出します。なお、提出する資料の真実性には責任を負わなければなりません。

  1. 届出書(企業情報、生産・販売する食品の種類および中国の取引パートナーの情報および誓約書を含む)
  2. 輸出事業者または代行業者の名称、国または地域、住所、担当者名および電話番号、生産・販売する食品の種類、届出書の記入者情報および電話番号など

食品生産企業による登録

「輸入食品国外生産企業登録実施目録」によると、初乳、生乳および乳製品を含む乳・乳製品の生産企業は、中国に輸出する前に、税関総署の登録申請を行わなければなりません。当該登録手続きはオンライン上外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで行うことが可能です。また、「輸入食品・化粧品の輸出入事業者届出システム」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのうち、「海外製造施設の記録システム(Information Recording System for Manufacturer Overseas)」での登録も必要です。

税関総署ウェブサイトの「インターネット+手続ガイドライン」に掲載されている「輸入食品国外生産企業登録ガイダンス」によると、輸入食品の中国国外の生産企業は次の資料を提出する必要があります。

  1. 「輸入食品中国国外生産企業登録申請表」
  2. 輸出国(地域)における、動植物の疫病発生の状況、獣医師の衛生、公衆衛生、植物の保護、農薬・動物用医薬品の残留に関する基本状況報告書、食品生産企業の登録管理および企業衛生規範の要求などに関する法律法規および標準・規範(中国語または英語)。
  3. 輸出国(地域)の管轄当局機関の設置状況および人員の状況(中国語または英語)。
  4. 輸出国(地域)の管轄当局によるその推薦企業の検疫、衛生規制の実際の状況についての評価回答書(中国語または英語)。
  5. 登録を申請する中国国外の食品生産企業のリスト(中国語または英語)。
  6. 企業登録申請書。必要な場合、工場敷地、生産現場、冷蔵・冷凍倉庫の平面図、工程図など(中国語または英語)を提供する。
  7. 輸出国(地域)の管轄当局によるその推薦企業が中国の法律法規の要求を満たしていることについての誓約保証書(中国語または英語)。

輸入動/植物製品の国外生産、加工、保管事業者登録登記

「輸出入動植物検疫法実施条例」第17条に基づき、中国向けに輸出する動植物製品の生産、加工、保管を行う国外の事業者に対し、登録登記制度を実施しています。当該登録登記制度については、中国税関総署のウェブサイトで公表されている「輸入動/植物製品の国外生産、加工、保管事業者登録登記」を参考にすることができます。それによれば、水生動物、飼料および飼料添加物、穀物類以外のその他動植物製品を中国に輸出する場合、次の資料を準備し、登録登記の手続きを行う必要があります。

  1. 輸出国(地域)の関連する植物疫病、植物保護、農薬残留、生産企業の登録管理および衛生要求などに関する法令および標準規範
  2. 輸出国(地域)の主管当局における部門・人員の配備状況
  3. 企業に関する情報:企業の名称、住所、許認可番号
  4. 製品の登録情報:製品の登録名称、主な原料、用途など
  5. 所在国(地域)の主管当局が、推薦される企業に対する検査検疫、衛生監督の実際的な状況についての評価

輸出事業者より提出する資料について、当該国(地域)の公的検疫主管機関が、中国大使館を通じて税関総署に申請書類を提出する、またはその他所定の方法で提出します。

「乳幼児用調製粉乳製品の成分配合登録

なお、「乳幼児用調製粉乳製品成分配合登録管理弁法」に基づき、中国は輸入する乳幼児用調製粉乳に対してその製品の成分配合に関する登録管理が実施されています。当該登録申請は、乳幼児用調製粉乳の国外生産企業が行います。登録申請手続きは次のとおりです。

  1. 乳幼児用調製粉乳製品の成分配合登録申請書
  2. 申請者の主体許認可証明書類
  3. 原材料・副原材料の品質安全基準
  4. 製品成分配合研究開発報告書
  5. 製法についての説明
  6. 製品検査報告書
  7. 研究開発能力、生産能力、検査能力の証明資料
  8. その他成分配合の科学性、安全性を明示する資料

輸出に必要な書類

輸出国(地域)の公的機関発行の検疫証明書、衛生証明書、産地証明書、放射性物質検査証明書、第三者機関による検査報告書(検査項目については、「『輸出入乳・乳製品検査検疫監督管理弁法』の実施要求の調整に関する国家品質監督検査検疫総局の公告」を参照)などを事前に準備しておく必要があります。

