健康食品の輸入規制、輸入手続き等
中国の食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2024年12月
中華人民共和国国家標準には、強制標準(GB)と推奨標準(GB/T)があります。GB/Tは推奨標準のため、順守は任意です。
「食品安全国家標準 健康食品」(GB16740-2014)には、健康食品の定義、製品に関する要求事項(原料および副原料、官能評価の要求、理化学指標、汚染物質上限値、真菌毒素上限値、微生物上限値および食品添加物ならびに栄養強化物)および識別表示マークなどについて規定しています。当該標準によると、健康食品の理化学標準は、分類や属性上該当する食品の国家安全標準の規定に合致しなければなりません。
「食品安全国家標準 健康食品の中のALA、EPA、DPAおよびDHAの測定」(GB28404-2012)には、脂肪酸エチルエステルを成分とする健康食品の中のALA、EPA、DPAおよびDHAの含有量の測定方法について規定しています。
「食品安全国家標準 乳幼児用缶詰栄養補助食品(GB10770-2010)」には、生後6カ月以上の乳幼児の缶詰栄養補助食品の原料に関する要求、官能評価に関する要求、理化学的指標、汚染物質上限値、微生物に関する要求、食品添加物および栄養強化物などについて定めています。そのうち、理化学的指標については次のとおりとなります。
項目 | 指標 | ||
---|---|---|---|
製品a | 製品b | 製品c | |
原材料の占める割合/(%) ≧ | 40d | 8e | — |
タンパク質/(g/100KJ(g/100kcal))f | 1.7(7) | 0.7(3) | — |
脂肪g/(g/100KJ(g/100kcal))f | 1.4(6) | 1.4(6) | — |
塩化ナトリウム | — | — | 添加不可h |
総ナトリウムi/(mg/100g) | 200 |
中国での輸入手続き
1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)
調査時点:2024年12月
輸入食品輸入事業者届出
「輸出入食品安全管理弁法」(2021年改正)第19条および税関総署ウェブサイトにおいて公開中の「輸入食品輸入事業者届出」手引きによると、輸入事業者はその所在地の管轄税関に、事前に届出を行わなければなりません。届出を行うにあたり、オンラインまたは窓口で、次の資料を提出します。
- 輸入事業者届出書(様式あり)
- 食品安全に関連する部署・人員の配備、職能および職責
- 中国に輸入する食品の種類、保管場所
- 2年以内に食品輸入、加工および販売に従事したことがある場合、その説明(食品の品目、数量)
「輸出入食品安全管理弁法」(2021年改正)第21条によると、食品の輸入事業者は、食品の輸入および販売状況を記録し、事実どおりに輸入食品の品名、規格、数量、製造年月日、生産または輸入ロット番号、品質保持期限、輸出事業者および買主の名称および連絡先、納入日などの情報を記録し、関連する証憑を保管しなければなりません。
- 関連リンク
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関係省庁、法令等の詳細については、関連リンクから確認してください。
【中国】健康食品の輸入規制、輸入手続きの関連リンク(559kB)
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2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2024年12月
通関手続き用書類
「税関輸出入貨物申告管理規定」(2018年改正)第27条の規定および通関代理業者に問い合わせた結果、健康食品の通関に必要な書類は次のとおりです。
- 輸入貨物通関申告書
- 契約書
- インボイス
- パッキングリスト
- 積荷目録(積荷明細書)
- 船荷証券(運送状)
- 代理通関申告授権委託協議書
- 産地証明書、商品検査報告書、成分分析証明書、衛生証明書など
- 税関総署が規定するその他の輸入証明書
通関方法
「税関輸出入貨物申告管理規定」(2018年改正)第2条、第5条の規定に基づき、輸入申告は、オンラインまたは紙媒体による形式から選択することができます。
オンライン申告の場合、輸出入貨物の発送・受取人または委託を受けた通関業者は、「税関輸出入貨物通関申告書記入規則」の要求に基づき、申告システムを通じて、通関に必要な情報や書類を送付します。オンラインでの通関申告の場合は「中国電子口岸」へ申告資料を提出します。
紙媒体による申告の場合、輸出入貨物の発送・受取人または委託を受けた通関業者は、税関の規定に基づき、紙媒体の通関申告書を記入し、必要書類を添付し、税関に直接提出します。
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関係省庁、法令等の詳細については、関連リンクから確認してください。
【中国】健康食品の輸入規制、輸入手続きの関連リンク(559kB)
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3. 輸入時の検査・検疫
調査時点:2024年12月
現場での検査検疫の内容
「輸出入食品安全管理弁法」(2021年改正)第28条によると、中国税関は、監督管理の必要に応じて、輸入する食品に対し現場検査を実施します。現場検査における主なチェック項目は次のとおりです。なお、中国税関によると、現場検査検疫は無償とのことです。
- 輸送用道具、保存場所が安全衛生要求に合致するか否か
- コンテナ番号、封印シール番号、内装・外装の表示内容、貨物の実際状況が申告情報および付帯する書類に記載する内容と一致するか否か
- 動植物由来の食品、包装材および敷材に対し、病害虫、雑草・種子、土の付着・混入などがないか否か(規定に従ってサンプルを採集)
- 内装・外装は食品安全国家標準を満たしているか否か。汚染、破損、水濡れ、液漏れがないか否か
- 内装・外装の表示ラベル、標識および説明書が法律、行政法規、食品安全国家標準および税関総署の規定する要求に合致しているか否か
- 食品の官能評価における性状は、当該食品のあるべき性状になっているか否か
- 冷凍冷蔵食品の新鮮度、中心温度が要求に合致するか否か、病変の有無、冷凍冷蔵環境温度が関連基準の要求に合致しているか否か、コールドチェーン温度制御設備が正常に動作しているか否か、温度記録が要求に合致しているか否か(必要に応じて、高度加速寿命試験を行う)
健康食品の抜き取り検査、検査基準については「輸出入保健機能食品検査規程」(SN/T1568-2005)を参照してください。
- 関連リンク
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関係省庁、法令等の詳細については、関連リンクから確認してください。
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4. 販売許可手続き
調査時点:2024年12月
「食品経営許可および届出管理弁法」第4条に基づき、中国国内で食品の販売活動を行う事業者は、食品経営許可証を取得しなければなりません。ただし、包装済み食品だけを販売する事業者または食品生産許可証を保有する事業者が、その生産・加工場所において、またはインターネットを通じて、その生産する食品を販売するなどの場合には、食品経営許可証を取得する必要はありません。
同法第12条に基づき、食品経営許可証を取得するには、次の要件を満たさなければなりません。
- 経営対象食品の品目、数量に適した食品原材料の処理および食品の加工、販売、貯蔵などの場所を有し、当該場所の環境が清潔に保たれるとともに、有毒、有害な場所およびその他汚染源と所定の距離が保たれていること。
- 経営対象食品の品目、数量に適した設備または施設を有し、関連の消毒、更衣、手洗い、採光、照明、換気、防腐、防塵、防蝿、防鼠、防虫、洗浄ならびに排水処理、ゴミおよび廃棄物の貯蔵設備、または施設を有すること。
- 常勤または非常勤の食品安全管理者、および食品安全保障の規則制度を有すること。
- 合理的な設備配置および工程を有し、加工前食品と直接口に入る食品、原材料と完成品の交差汚染を防止し、食品が有毒物、不潔物質と接触することが避けられていること。
- 食品安全に関する法令に定めるその他要件を満たしていること。
また、同法第13条によると、食品営業許可証を申請するにあたり、次の書類を提出しなければなりません。
- 食品経営許可申請書
- 営業許可証または主体の許認可を証明できるその他の文書の写し
- 食品の取り扱いに適応する主な機器・設備の配置、オペレーションなどに関する文書
- 食品安全に関する自己検査、従業員の健康管理、入荷検査記録、食品安全事故の処理などに関する食品安全を保証する内部制度
- 自動販売設備を利用した食品販売に従事する場合、当該設備の具体的な設置場所、食品経営許可証の公示方法、食品安全リスクの管理方法などに関する資料
- 代理人に食品経営許可証の申請を委任する場合、授権委託書および代理人の身分証明文書
「健康食品管理弁法」第20条に基づき、健康食品の販売などの経営活動を行う事業者が輸入健康食品を購入する場合、輸入事業者から「輸入健康食品批准証書」(現在、実務では、「健康食品登録証書」または「健康食品届出証憑」により管理されるのが一般的になっています)の写しおよび貨物到着港の輸入食品衛生監督検査機関が交付した検査合格証の提出を求めなければなりません。