「輸出入乳・乳製品検査検疫監督管理弁法」第7条には、中国向けに、乳・乳製品を輸出するにあたり、輸出国(地域)の公的機関より発行する衛生証明書の記載内容について次のように定めています。

  1. 乳・乳製品の原料由来が健康な動物であること
  2. 乳・乳製品が加工処理済みであり、乳・乳製品を介して伝染性疾病を伝播させるおそれがないこと
  3. 乳・乳製品の生産企業が当該国(地域)の政府主管機関の監督管理下にあること
  4. 乳・乳製品が安全なものであり、ヒトの食用に供することができること
  5. 衛生証明書には、輸出国(地域)の政府主管機関の捺印およびその授権者の署名があり、仕向地が中国であることを記載済みであること
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3. 動植物検疫の有無

調査時点:2020年10月

乳・乳製品の輸出にあたっては、輸出事業者より日本での輸出検査を受け、当局発行の検疫証明書を添付する必要があります。

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中国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年10月

乳・乳製品が適用する食品規格として、主に「衛生部公布の『生乳』(GB19301-2010)等66品目の食品安全国家標準(衛通〔2010〕7号)」において定められています。そのうち、乳・乳製品に関する標準は次のとおりです。

  1. 「食品安全国家標準生乳」(GB 19301-2010)
  2. 「食品安全国家標準調製乳(加工乳・乳飲料に相当)」(GB 25191-2010)
  3. 「食品安全国家標準滅菌乳」(GB 25190-2010)
  4. 「食品安全国家標準発酵乳」(GB 19302-2010)
  5. 「食品安全国家標準パスチャライズ乳」(GB 19645-2010)
  6. 「食品安全国家標準練乳」(GB 13102-2010)
  7. 「食品安全国家標準粉乳」(GB 19644-2010)

上記の標準には、各種乳・乳製品の原料要求、官能評価に関する要求、理化学的指標、汚染物質上限値、微生物上限値、表示ラベルなどについて定めています。そのうち、各種製品の理化学的指標については次のとおりです。

1. 生乳の理化学的指標
項目 指標 検査方法
氷点ab /(℃) -0.500~-0.560 GB 5413.38
相対密度/(20℃/4℃)≧ 1.027 GB5413.33
タンパク質/(g/100g)≧ 2.8 GB5009.5
脂肪/(g/100g)≧ 3.1 GB5413.3
不純物/(mg/kg)≦ 4.0 GB5413.30
無脂乳固形分(g/100g)≧ 8.1 GB5413.39
酸度/(°T) 牛乳b :12~18
羊乳:6~13
GB5413.34
2. 調製乳(加工乳・乳飲料に相当)
項目 指標 検査方法
脂肪a(g/100g)≧ 2.5 GB5413.3
タンパク質/(g/100g)≧ 2.3 GB5009.5
3. 滅菌乳
項目 指標 検査方法
脂肪a(g/100g)≧ 3.1 GB5413.3
タンパク質/(g/100g)≧ 牛乳2.9 GB5009.5
羊乳2.8
無脂乳固形分(g/100g)≧ 8.1 GB5413.39
酸度/(°T) 牛乳b :12~18
羊乳:6~13
GB5413.34
4. 発酵乳
項目 指標
発酵乳
指標
風味発酵乳 (フレーバード発酵乳、穀物・フルーツ入り発酵乳など)
検査方法
脂肪a(g/100g)≧ 3.1 2.5 GB5413.3
無脂乳固形分(g/100g)≧ 8.1 GB5413.39
タンパク質/(g/100g)≧ 2.9 2.3 GB5009.5
酸度/(°T) 70.0 GB5413.34
5. パスチャライズ乳
項目 指標 検査方法
脂肪a(g/100g)≧ 3.1 GB5413.3
タンパク質/(g/100g)≧ 牛乳2.9 GB5009.5
羊乳2.8
無脂乳固形分(g/100g)≧ 8.1 GB5413.39
酸度/(°T) 牛乳b :12~18
羊乳:6~13
GB5413.34
6. 練乳
項目 指標 検査方法
無糖練乳 加糖練乳 調製練乳
調製無糖練乳
調製練乳
調製加糖練乳
タンパク質a/(g/100g)≧ 無脂乳固形分aの34% 4.1 4.6 GB5009.5
脂肪(X)/(g/100g) 7.5≦X<15.0 X≧7.5 X≧8.0 GB5413.3
乳固形分b /(g/100g)≧ 25.0 28.0
蔗糖(g/100g)≧ 45.0 48.0 GB5413.5
水分/(%)≦ 27.0 28.0 GB5009.3
酸度/(°T)≦ 48.0 GB5413.34
7. 粉乳
項目 指標粉乳 指標調製粉乳 検査方法
タンパク質/(g/100g)≧ 無脂乳固形分aの34% 16.5 GB5009.5
脂肪b/(g/100g)≧ 26.0 GB5413.3
還元乳の酸度/(°T)≦ 牛乳18 GB5413.34
羊乳7~14
不純物/(mg/kg)≦ 16 GB5413.30
水分/(%)≦ 5.0 GB5009.3

また、アイスクリームその他の氷菓子(HSコード:2105)については、「食品安全国家標準 冷凍飲料および冷凍飲品および製造用ミックス・ベース」(GB 2759-2015)を満たさなければなりません。この標準では、冷凍飲品(液状食品の凍結品)の定義、原料に関する要求、官能評価の要求、汚染物質上限値、微生物上限値および輸送、保管、販売環境の制限などについて定めています。

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2. 残留農薬

調査時点:2020年10月

乳・乳製品を含む食品における残留農薬基準については「食品安全国家基準 食品中農薬最大残留上限値」(GB2763-2019)に規定されています。

また、「食品安全国家標準食品中動物用医薬品最大残留上限値」(GB 31650-2019)の規定も順守する必要があります。

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3. 重金属および汚染物質

調査時点:2020年10月

乳・乳製品における重金属および汚染物質、真菌毒素の最大基準値について規定する国家基準としては主に、「食品安全国家標準 食品中汚染物上限値」(GB2762-2017)、「食品安全国家標準 食品中真菌毒素上限値」(GB2761-2017)があります。

1. 牛乳・乳製品における重金属および汚染物質の上限値

重金属および汚染物質 品目 上限値(mg/kg) 測定方法
乳・乳製品(生乳、パスチャライズ乳、滅菌乳、発酵乳、調製乳(加工乳・乳飲料に相当)、粉乳、非脱塩ホエイパウダーを除く) 0.3 GB5009.12
生乳、パスチャライズ乳、滅菌乳、発酵乳、調製乳(加工乳・乳飲料に相当) 0.05
粉乳、非脱塩ホエイパウダー 0.5
水銀 生乳、パスチャライズ乳、滅菌乳、調製乳(加工乳・乳飲料に相当)、発酵乳 0.01 GB5009.17
ヒ素 生乳、パスチャライズ乳、滅菌乳、調製乳(加工乳・乳飲料に相当)、発酵乳 0.1 GB5009.11
粉乳 0.5
クロム 生乳、パスチャライズ乳、滅菌乳、調製乳(加工乳・乳飲料に相当)、発酵乳 0.3 GB5009.123
粉乳 2.0
亜硝酸塩 生乳 0.4 GB5009.33
粉乳 2.0

2. 微生物上限値

「食品安全国家標準生乳」(GB 19301-2010)、「食品安全国家標準調製乳(加工乳・乳飲料に相当)」(GB 25191-2010)、「食品安全国家標準発酵乳」(GB 19302-2010)、「食品安全国家標準パスチャライズ乳」(GB 19645-2010)、「食品安全国家標準練乳」(GB 13102-2010)、「食品安全国家標準粉乳」(GB 19644-2010)には、乳・乳製品の微生物上限値について、次のように定めています。

検査項目 m M
生乳 一般生菌数 2×106(CFU/g)
調製乳(加工乳・乳飲料に相当)、パスチャライズ乳 一般生菌数 50000(CFU/g) 100000(CFU/g)
大腸菌群 1(CFU/g) 5(CFU/g)
黄色ブドウ球菌 0/25g(mL)
サルモネラ菌 0/25g(mL)
発酵乳 大腸菌群 1(CFU/g) 5(CFU/g)
黄色ブドウ球菌 0/25g(mL)
サルモネラ菌 0/25g(mL)
酵母 100
カビ 30
練乳(加糖練乳、調製加糖練乳) 一般生菌数 30000(CFU/g) 100000(CFU/g)
大腸菌群 1(CFU/g) 5(CFU/g)
黄色ブドウ球菌 0/25g(mL)
サルモネラ菌 0/25g(mL)
乳粉 一般生菌数 50000(CFU/g) 200000(CFU/g)
大腸菌群 10(CFU/g) 100(CFU/g)
黄色ブドウ球菌 10(CFU/g) 100(CFU/g)
サルモネラ菌 0/25g