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5. その他
調査時点:2024年12月
なし
中国の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2024年12月
中国、日本を含む15カ国が加盟する「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」が2022年1月1日に発効されました。日本から中国へ輸出する製品は、MFN税率またはRCEP協定税率が適用されます。なお、RCEP協定税率の適用を受けるためには、原産地規則の要件を満たす必要があります。
HSコード2106に分類される一部の代表的な健康食品の関税については次表のとおりです。
HSコード | 定義 | MFN税率 | RCEP協定税率(2024年) |
---|---|---|---|
2106.1000 | タンパク質濃縮物および繊維状にしたタンパク質系物質 | 10% | 7.30% |
2106.9030 | ローヤルゼリー製剤 | 3% | 0 |
2106.9050 | アザラシオイルカプセル | 5% | / |
2106.9090 | 絶滅危惧種(動植物)の成分が含まれるコード未記載のその他食品 | 12% | 17.10% |
絶滅危惧種(魚)軟骨抽出物カプセル |
詳細は、「インターネット+税関」または「中華人民共和国輸出入税則」(2024年版)で確認してください。
これらの品目には、日中間RCEP協定税率が適用されない品目もあるため、該当の品目を輸出する前に、中国自由貿易区服務網、「インターネット+税関」または「中華人民共和国輸出入税則」(2024年版)の情報を確認してください。また、RCEP協定税率の適用を受けるための必要書類などについては、日本税関、中国税関総署のウェブサイト(詳細は「関連リンク」を参照)を確認してください。
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2. その他の税
調査時点:2024年12月
消費税
健康食品は消費税の課税対象外です。
増値税
中国に健康食品を輸入する場合、健康食品の荷受人(輸入者またはその代理人)は、輸入増値税を納付しなければなりません。「1.関税」の部分に挙げられた商品の増値税の税率は13%となっています。
「増値税暫定条例」(2017年改正)第14条に基づき、納税者は貨物を輸入する際、組成課税価格および同条例第2条に定める税率により納税額を計算しなければなりません。
組成課税価格および納付すべき税額の計算式は次のとおりです。
組成課税価格=関税課税価格+関税額+消費税額
納付すべき税額=組成課税価格×税率
そのため、納付すべき税額=(関税課税価格+関税額+消費税額)×税率
また、税関が税関輸入増値税専用納付書(中国語「海关进口增值税专用缴款书」)を発行した日から15日以内に納付する必要があります。
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3. その他
調査時点:2024年12月
なし
その他
調査時点:2024年12月
商標権
中国では、「中華人民共和国商標法」第31条の規定に基づき、先に商標登録の出願を行った者が優先的に保護される「先願主義」が採用されています。逆にいえば、中国で商標登録されていない国外ブランドの標章が中国で第三者より先に商標登録されている可能性があります。仮に、その第三者の商標と同一または類似する標章が許諾を受けずに使用した商品などを中国で販売した場合、同法第57条の規定により、登録商標専用権の侵害とみなされます。そのため、標章が付された製品などを中国向けに輸出するにあたり、その標章と同一または類似するものが中国において第三者の商標として登録されていないかを確認しておく必要があります。なお、外国人または外国企業が中国で商標に係る事項の手続きをする場合、同法第18条第2項の規定によって、中国の法により設立した商標代理機構に委託しなければなりません。 中国で商標登録されていない標章を使用した商品などについては、その輸入や販売を禁じるとする法令などはありませんが、実務において、例えば、有名ブランドの商品などを取り扱うECショップなどでは、そのプラットフォームより商標登録証の提示を求められるのが一般的です。
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関係省庁、法令等の詳細については、関連リンクから確認してください。
【中国】健康食品の輸入規制、輸入手続きの関連リンク(559kB)
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