3. 発酵乳の乳酸菌数

発酵乳(加熱処理していない製品)の乳酸菌の生菌数は1×106(CFU/g)以上でなければなりません。

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4. 食品添加物

調査時点:2020年10月

乳・乳製品に限らず、食品の成分として使用できる添加物および栄養強化剤は、主に国家衛生行政機関が公布した「食品安全国家標準 食品添加物使用標準」(GB2760-2014)、「食品安全国家標準 食品栄養強化剤使用標準」(GB14880-2012)によってそれぞれ規定されています。

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5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年10月

中国に輸入される乳・乳製品の包装材は食品安全国家標準に適合しなければなりません。

食品安全国家標準については、「食品安全国家標準 食品接触材および製品の汎用的安全要求」(GB 4806.1-2016)、「食品安全国家標準 食品接触材および製品用添加物使用標準」(GB 9685-2016)、「食品安全国家標準 食品接触用塗料およびコーティング」(GB 4806.10-2016)などの主要な原則的標準が適用されます。また、包装の具体的な材質などは「食品安全国家標準 食品接触用プラスチック樹脂」(GB 4806.6-2016)などの一連の具体的な標準に適合させる必要があります。

また、「輸入乳幼児用調製粉乳に対する管理の強化についての公告」第4条に基づき、乳幼児用調製粉乳を中国国内に輸入後に小分け包装することは禁止されています。輸入する乳幼児用調製粉乳は消費者向けに販売する最小単位ごとに充てん済みである必要があります。

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6. ラベル表示

調査時点:2020年10月

「食品標識管理規定」第5条に基づき、乳・乳製品を含む食品の表示ラベルは、「食品安全国家標準包装済み食品表示ラベル通則」(GB 7718—2011)に合致しなければなりません。

  1. 名称
  2. 原産国および地域
  3. 輸入事業者(代行業者、輸入事業者または販売代理店)の名称、住所および連絡先
  4. 製造日、賞味期限、保存方法
  5. 正味含有量および規格
  6. 成分または原材料リスト
  7. 品質等級、加工技術(当該食品の関連標準が、食品品質等級、加工技術の明記を要求する場合)
  8. 警告マーク
  9. その他表示すべき内容(照射食品、遺伝子組換食品など)
  10. アレルゲン

アレルゲン

「食品安全国家標準 包装済み食品表示ラベル通則」(GB7718-2011)には、次の食品およびその製品はアレルギーを誘発する可能性があると定められています。そのため、次の品目を原材料として使用する場合は、原材料表示上、容易に判別できる名称を用いて表示する、または原材料名欄の近くにアレルギーに関する注意喚起を表示することが推奨されています。

  1. グルテンが含まれる穀物およびその製品(小麦、ライ麦、大麦、オート麦、スペルト小麦またはそれらの種の交配種)
  2. 甲殻類およびその製品(えび、ザリガニおよびかになど)
  3. 魚類およびその製品
  4. 卵類およびその製品
  5. 落花生およびその製品
  6. 大豆およびその製品
  7. 乳および乳製品(乳糖を含む)
  8. 種実類およびその核果製品

加工過程において上記の食品またはその製品が混入する可能性がある場合も、原材料名欄の近くに注意喚起を表示することが推奨されています。

栄養成分

「食品安全国家標準包装済み食品栄養表示ラベル通則」(GB28050-2011)は、包装済み食品の表示ラベル上の栄養情報の記載方法(義務表示事項、任意表示事項および栄養成分の表示方法など)について定めています。その中でも、次に挙げるものは義務表示の事項となります。

  1. 熱量、主要栄養素の含有量およびその栄養素摂取目安量(NRV)に対する割合。
  2. 熱量および主要栄養素以外のその他の栄養成分について栄養強調表示または栄養成分機能強調表示を行う場合、栄養成分表において当該栄養成分の含有量およびその栄養素摂取目安量(NRV)に対する割合を表示しなければなりません。
  3. 栄養強化剤を使用した包装済み食品は、前述1の要求のほか、栄養成分表において強化剤添加後の食品における当該栄養成分の含有量およびその栄養素摂取目安量(NRV)に対する割合を表示する必要があります。
  4. 完全水素添加油脂および(または)部分水素添加油脂が食品副原料に含まれる、または生産において使われている場合、栄養成分表においてトランス脂肪(酸)の含有量も表示しなければなりません。
  5. 上記について栄養素摂取目安量(NRV)が定められていない栄養成分は、含有量のみを表示すれば良い。

栄養素摂取目安量(NRV)は、本基準の附録Aを参照してください。

発酵乳、パスチャライズ乳、滅菌乳、調製乳(加工乳・乳飲料に相当)、練乳などの一部の包装済み乳・乳製品の表示ラベルについては、各種乳・乳製品を対象とする食品安全国家標準における表示ラベルに関する特段の規定についても適用します。

「食品安全国家標準生乳」(GB 19301-2010)、「食品安全国家標準調製乳(加工乳・乳飲料に相当)」(GB 25191-2010)、「食品安全国家標準滅菌乳」(GB 25190-2010)、「食品安全国家標準発酵乳」(GB 19302-2010)、「食品安全国家標準パスチャライズ乳」(GB 19645-2010)、「食品安全国家標準練乳」(GB 13102-2010)、「食品安全国家標準粉乳」(GB 19644-2010)には、乳・乳製品の表示ラベルについて、次のように定めています。

1. 調製乳(加工乳・乳飲料に相当)
  1. 100%粉乳を用いて生産する製品は、製品名に近接した箇所に「還元乳」と表示する必要があります。
  2. 生乳に、一部粉乳を添加し生産する製品は、製品名に近接した箇所に「XX%還元乳を含む」と表示する必要があります。
  3. 「還元乳」表示と製品名の表示箇所は、容器包装の同一の主要表示面にはっきりと表示しなければなりません。「還元乳」の文字サイズは、製品名の文字サイズを下回ってはならず、文字の高さは主要表示面の高さの5分の1を下回ってはなりません。
2. 滅菌乳
  1. 生乳のみを原料とする超高温殺菌乳は、製品の主要表示面の製品名に近接した箇所に、製品名の文字サイズを下回らない文字サイズで、かつ文字高さが主要表示面の高さの5分の1を下回らない中国語の文字で「(生乳100%の)牛乳(羊乳)」と表記しなければなりません。
  2. 生乳に、一部粉乳を添加し生産した製品は、製品名に近接した箇所に、「XX%還元乳を含む」と表示する必要があります。
  3. 「還元乳」表示と製品名の表示は、容器包装の同一の主要表示面に、はっきりと表記しなければなりません。「還元乳」表示の文字サイズは製品名の文字サイズより下回ってはならず、文字高さは主要表示面の高さの5分の1を下回ってはなりません。
3. 発酵乳
  1. 発酵後、加熱処理を行った製品には、「XX加熱処理発酵乳」、「XX加熱処理風味発酵乳(フレーバード発酵乳、穀物・フルーツ入り発酵乳などが相当)」、「XX加熱処理ヨーグルト」、「XX加熱処理風味ヨーグルト(フレーバードヨーグルト、穀物・フルーツ入りヨーグルトなど)」を表示しなければなりません。
  2. 生乳に、一部粉乳を添加した製品は、製品名に近接した箇所に「XX%還元乳を含む」と表示する必要があります。
  3. 「還元乳」表示と製品名の表示は、容器包装の同一の主要表示面に、はっきりと標示しなければなりません。「還元乳」表示の文字サイズは製品名の文字サイズより下回ってはならず、文字高さは主要表示面の高さの5分の1を下回ってはなりません。
4. パスチャライズ乳
製品の主要表示面の製品名の近接した箇所に、製品名の文字サイズより下回らない文字サイズで、かつ文字高さが主要表示面の高さの5分の1を下回らない中国語の文字で「(生乳100%の)牛乳(羊乳)」と表記しなければなりません。
5. 練乳
製品には、「本製品は乳幼児用の母乳代用品とすることはできません」との表示または類似した警告文を表示しなければなりません。
6. 乳酸菌饮料
「食品安全国家標準 飲料」(GB 7101-2015)によると、乳酸菌飲料製品の表示ラベルには、活性(未滅菌)型か不活性(滅菌)型かを明記しなければなりません。また、活性(未滅菌)型と表示した製品の乳酸菌数は106CFU/g(mL)以上でなければならないと規定されています。また、活性(未滅菌)型乳酸菌を含み、冷藏貯蔵および輸送が必要な飲料製品は、ラベル上に貯蔵および輸送条件を表示する必要があります。
また、「輸入乳幼児用調製粉乳に対する管理の強化についての公告」第5条に基づき、2014年4月1日以降、輸入する乳幼児用調製粉乳の中国語の表示は、輸入される前に、販売の最小単位の容器包装上に直接印字しておく必要があり、中国国内でラベル貼付してはなりません。製品の容器包装上に中国語の表示がない、または中国語の表示が中国の法令・標準に適合していない場合、不合格製品としてすべてシップバックまたは廃棄処理されます。
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7. その他

調査時点:2020年10月

中国各地では、コロナ感染症拡大防止の対策として、コールドチェーン食品のトレーサビリティ制度が整えられています。例えば、北京市では2020年11月1日に、「北京市コールドチェーン食品追跡プラットフォーム」の運営が開始され、北京市のすべてのコールドチェーン食品生産・経営(含輸入食品)機関は、冷蔵・冷凍の肉類製品、水産物の生産地および出荷先などのデータを同プラットフォームにアップデートするほか、追跡用コードを印刷したラベルを商品に貼付する必要があります。消費者は、携帯アプリの微信(WeChat)や支付宝(アリペイ)のミニプログラム「北京コールドチェーン」を使って、追跡用コードをスキャンすれば、購入する商品の品質安全や流通経路を調べることができます。

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関係省庁、法令等の詳細については、関連リンクから確認してください。
【中国】牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続きの関連リンクPDFファイル(1.0MB)
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中国の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2020年10月

牛乳・乳製品にかかる関税率
HSコード 定義 税率(MFN税率)
0401 ミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をし、または砂糖その他の甘味料を加えたものを除く) 15%
0402 ミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をし、または砂糖その他の甘味料を加えたものに限る) 10%
0403 バターミルク、凝固したミルクおよびクリーム、ヨーグルト、ケフィアその他発酵させまたは酸性化したミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をしてあるかないかまたは砂糖その他の甘味料、香味料、果実、ナットもしくはココアを加えてあるかないかを問わない。) 10%-20%
0404 ホエイ(濃縮もしくは乾燥をしてあるかないかまたは砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わない。)およびミルクの天然の組成分から成る物品(砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わないものとし、他の項に該当するものを除く。) 6%-20%
0405 ミルクから得たバターその他の油脂およびデイリースプレッド 10%
0406 チーズおよびカード(その他のチーズ) 12%-15%
2105 アイスクリームその他の氷菓(ココアを含有するかしないかを問わない。) 12%

詳細は、中国税関総署のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認してください。

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関係省庁、法令等の詳細については、関連リンクから確認してください。
【中国】牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続きの関連リンクPDFファイル(1.0MB)
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2. その他の税

調査時点:2020年9月

1. 消費税
乳・乳製品は消費税の課税対象外です。
2. 増値税
乳・乳製品を輸入する場合、乳・乳製品の荷受人(輸入者またはその代理人)は、輸入増値税を納付しなければなりません。2019年4月1日から、増値税の税率は調整され、9%~13%となっています。
「中華人民共和国増値税暫定条例」第14条に基づき、納税者は貨物を輸入する際、組成課税価格および本条例第2条に定める税率により納税額を計算しなければなりません。
組成課税価格および納付すべき税額の計算式は次のとおりです。

組成課税価格=関税課税価格+関税額+消費税額
納付すべき税額=組成課税価格×税率

そのため、納付すべき税額=(関税課税価格+関税額+消費税額)×税率
また、増値税は税関が「税関輸入増値税専用納付書」(中国語「海关进口增值税专用缴款书」)を発行した日から15日以内に納付する必要があります。
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関係省庁、法令等の詳細については、関連リンクから確認してください。
【中国】牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続きの関連リンクPDFファイル(1.0MB)
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3. その他

調査時点:2020年10月

なし